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甕(かめ)とキャンディになった私達は、そうして誰もいなくなる。(掌編。異世界転生(物)もの。シリアス)
お題は、
「私達は人間でした」で始まり、「そっと目を閉じた」で終わる物語。
でした
私達は人間でした。
以前は女子高生でした。
高校で授業受けてたら、目の前に白い光がパァーッて溢れて… 気がついたら異世界っていう。 そうこれはクラス転生でした。
今、私は異世界で甕をやっています。
クラスの皆は私に入ったキャンディになっていました。
私達は今、ある王国が運営する闘技場の、その舞台直前の廊下にある甕とキャンディです。
闘士たちは皆、クラスメイトたちが変じたキャンディを口に含んで舞台へと通り過ぎていきます。
キャンディを食べた闘士はもう帰ってきません。
勝ったのか、負けたのか。生きてるのか死んでるのか。それも分かりません。
食べられたキャンディも、もう帰ってこない。
せめて猫の入った甕だったらよかったのにな。
そしたらあの名作に登場できたかもしれないのに。
そんなことを思いながら、クラスメイトたちが取り出されて行くのを見終えて、私は、そっと目を閉じました。