プロローグ
「いい人になりなさい。」
いつだっただろうか
小さい頃、祖母に言われた言葉だ。
どこか暖かい記憶で、所々靄がかかっているような記憶。
それ以外の記憶がほとんど無いのに、なぜかその言葉だけが頭にずっと残っている。
当時まだ幼かった僕は、今は亡き祖母の、その言葉の意味をよく理解できなかった。
「いい人」ってなんだろう?
その問いが頭から離れぬまま、これまで生きてきた。
「優ちゃ〜ん!朝ごはんもう出来てるわよ〜!」
階段の下から母の声が響いてくる。
「わかったよ、母さん」
読んでいた本を閉じて、僕は一階へと向かった。
”友原 優”
今年の春で新高校生となった僕は
特に自慢できるようなことがあるわけでもない、平凡な学生だ。
自分はそう思っている。
一階に降りると、もう既に父と母がもう食卓についていた。
僕もいつもの席に座って食卓に着く。
「もう今年から高校生かぁ〜、子供の成長って思うよりも早く感じるんだなぁ。」
「小学校の頃の優ちゃんはあんなに小さかったのにねぇ」
昔から見た目が変わったように見えない両親の言葉に苦笑いして、食事を口に運ぶ。
「言ってもまだ高校生だよ?大袈裟だなぁ」
こんな両親との何気ない会話がとても楽しかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「じゃあ、行ってくるね」
朝食を食べ終え、準備を済ませた僕は玄関のドアのドアノブに手をかけ、両親に言った。
「あぁ、行ってらっしゃい」
「頑張ってね!」
両親の見送りに背中を押されて、通学路につく。
「(楽しみだなぁ...不安もあるけど)」
これから僕の楽しい学生生活が始まることに不安と期待を抱きつつ、僕は学校へと足を進めた。
みなさま初めまして。詩幽乃と申します。
実は今作が初めての執筆であり、足らないことがあるかもしれませんが温かい目で見たいただけると幸いです
異世界ファンタジーと謳っておきながらこのプロローグでは異世界要素がカケラもありません。
展開をお楽しみに。
このシリーズは随時更新していく予定なのでまた見ていただけたら嬉しいです。
詩幽乃