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■2024年5月28日

多くの金を持ち歩く、札束さんという人がいた。すぐ奢ってくれるから慕われていたが。呼び名の通り、誰も彼自身に興味はない。


そのことを一度、札束さんに問うてみた。彼らはあなたの金しか見てないぞ。すると札束さんは、笑って言った。まあ私も金におびき寄せられる奴ら程度にしか思ってないよ。


お題・札束人間



■2024年5月29日

「また毛足の長い絨毯だね」

「掃除がいらないんですって。この毛足で全てのゴミを絡め取るから」

(それはまた嫌な予感が)


「なあ流石に異臭がしてきたし、この絨毯捨てないか」

「高かったのに……しかも市で引き取ってくれない?」

「こいつが一番のゴミだったな」


お題・ゴミの出ないカーペット



■2024年5月29日

新しいスマートフォンの発表があった。今度は深海一万メートルでも使えて、電波も届くらしい。


防水機能はありがたいけど、そんな場所で誰が使うんだよ。ユーザーたちは笑った。


けど想像してしまった。海溝の底、闇の中に棲む何かがいる。彼らはスマートフォンを必要としているのではないか、と。


お題・海底のスマホ



■2024年5月29日

切った爪を集めて、枕にしている男がいた。家族は気味悪がるも、これが良いのだとやめようとしない。


ところが切った爪など小さいもの。寝返りを打った際、中袋からこぼれた爪が目に刺さった。


おかげで視力の下がった男は嘆く。こんな枕やめときゃよかった。お先、まっくらだ。


お題・爪枕



■2024年5月29日

「つきあってくれ」

「断る」

コイツとは幼稚園からの腐れ縁だけど、中坊になった頃からか。毎日告りだして三年が経過した。


コイツもタフだね。今まで何人と付き合ってきたら、こうなれるのか。


「初恋はいつ?」

「幼稚園」

へえ、誰だろ。


「好きになった人、私で何人目?」

「初恋だよ」


お題・何度フラれても



■2024年5月29日

「雑誌なんてな、表紙のグラビアさえ良ければ売り上げが出るんだ。いいか、これから言う条件通りのグラビアにするんだぞ。まずは……(以下、小一時間)」


「と言い渡された、膨大なメモどうしよう。この通りのグラビアなんて無理だよ」

「文章をそのまんま表紙に載せとくか」


お題・グラビア文字列



■2024年5月30日

服飾会社にて。

「十分の一の手袋を作りたいんですが」

(最近はミニチュア小物も多いし)「いいんじゃない?」


後日。

「おいおい、なんだこの毛虫みたいな切れっ端」

「できました、十分の一の手袋です!」

「ああ、十本指中、指一本だけの手袋かあー」


お題・十分の一の手袋



■2024年5月30日

文明の進んだ異世界転生者の助言により政治形態を再編したものの。日照権とは何のためにあるのか分からない。分からないまま、担当の部署は残されたまま。


百年後、都市の密集化と高層化が進んで、ようやく日照権が何のためにあるか分かってきた。ここにきて日の当たらない部署は、脚光を浴びる。


お題・照司



■2024年5月30日

「ヤギさん、もう宿題は終わったかい」

「どうしよう、ブタさん。今度の宿題は解けないや」

「今日の宿題は簡単だったろう」

「でも上質紙に印刷してるから、我慢できなくなってさあ」

「あらら、白ヤギさんたら宿題解かずに食べちゃったか」


お題・超難問ヤギ



■2024年5月30日

見合い相手はいけ好かない華族の貴公子だった。

「あなたのこと嫌いです」

逢瀬のたびに私は拒絶を口にする。


そのたび、困ったように微笑む表情。さりげなく優しい所作。私を気遣ってくれる言葉。


私は何度も嫌いと告げる。自分をも否定するように。でないと深みへ沈んでしまいそうだから。


お題・好きにならずにいられない

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