表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/240

1291~1300

■2025年3月6日

義母は人の食べ残しを冷蔵庫で保存するという、おせっかい癖がある。

「食中毒とかあるし、やめて下さい」

「申し訳ないね、毎度忘れちゃって」

ボケが来だしたのかしら? と思ったら義母はICレコーダーを取り出し、再生した。私の声だ。

「忘れないよう、アンタのおせっかいを保存しといたよ」


お題・おせっかい保存



■2025年3月6日

道の途中、男が泣き崩れていた。どうしたのか訊くと、こう答える。


私の人生は虚栄に囚われてきました。そのために人を傷つけてきた。だがそんなのは無駄だと、「あれ」と出会い知ったのです。だが今さら遅い。私はなぜ、早く「あれ」と会えなかったのか。


と白髪の男は「老い」のことをそう呼んだ。


お題・遅い出会い



■2025年3月6日

愛する彼女が自殺した。なぜだと悲しむ僕にバースデーカードが届く。生前の彼女からだ。これが彼女から最後の贈り物かと中身を読む。


「あなたみたいなDV野郎には、もう疲れました。これからは依存する相手もなくなります。ちゃんと自立して生活して下さい。私の最期がお前への誕生日プレゼントだ」


お題・最後の贈り物



■2025年3月6日

神殿には人食いの獣が棲む。だが余りの巨体で、エンタシスの柱が檻となり出られない。そこで村では一年に一度、餌として子供を捧げるのだ。


餌に選ばれた子は長老に問うた。「僕は生贄になるんだね」


すると長老は否定する。「生贄はあの獣の方だ」


ならば神は何を求めて。子の疑念は噛み砕かれた。


お題・生贄の獣



■2025年3月7日

私はメンタル変形人間! 後悔する気持ちに変形機構を有し、どんな嫌なことがあっても、すぐ忘れてしまうのだ。


と彼女に明かしたら「だから貴方は絶対に反省してくれないのね」と別れられた。


ああ、人から叱られている時に、ふざけるんじゃなかった。こんな自分はもう変えないとなあ、と後悔する。


お題・可変後悔



■2025年3月7日

犬も歩けば棒に当たる。ことわざは真実なのか、社会実験を行うことにした。往来に棒と、比較として球体を設置する。


すると確かに棒には犬ばかりが当たり、球体には猫が突撃した。なるほど、だから猫はタマと名づけられるのかもしれない。


……だとしたら、太古において棒にはポチという名があった?


お題・ポチも歩けば棒に当たる



■2025年3月7日

結婚とは家同士のもの。彼女は兄と婚約し、ずっとお似合いと言われていたが。軍人の兄は戦死。代わりに弟の僕と結婚することになった。


気の毒に、という周囲のひそひそ話。だが僕らはやっと結ばれたねと抱き合う。


結婚とは家同士のもの。彼女と結婚するために、僕は「長男」になったのだ。


お題・代わりの結婚



■2025年3月7日

婚約者として公爵令嬢を紹介されたが。彼女は常に仮面をかぶった仮面令嬢。誰も素顔を見たことはない。


まあ私も王子と言っても末席だ。どんな変わり者でも断れない。それに所作については華麗じゃないか。


と思ったら刺客に襲われた際、彼女が拳ひとつで追い払ってしまった。こいつ猫かぶってたな。


お題・仮面令嬢



■2025年3月8日

もうじき卒業式。僕らは上級生を送る練習をする。送辞、歌、そして捕縛。


卒業式を迎えた上級生は、「出荷」されてしまう。逃げられると学校の儲けが少なくなるから、一人も逃さないようにしないと。


僕らもいつか卒業するまで。より良い毎日を過ごせるよう、卒業生には犠牲になってもらわないとね。


お題・日常からの卒業



■2025年3月8日

好き勝手にDNA改変が可能な時代。あるコウモリに改変をリセットできる成分があると分かった。

「我が社に売ってくれ」

「しかし、これがあると社会は余計に混乱し……」

「ええい、のらりくらりとコウモリ野郎が。ならば金を倍にしよう」

「どうぞどうぞ」

「さっきまでの態度をリセットしやがった」


お題・リセットコウモリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ