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■2025年3月18日
絵がゴミ箱に捨てられている。赤や黄色、色とりどりの花が描かれた、上手くはないが楽しげな絵。小さな男の子が、親の誕生日を祝うのだと描いた絵。だがこんな下らない物と捨てられてしまった。
今はゴミ箱を彩る花々。まさか自分の中に花畑が咲くとは、なんて素敵な贈り物だとゴミ箱は喜んだ。
お題・捨てられた花
■2025年3月18日
受験は失敗した。私の勉強不足だ。けど怒りの行き場をなくした私は、親に当たり散らした。
「アンタみたいな毒親のせいで上手くいかなかったんだ!」
すると今度は母までキレて、当たり散らしだす。
「ババアが毒親だったから、私の子育てが上手くいかなかったんだ!」
お題・毒親転嫁
■2025年3月19日
ひと冬の間、専属契約でうちの屋根の雪かきをしてくれないか。出された契約金を見て驚いた。
だが、ここで慌ててはいけない。相手はばかな年寄りのこと。もっとせしめてやれ。
もっともっとと値を吊り上げる。するとある地点で怒って、去られてしまう。
しまった屋根作業の上限を越えてしまったか。
お題・屋根契約
■2025年3月19日
三頭を持つ地獄の番犬ケルベロス。彼らは複数の頭脳を持って、戦闘の際に混乱しないのだろうか。もしくは指示役がいる? 翻訳魔法を使い尋ねてみた。
「かむー」
「わからん!」
「はらへった」
後に、ケルベロスの各頭部に搭載された脳みそも三分の一しかなかったと判明するのだった。
お題・ケルベロス
■2025年3月19日
食卓にはいつまでも幽霊の花が咲く。瓶の水はとうに枯れ、花弁も落ちたはずなのに。向こうの景色が透けた花がある。
結婚記念日だからと、あなたのくれた花束。柄にもない。まさかこれが最期の贈り物になるなんて。
幽霊の花は触れない。けど時折、微かな香りが私の鼻腔をくすぐる気がしている。
お題・幽霊の花
■2025年3月19日
「ヒーローなら正体は隠しておくんだぞ」
先輩からいわれた言葉。だが遂に正体が世間へ明るみになってしまう。だが皆はこんな自分を受け入れてくれた。
と思ったら
「助けてくれよヒーロー」
「ヒーローがやれよ」
何でもかんでも頼られるようになる。確かにこれなら正体を隠せばよかった。
お題・ヒーローの素顔
■2025年3月20日
古池や……。
実際にどんな音を立てて、蛙が飛び込むのか聞きたくなった。目の前には静かな古池、おあつらえ向きに蛙もいる。だがその蛙の歩みが遅い。なかなか池へ飛び込んでくれそうにない。
あまりのスローさで遂に僕は頭にきた。蛙をしっかと握りしめ、古池へ思い切りスローイングした。
お題・スローカエル
■2025年3月20日
独裁者は反乱を恐れて、国民から教育を奪い尽くした。だが愛する息子が遺伝子病と分かる。この時のため書物は保存しておいた。おい息子を治せ。命令するも、医者の質が落ちて、それら書物を理解できなくなっている。
「遺伝子とは何か、という知識すら国民には伝わっていません。ましてや治療など」
お題・遺伝の病
■2025年3月20日
昨日から今朝にかけての寒さが嘘のように、昼になって暖かくなってきた。今日は春分。まさしく本日が春と冬との分水嶺なのかもね。
と語る君と私は違う進学先。こんなふうにダベる毎日もなくなってしまう。春は別れの季節というけれど。これなら冬のままでよかった。
急な気温上昇に目眩がしてくる。
お題・春を分ける
■2025年3月20日
我が家の前は交通事故が多発するからと、標識が立てられた。だが一本では足りないか、まだ事故が起こる。そこで標識はどんどん増えた。一時停止、追い抜くな、徐行、注意……
気づけば森のように標識が立ち並び、車どころか人も歩けない。僕は頭にきて、もう一本の標識を立てた。
「標識立てるな」
お題・標識




