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■2024年5月25日
戦時中いうても昔のことで分からんやろな。夏になると親父が、たまにキャンデー買うてくれてな。嬉しかったんやけど。戦争で物資も少のうなって、食べられんなったのが寂しかったなあ。
え、飴ならどの季節でもいいだろう? ああキャンデー言うても昔言葉で分からんか。アイスキャンディーのことや。
お題・キャンディーのなめられない夏
■2024年5月26日
現代日本にタイムスリップしたジャンヌ・ダルク。仕方なくバイト暮らしを送っていたが、常識がないため上手くいかない。
「申し訳ないんだがね、辞めてくれないか」
「それはどういう?」
「クビということだよ」
「せめて斬首ではなく、慣れた火あぶりにしてくれませんか?」
「やらないよ!?」
お題・クビになるジャンヌ・ダルク
■2024年5月26日
「何やってるんですか?」
「試食コーナーがつまみ食いしてないか。監視カメラで見張るため、無線LANを設定してるんだよ」
「また、わざわざ」
その後。
「どうだった?」
「あー、無線LANがつながってませんね。ここのコードが接触してない」
「そうか、摂食してないなら良いんだ」
お題・試食品コーナーの無線LAN
■2024年5月26日
「郵便ポストくん、勝負は君の負けだ。掛け金は支払ってもらう」
「もちろん。けど今は手持ちがないから、うちに請求書を送ってくれないか」
請求書を封筒に入れる。
「ちょうど良い。僕はポストだからね。投函するといい。送っておくよ」
「貴様……請求書ごと責任を先送りする気だな!?」
お題・勝負に負けた郵便ポスト
■2024年5月26日
「あなたも遂に、うどん屋を諦めましたか」
「オーナーの仰る通り、真面目にイタリア料理の修業をやってましたよ」
と出されるパスタ。
「テメエ、これはパスタに見せかけて麺がうどんじゃねえか!」
「チッ」
「イタリア料理に扮して、まだうどん屋やろうとか。さすがに腰が強すぎる」
お題・コスプレするうどん
■2024年5月27日
「これ、何て書いてある?」
「パーセント」
「お前は本当に字が下手だよなあ。さすがに読めないよ」
「書き直してきたよ」
「やっぱり下手だなあ。読めなくもないが、まだ読めない人はいるだろ」
「ちゃんと読めるまで、どのくらい?」
「40パーセントてとこかな」
お題・いびつなパーセント
■2024年5月27日
ジャグリングのチャンピオンは、なお己の技を極める。投げるボールは二十、三十と増え続け、とうとう無数のボールに隠れて彼の姿が隠れるほどに。
投げられるボールはどんどん高くなるが、そこにチャンピオンの姿はない。やがて空高く消えていった中、自らをジャグリングする彼がいたとかいないとか。
お題・動かないジャグリング
■2024年5月27日
空き瓶に毛が生えていた。抜いても消毒しても、また生えてくる。気持ち悪いので手放したかったところ、好事家が良い値段で買ってくれたからいいもの。
あれ以来、清涼飲料水を飲んでも、底の方に毛が生えているのではと気になってしょうがない。
どうも瓶と缶に対して、ビンカンになったようだ。
お題・瓶毛
■2024年5月27日
尊敬する人は誰かと聞かれたら、私はお婆様と答えている。
幼い頃、お婆様の内緒話。本当は好きな人がいるけど、親の決めた相手と結婚した。だけど好きな人を忘れたことは生涯なかった。
貴族の定めで私も親の決めた相手と結婚する。仕方ない。けど、出来ればお婆様のようにありたいと願うのだ。
お題・ずっと憧れたあなた
■2024年5月28日
「筋トレのできる財布を買ったよ」
「うわ重い!? 何が入ってるんだよ」
「金塊」
「それは重いわけだ。さぞかし高かっただろ」
「だから今は筋トレしながら、金策に走ってるよ」
お題・筋トレのできる財布




