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■2025年3月3日
「授業サボろうぜ」
僕は近頃、悪い奴に絡まれてる。どうせサボって、金をせびる気だ。断るとアイツは
「おいおい、俺たち友達だろ?」
馴れ馴れしく肩を組んでくる。
「サボらないと『友達』じゃなくなっちまうぜ?」
「サボれば友達なんだね。じゃあ、君との友達でいることをサボらせてくれない?」
お題・サボる友情
■2025年3月3日
雛人形を仕舞い忘れると、嫁へ行けないという。私など数百年、雛人形を置きっぱなしのせいか。年も取らず、あの世にも行き遅れている。
ところで雛人形の原形は、厄を流す流し雛というが。何百年もの厄を溜めたまま。今や厄を放ちだす。
恐ろしくて仕舞うどころか、もはや触れなくなっていた。
お題・厄流れず
■2025年3月4日
世界にゾンビが溢れるようになったが、俺たちはどうにかサバイバルしている。
「この町にはゾンビシェフがいるらしい」
「オイオイ、そいつは悪趣味だな」
ゾンビは人を食うのだ。俺たちが食材ってとこか?
そして、ソイツは現れた。
「ゾンビの丸焼きいかがっすか?」
「食材は、そっちかよ!?」
お題・ゾンビシェフ
■2025年3月4日
手に入れた聖剣は折れていた。だがこれは女神の深謀遠慮深謀。聖剣を打ち直す旅の中で多くの仲間を見つけてほしい。
しかし勇者は武者修行でムキムキになり、聖剣が折れたまま魔王をどつき回した。
「この聖剣のように魔王の心もへし折れば良い。女神様、さすがです」
「思ったのと違う」
お題・折れた聖剣
■2025年3月4日
桜梅桃李。春の花咲く様子、そしてそれぞれの花に良いところがあるという言葉。
「けど春しか使えない言葉なんて覚えてどうするの。俳句も興味ないし。春の花なんて桜だけでいいでしょ。だいたい私は春より、夏の花の方が好きだな」
「みたいな人のための、桜梅桃李よ」
お題・桜梅桃李
■2025年3月4日
軍に入隊してから、かつての友とは疎遠になる。だが変な政治活動に参加したのがまずかった。名家の出だと、気付けば過激派の起こす内乱の神輿となっている。もはや自力では止められない。私は友に内通し、計画は止められた。
処刑される日。向けられた銃口の向こうにいた君は何も変わってなかった。
お題・友情の証
■2025年3月5日
イノシシによる被害が増え過ぎた。猟師も増えたが足りない。なので市役所にイノシシ対策課ができた。だが被害は余計に広がる始末。
どういうことだ。怒れる市民はイノシシ対策課へ押しかける。すると中で電話番をしていたのは人ではない。
「そっちへ逃げて下さい」
イノシシが人間へ対策していた。
お題・イノシシ役所
■2025年3月5日
私はとうとう発明した。反物質を生成しての対消滅エンジン。これ一基で世界中の発電量を補って、なお余りあるパワー。
だが世界初なのだ。実際に何が起こるかわからない。慎重にならねば。
と思ったら地元住民の反物質反対運動が起こり。対消滅実験は消滅した。
お題・反物質
■2025年3月5日
我が社の不正を知った。けど専務には恩義もある。波風を立てて、社にいづらくなるのも嫌だ。そもそも自分自身、そこまで正義感があるわけでなし。黙っていることにした。
それを察してくれたか、僕は出世が決まる。
「このプロジェクトを任せるよ」
これ……不正の責任者になれってこと?
お題・共犯者
■2025年3月5日
短命種の人から猛烈なプロポーズを受けて結婚した。当然、彼はみるみる老いる。介護は構わないのだけど、謝られるのが辛かった。
なので再婚相手は長命種の人。もう辛いのは嫌だったから。けど私はやがて老いる。
介護されながら、それを謝ると。彼は辛そうに答えた。
「君を愛してるから構わない」
お題・年の差カップル




