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■2025年3月11日

「あなたが私のご先祖様ですか?」

突然質問された。渡された家系図には確かに僕の名前がある。


彼は純粋な好奇心で、タイムスリップしてきたらしい。いや会えて良かったよ。


しかし未来人というのは、あんな異形になるんだね。一目で人間だとも分からなかった。


彼は本当に僕の子孫なのかい?


お題・先祖ですか?



■2025年3月11日

懐中時計が故障した。コイツは名人の作。かなり精巧な機構をしているため修理を断られた。だが修理の天才がいる。というので、彼に頼むことにした。


だが、いつまで経っても直ったという報告がない。尋ねてみると

「作業に夢中で、時を忘れていました」

修理は天才でも、時間感覚が壊れているらしい。


お題・故障した時計



■2025年3月11日

サラダという古代料理を再現することになった。


様々な植物をDNAプリンターで構築する。特に「キャベツノセンギリ」は苦労した。通常なら丸くなる葉を、細く育てなければならないのだ。


だが上手く行き過ぎた。実験惑星は植物に覆われる。今やその星は「サラダボール」と呼ばれるようになった。


お題・未来のサラダ



■2025年3月11日

ありのままの君が好きだ。僕と付き合っていく中で、暗かった彼女は笑顔を見せるようになった。


途端、自分の中で彼女への愛が薄れてゆくのに気付く。もしかして僕は単に、可哀相な人を哀れみたかっただけじゃないのか。


今さら彼女は裏切れない。どうする。こんな、ありのままの自分が嫌で堪らない。


お題・ありのままで



■2025年3月12日

金持ちが言うには下水に宝石を落としてしまった。拾った者には差し上げよう。すると町をあげての大騒ぎ。それで見つけたのは小粒の宝石ひとつ。だがこれは金持ちの企み。宝石ひとつで下水掃除をできたのだから安いもんだ。


とバレて金持ちは襲われ、宝石を奪われた。皆は言う。ゲスを掃除できたな。


お題・下水道宝石



■2025年3月12日

首都を新しく造ることになった。だが、いつまで経っても完成の報告がない。どうしたことかと調べると

「首都を造るための町が出来たばかりです」


大金をつぎ込んで、ふざけているのか。国民の怒りを避けるため、大臣たちは話し合う。


「首都建築計画の、首謀者を作るとしよう」


お題・首都づくり



■2025年3月12日

幼い頃、蛍とはお尻に電球をつけていると信じていた。こっそり人の家に忍び込み、電灯から勝手に外すのだ。


もちろん、そんなわけはなく。ずっと忘れていたのだけど。


ふとした拍子に、ついさっき。ピコーン! と閃いて思い出した。


その時に浮かんだ電球は、きっと虫の形をしていたに違いない。


お題・電球虫



■2025年3月12日

アンタなんて一時の気の迷いだ、産むんじゃなかった。母はよく私を呪った。だから私は、あんな親にはならない。きっと子供も可愛がるんだ、と誓う。


なのに一時の気の迷いで、クズ男にひっかかり、お腹にはアイツの子が。私はあんな毒親になりたくない。そう思いながらも、遺伝を呪わずにいられない。


お題・遺伝



■2025年3月13日

何万年も前。仲間を勝手に殺すような奴がいたら、村が成り立たない。人を殺す奴は、殺し返そうということになった。死刑の誕生である。


そして、ある乱暴者が人類最初の死刑に処される。手を下してから、皆が話し合いだした。

「どうした?」

「死刑で人を殺した奴も、やっぱり死刑にするべきかな」


お題・死刑の誕生



■2025年3月13日

拳法家は困っていた。今まで恵まれた体格で殴ればどうにかなった。拳法など知らない。だが我が名を残すには、術理として他人に教えねば。しかし彼は物を教えるのが下手な性格。結局、弟子など居つかなかった。


だが偶然、彼の名だけは残る。後世の拳法家は語った。

「幻の拳法があったんだって」


お題・失伝

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