3話 二人目の神、そして。
どうやら神様が魔法の世界を管理している神様と会わせてくれるらしい。
てか俺はずっと神様の声しか聞こえないんだが、神様の姿ってどんな姿なんだろう...
声は女性だし、漫画とかで描かれるような美人なのだろうか
とりあえず魔法の世界の神様が怖い神様じゃないことを願うしかない...
「呼んできました。こちらが魔法の世界の管理をしている神です。」
「やぁ 友原 優くん
僕は魔法の世界の管理をしているものだ。
この度は君の世界の神が失礼をしたみたいだね。
こちらからも言っておくので許してやってほしい。」
「いえいえ!僕は平気ですのでお気になさらず!」
このやりとりまたするのか...
どうやら魔法の世界の神様は男性のようだ。
怖いタイプじゃなくてよかった...
ていうか神様って名前ないのか?さっきからナントカ世界の神としか説明されてなくてややこしいんだが...
「あの...失礼ですが、神様って名前とか、呼び名とかないんですか?」
「名前...か、確かに僕らは名という名を持たない。神同士以外で我らを認識する者がいないからね、必要ないんだ。」
「そうなんですか...」
「たしかに今の君では認識しずらいだろう。
ふむ...では仮の措置として、君がいた世界の神をユトリア、魔法の世界の神、つまり僕はキーアにしよう。」
「そうですね、私たちって現世に顕現していた神とは違って俗称すらありませんでしたし、これもまた新しくていいでしょう。」
「わかりました。ユトリア様、キーア様。」
うん、名前があるとやっぱりわかりやすい気がする。
名前が無いなんて寂しいしね。
「では、ここからは僕が説明しよう。
魔法の世界は生まれ持った才能で魔法の規模や性能が変わるんだ。
だから、君が転生するにあたって、僕とユトリア、それぞれから加護を与えよう。
この加護を謝罪の印として受け取ってほしい。」
マジか!転生までさせてくれるのにそれにプラスで加護まで与えてくれるのか...
優しすぎるし、俺に肩入れしすぎでは...?
そんなに神が人を殺したという事実がマズイのか...
「私からの加護は、あなたの身体能力を大幅に向上させましょう。」
「僕からの加護は、魔法の才能を授けよう。」
その瞬間、僕の魂が暖かいもので包まれたように感じた。
「これで君は転生しても魔法も使えるし、身体能力も向上しているだろう。」
「生まれ変われることですらとてもありがたいのに、こんなに良くしてもらって大丈夫なんでしょうか?」
「そんなに気にすることはない。これは謝意だ、気にせず受け取ってほしい。」
なんか待遇良すぎて相手が神様ってことを忘れてしまいそうだな...
まぁ転生先で何不自由ない生活できるならそれはそれでありがたいし、いいか。
「君が今から生まれ変わる世界は、元いた世界とは違って常に命の危険と隣り合わせだ。
流石に転生してすぐ死なれては僕達としても、とても居た堪れない。
だからそのための加護だと思ってほしい。」
「なるほど...わかりました、ありがとうございます!
この力、大事にします!」
ん?今気づいたけどこれって転生ストーリー十八番のチート転生なのでは?
でもあくまで死なないための処置だし、強すぎるとなんかめんどくさそうなこと起きまくって、危険の方から飛び込んでくるかもしれない。
そんなに強化はされてないことを祈ろう。
「では、そろそろ転生だが、その前に最終確認だ、友原 優くん。
君はこれから新しい生を受け、第二の人生を歩む。第二の人生は元の人生よりも過酷になるやもしれない。
新たな世界で守りたいもの、大切なものができたとして、それを失うことになるかもしれない。
それは神すらも知らない、君次第で変わる未来があるということだ。
元の世界とは違い、国や親が守ってくれる保証なんてどこにもない、全て自分自身で変えなきゃいけない。
その覚悟はあるかな?」
ーー軽い気持ちで行けば死ぬ
そう言いたいのだろう。
キーア様の言う通りだ、あの世界は誰かが守ってくれるなんてそもそも甘いんだ。
元の世界でさえ日本の平和ボケは世界中でもトップクラスなのだ。
そんな世界で普通に生きてきた僕が、新しい世界でちゃんと生きていけるのか。
答えは否だろう。
ならば、今までよりも自分の意志を大事にしないといけない。
クズだなんだと言われようが、自分の幸せを掴むのは自分なのだ。
やってやろうじゃないか。僕の思うがままに生きてやる。
「もちろんです。決めたんです、次は自分も大切な人も守る。欲張りかもしれませんが、自分の思うがままに生きていきます。」
「うむ。いい返事だ。
君の第二の人生だ、思うがままに、例えそれが我儘でも貫き通せばいい。
私たちはその先の未来を楽しみにしていよう。」
「ありがとうございます、キーア様。」
よし、神様からの後押しももらえれば尚覚悟が固いものになる。
楽しみだ。
「では、友原 優 くん
新しい世界を楽しんできてくれ。くれぐれも早死にしないでくれよ。」
「私たちは基本見ていることしかできないのですが、もしかしたらどこかでまた会えるかもしれません。」
「ありがとうございます....!頑張ります!」
僕がお礼を告げると、次の瞬間なんだか眠たいような、意識が薄れるような不思議な感覚がしてきた。
これが転生の兆候的なものか。
神様とはお別れか...また会いたいな。
「では、世界神ユトリアと」 「世界神キーアが祝福を授ける。」
『汝の未来に希望と栄光を。』
二人の祝福に包まれながら、僕の意識は眠りについた。
「さよなら、友原 優くん、君の未来が幸せに溢れていることを願っているよ。」
「また会える時を楽しみにしていますよ。」
意識が薄れていく中、そんな声が聞こえた気がした。
お待たせいたしました。次から異世界での物語開始であります。
次話をあ楽しみに。
詩幽乃