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私に何が起きている?

 この国はかつて貴族至上の国だった。平民は貴族の影を踏むことも許されないような暮らしをしていたらしい。

 ところがそこからだんだん力をつけてきたのはブルジョワ階級。財産で爵位を買い貴族に食い込み徐々にだが貴族を圧迫していった。

 それが今から百年位前。私の実家はそのブルジョワ階級だった。

 貴族の一部は平民に教育を与えるようになり、一般庶民にも教養が付き今となっては貴族は爵位があるというだけのものも少なくない。

 貴族専門の学校も今はブルジョワに門戸を開いている。

 そしてうちはブルジョワの家だったりする。

 織物産業を一つ持っており、ちょっとした町の人口ぐらいの人を雇っている。

 悪友たちは貴族の娘だが既にそうしたことでいさかいが起きることは無い。

 これに関しては両親は昔の先人の苦労のたまものだとそう言っていた。

 ブルジョワ階級の生徒と貴族階級の生徒は今は半々くらいでいる。

 ブルジョワが台頭して貴族階級から取りこぼされた貴族もいたからだそうだが。

 後は婚姻によって貴族家系を取り込んだりだとか。昔は爵位を買うということもあったそうだが現在は爵位の売買は禁止されている。

 まあとにかく我が家はブルジョワだ。だから私に苗字はない代わりにウイービングという家業を名字代わりにしている。

 私はジャネット・ウイービングと呼ばれている。

 学園は結婚相手を探しに行くということもあるのだが。私の家では学園で見つからなければ親戚の中で結婚相手を見つけると言っていた。

 親族に特に問題のある人間もいないし嫌いな人間もいないのでそれでいいと学園では積極的に相手を探してはいない。

 それなのになぜか私の周りで妙な噂が蔓延している。

「心当たり、ないわけ?」

 マリアンヌが私の顔を覗き込んだ。

「変だよね、昨日まではそんな話聞いてないのに今日になって急にだよ」

 私、ジャネット・ウイービングが貴族の男性を何とかものにしようと物色しているという噂は私が登校してきたときにはクラス中に広まっていた。

 そして昼休みには学年中に。

「なんで?」

 クラスはまだいい、クラスメイトは私の日ごろの行動を知っている。男子棟にやたらと行ったり男女共同クラスの時に物色したりなんかしたことは一度もないと知っている。

 だが近所のクラスではそうした話を知らない人間の方が多い。

 そして、トラブル発生。

 知らない女生徒に取り囲まれている。

「ちょっと財産があると思って」

 けっこう可愛らしい顔立ちなんだがそれを引きゆがめて睨んでいる。

 財産のことを言っているというとこの女性もブルジョワ階級だろうか。

 ブルジョワ階級にも序列はある。財産の額という実に情緒のないものだが。

 財産額をさして自慢した覚えのない私としてはこのような詰問をされる覚えはない。

 しかし多勢に無勢このまま袋叩きにされたらどうしようもないなと胸の内で呟く。

 助けを求めようにも誰もが見て見ぬふりをしている。



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