プロローグ ②
家を出て、少し経った頃
後ろから僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「おーい!優!」
振り返って見てみると、そこには一瞬女性と見紛われるほどの華奢な顔立ちをした男子が立っていた。
"立川 凪"
僕の幼稚園の頃からの幼なじみであり、いわゆる美少年というやつだ。実は女なんじゃないかと疑っている。
父を生まれてすぐに亡くしてしまって、母親と二人暮らしをしている。
整った顔立ちは母親譲り。
「おはよう!優!」
「あぁ、おはよう」
挨拶を交わした後、凪が僕の横に並んで歩く。
「今日から僕たち高校生だよ!楽しみだね!」
「そうだなぁ...不安もあるけどな...」
「大丈夫だよ!きっと楽しいから!」
「.......そうだな」
凪の言葉で少し前向きになれた。昔から人を元気付けるのが上手いやつだ。
何度もこいつには助けられたっけ...
しばらく歩いてると右側に、立ち並ぶ建物の間に白い塀で囲まれた工事中の建物があった。
「そういえばさ!この場所、来月には工事が終わってビルができるらしいんだけど、その一階にカフェができるんだって!
完成したら行ってみようよ!」
「あぁ、いいけど、情報早くない?まだ完成もしてないのに...」
「あれ?割と噂になってるけど...優は聞いたことない?」
「いや...うちの父さんと母さんもそんな話はしてなかったな...」
凪の情報の速さはどこから仕入れてるんだろうか。
気になるところだが別に聞くほどでもないし聞かなくてもいいだろう。
そんな考え事をしながら、その工事現場の間を通ろうとした時、
上から体が震えるほどの轟音が聞こえた。
咄嗟に上を見上げると、建設途中のビルから煙が舞って、その煙の中からいくつもの鉄の建材が顔を出している。
凪の方に目をやると同じように上を見て驚愕の表情で固まっている。
「なにが起きたんだよ...」
「わ、わかんない...爆発?かな...作業員の人たち大丈夫かな...」
凪が携帯を手に取って写真か何かを撮ろうとしている時
もう一度上を見上げると、爆発の時、見えていた建材が落ちそうになっていることに気づいた。
僕らの真上にあるその鉄骨は落ちてきたら間違いなく僕らの頭上に落ちてくるだろう。
「(まずい...!このままじゃ潰される...!)」
音を立てて建設途中のビルが傾く。
...そして、限界を迎えた建材は僕らに向かってまっすぐに落ちてきた。
ーーー僕は考えるよりも早く、体が動いていた。
これが最善策だと、咄嗟に思ったのだろう。
凪だけは、助けたいと思った。なぜかそれが僕にとって一番の選択肢だったのだろう。
僕は、力の限り凪を突き飛ばした。
わずかだが、一瞬だけ体に建材が当たる感触がした。
驚いた顔でこちらに手を伸ばす凪が、僕が最後に見た光景だった。
ここまでがプロローグです。
他の作家様に比べたら文字数などは少ないのかなって思いますが、そこら辺は自分と相談しながら今後も調整していきたいなと思います。
本編もお楽しみに。
詩幽乃




