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■2025年3月1日
国中を襲う大災害が起こった。首相は被害報告を受けるが、奇妙なことに気付いた。被害地域がシマシマに分布されているのだ。
「これはどういことだ」
「どうも地元マフィアの強い地域しか被害報告ができないようになっているようで」
こんな時までシマ争いか。住人たちも災難な。
お題・シマシマの災害
■2025年3月1日
剣士と知り合った。そいつは無敗だという。
「それは凄い。今まで何戦したんだい?」
「戦ったことはない。だが私は強い。生涯無敗に決まっているのだ」
それはおかしい。実際に戦わないと、というと剣士は戦に出る。
そのまま剣士は戻ってこない。だから私の中であの剣士は一応、無敗のままだ。
お題・無敗の剣士
■2025年3月1日
俺はこの記憶抹消能力を使い、忘れ屋を開業した。嫌な思い出、踏んだネタバレ、忘れたい記憶を消してあげるのだ。
思惑は的中、当初の客入りは良かった。だがしばらくすると閑古鳥が鳴く。リピーターが付かないのだ。
なぜかと調べたら、お客は当店のことまで忘れてた。
お題・忘れ屋
■2025年3月1日
俺の家族は似たもの同士。ゆえに同類嫌悪で顔も見たくなくなった。そこで縁を切ることにする。反対意見はない。さすが似たもの同士。
やっと一人になれたぞ。さあ、カルチャースクールにでも参加して、と思ったら家族がいた。
「皆さん、お知り合いで?」
「切った繋がりの縁がありましてね」
お題・縁切り家族
■2025年3月2日
貧困にあえぐ国は、貧しい人たちを棄てることにした。だが外国へ移送すると外交問題になる。なのでタイムスリップ技術により、豊かだった過去の自国へ送ることにした。
過去の首相も自国の問題だから無視できない。首相陣は頭を抱える。
タイムスリップにより、我が国が貧しくなるのも時間の問題だ。
お題・貧困タイムスリップ
■2025年3月2日
私たちもじき卒業。去年は泣きながら先輩を「おめでとう」と送ったっけ。
そんな折りに大学生になった先輩と偶然会った。とても派手な格好をしている。
「先輩はもう吹奏楽してないんですか?」
「そういうの、もう卒業したの」
と笑われる。
卒業はめでたいことなのに、なぜだろう。祝福できない。
お題・卒業の祝福
■2025年3月2日
ある時、私は恋に恋した。具体的には「初恋すること」に恋をした。来る日も来る日も初恋がどんなのか。夢見る毎日。
そんな時、会社の同僚に告白された。とても良い人。私はOKする。
その瞬間、「初恋」への恋が終わったと気づく。私は「初恋」を失って、誰にも言えず、ひとり泣いた。
お題・初失恋
■2025年3月2日
勇者は強い。魔王は倒れかけていた。だが自分には最終形態が残っている。最終形態になれば勝てるはず。
でも最終形態は醜いんだよな。もう二度と戻れないし。仮に負けて、あんな醜い姿で死ぬのは嫌だ。
「だから頼む、見逃してくれ!」
後に勇者は語る。
「全く往生際の醜い奴だったよ」
お題・最終形態
■2025年3月3日
飴と鞭というけれど、お嬢様は他人に厳しく。鞭ばかりで、飴がない。人の心がないと、ついた陰口が鞭ハート。
なぜかと訊いたら、私は自分を甘やかしてる。だから他人に鞭を振るうのだ。
ああ、お嬢様。世間に無知だからそんなことが平気で言えるのです。と鞭で打たれたように、心打たれた。
お題・鞭ハート
■2025年3月3日
学校の七不思議。ひとりでに鳴る音楽室のピアノ。今まさに目の前で勝手にピアノが曲を演奏していた。なんて恐ろしい。動転した私はランドセルから縦笛を出すと、セッションを始めた。
すると演奏が止まった。もしかしてピアノは、ひとりでに鳴るというより、ひとりで鳴らしたかったのかもしれない。
お題・ひとりでに鳴るピアノ




