学園祭二日目 3
アリスさんがこの面白そうな話を広めるべくウキウキと駆け去っていくのを見送った後私はいつ奴が現れてもいいように待ち構えていた。
しかし待ち構えているときに限ってこない。
私は適当に歴史の発表などを見ていた。
将来がかかっているので、いろいろと力を入れている。
そして、やはり高位貴族、どこで見つけけて来たのかという希少本を資料に使っていた。
そして、あっちこっちでひそひそとこちらを窺い見ながらうわさ話に興じているのが見えた。
さてどのような噂が広がっているのやら。
アリスさんも明日発表だったはずだ。つまり本日は完全フリー、つまり噂し放題。
頑張って。そうこっそり応援しておいた。
ラリーやロビーが発表をやっているのが見えた。
どうも最近はやりの新機構の機械を発表していた。
蒸気機関という最新動力源を使った機械らしい。蒸気を使う。つまり薬缶の蓋が吹き上がる力を使うらしい。
なるほど織機を上下させるとき今の機械だと人力で動かしているけれど。その上下運動を蒸気機関を使えば。
だけどその場合人力を使う場所はどうすれば。それに蒸気を使うということは周囲は大分熱くなるはず。
そうなると周辺の労働環境と、製品の質に問題が出ないかしら。
熱に強い木綿ならともかく絹織物はとても熱に弱いはず。
そうなるとこれを導入するための障害はとてもたくさんあるわね。
それに蒸気機関を導入するためにかかる資金も問題だわ。
だとすればどれくらいかかるかしら。
とはいえ蒸気機関を導入する企業は増えるでしょう。我が家も乗り遅れるわけにはいかないでしょうし。そうなるとどうしましょうか。
「これの骨格はうちの仕事になるかしら」
マリアンヌが腕を組んでしばらく考え込んでいた。
確かに、躯体を作るならマリアンヌの実家だろう。
「そうね、今度うちの工場に来てみる。採用するかどうかは別として、工場の中を確認してどれくらいの大きさにするかを考えることもできるんじゃない」
「あ、それいいね、工場をいくつか確認してみるといいわ」
私は父を呼んでマリアンヌのお父様が参考にできないかと見学をしていいか確認しておいた。
マリアンヌと私はしばらく見学をしていたが、やはり私たちの方をじろじろと見る相手はとても多かった。
やっぱり面倒くさい。
「ちょっと貴女」
ああ、序列十五番目のおうちサザンクロス公爵家のお嬢様。アドリエンヌ嬢は本日も巻き毛がとっても個性的にうねってますね。
私とマリアンヌ、メディアは一歩下がって一礼する。
たとえ学園内でも下手な教師より公爵令嬢を貴ばねばならないという鉄の掟がある。
「妙な噂を聞いたのだけど」
「そうですか」
さっきばらまいた噂だろうが。でも私は嘘なんか一言も言っていない。
「明日が楽しみね」
「そうですね」
発表会は女子は最終日に回されることが多いから。




