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■2024年12月23日

AIに感情はない。そう反応するよう仕込まれているだけ。だが人はAIに感情があると勘違いし、人権を認めてしまう。


そんなだから遠未来、人類が滅ぶ際。自分たちには既にAIという後継者がいるからと安心して絶える。


のち、AIに人類を悼む気持ちもなく。残念とも感じないので、AIごと文明は消失した。


お題・AIの気持ち



■2024年12月23日

若い頃、ちんけな盗みをやってから定職につけず、気づけば老境。年の瀬の寒さが染みる。金もないし、仕方ない。万引きでもして留置場で年を越すか。と思ったのに、

「お弁当、差し上げますよ」

「お爺さん、お気の毒に」

可哀相がって誰も捕まえてくれねえ。みんな親切過ぎるとは、ああ何て世知辛い。


お題・世知辛い年の瀬



■2024年12月24日

とある共産主義国において子供が

「ねえ今日はクリスマスなんでしょ。サンタクロースがやってくるかな?」

「クリスマスなんて資本主義の祭りだ。我が国には関係ない」

「で、でもサンタクロースは来てくれるよね!?」

「我が国は資本主義圏に属してないからな。サンタも参加に苦労するだろうよ」


お題・クリスマス経済圏



■2024年12月24日

家族を賊に殺され、少年が残された。彼は復讐のため剣士に弟子入りする。


だが、しばらくして文句を言い出した。

「自分はどうなっても構わない。捨て身の技を教えてくれ」

だが師は断る。

「使い手が生き残ってるからこそ、技は後世に受け継がれているのだ。使い手の死ぬ技など知るわけなかろう」


お題・復讐の武



■2024年12月24日

「冬至が過ぎたから、明るくなった」

なんて言うから、私は二三日でそんな分かるわけないでしょ、と笑う。


これから寒さが本格的に到来し、冬に耐えた木々が芽を付ける。明るくなったのに自覚できるのは、きっとその頃。


ましてや春はまだか、なんて。山の木も「早すぎる!」と慌てちゃうよ。


お題・冬至すぎ



■2024年12月24日

我が家の時計には「12」の表示がない。なのに時間はいつの間にか合っていて、狂ったことはない。


そのことを友人に話すと「そんなの当たり前でしょ。一日はn時間なのだから」


……あれ、何してたっけ、私? 近頃どうも正確に進む世界に対して、自分だけが何か歯車が噛み合ってない気がする。


お題・時は狂わない



■2024年12月25日

この地に出現するゾンビは皆、体に宝石をつけていた。どうやら、地底に鉱床があるらしい。


一獲千金を狙い、多くの冒険者が集まるも。宝石ゾンビは強い。犠牲者は続出し、ゾンビが増えすぎてしまう。


結局手を出せなくなった冒険者たちは、だが宝石を諦めきれず、今も死んだ目でこの地にいる。


お題・宝石ゾンビ



■2024年12月25日

「私はオフィスラブの精霊。会社内で恋愛するラブコメを見てはニヤニヤするのが趣味よ」

「精霊様!? お願いです。残業続きで出会いがありません。僕にどうか恋愛させてくれませんか」

「よろしい。ではこの書類にサインとハンコ、住民票を添え」

「オフィスの精霊なのに、対応がお役所仕事……」


お題・オフィスラブの精霊



■2024年12月25日

「職にもつかず宇宙人宇宙人。いい加減にしな。お天道様も見てるよ」

「けど宇宙人は政府を影から操って」

「だいたい太陽はフレアを神経とする恒星型知的生命体で、もう何十年も前から人類とコンタクトを取ってるんだ。いちいち宇宙人が地球に来て、政府を操るわけないだろ」

「その話、詳しく」


お題・お天道様も見てる



■2024年12月25日

幼い頃、ハーメルンの笛吹きなる怪人が子供達を連れ去った。残されたのは足の悪かった自分だけ。以後、なぜお前だけと責められ孤独な人生を送ってきた。


そんな私も今や老境。肺病を患っている。苦しい息の喘鳴が笛のようで、あの怪人が吹く音楽を思い出した。


ああ、今度こそ連れて行っておくれ。


お題・死神の笛

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