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ねこみみ日和  作者: むしゃとら
8/10

ノアとくじ引き

12月、昼間も寒くなってきたこの頃、ノアは例のごとく商店街に来ていた。

今は八百屋の前で何やら話しているようだ。


「いつもありがとねぇノアちゃん、」

「いえいえ〜、こっちこそ助かってますよ!いつも美味しい野菜ありがとうございます!」

「あ!そうだ、ノアちゃん、今くじ引きやってるんよ、」


思い出したかのように手をぽんっと打つ八百屋の店長さん


「くじ引き?」

「そう、なんと1等でペア温泉旅行券!、2等はお米一升で、3等は……」

「ペア温泉旅行券……」


温泉旅行の言葉を聞いた途端、ノアの目の色が変わった。


「(タクヤと温泉……しかもペア…同じ部屋……!)」

「…の、ノアちゃん?」


突然あごに手を当て考え込み始めたノアに少したじろぐ店長さん、


「あ、ごめんなさい、それで!そのくじ引きはどこでやってるんですか?」

「すぐそこだよ、ほら、テントたってるでしょ」


指された先を見ると、確かに赤いテントがたっていた。そこには折りたたみ式のテーブルがあり、ガラガラが置いてある。


「この券1枚で1回、回せるからね、いつものお礼に1枚でプラスだよ」


そう言って手渡されたくじ引き券3枚を手に、ノアはテントの方へと歩き出したのだった。



表を見ると、そこには……


金 1等 ペア温泉旅行券

銀 2等 米俵

赤 3等 ギフト券

白 4等 箱ティッシュ


と書いてある。

ここはなんとしてでも1等を当てたいノアさん、絶対当てる!という意気込みからか、ノアのしっぽはピン!と張り詰めていた。


「よーし、タクヤと温泉旅行に行くぞ〜!…………すいませーん!くじ引きます!」

「あ!ノアさん、3回ですか?じゃあ、このガラガラを回してください」

「…………んにゃ」


張り詰めた空気が辺りに漂い始める、ノアの真剣さは後ろ姿を見ただけで分かるくらいだ。


「……よし」


ノアはその手をハンドルにかけ、回し始めた、中の玉がジャラジャラと音を立て始める、その感触がハンドルを伝い、ノアの元まで届く。


そろそろ一回転する頃、そこでノアは思い切ってハンドルを下げた。

そして出てきたのは……


黒い玉だった。


そこで一瞬時が止まったようだった、少しして、ノアの目の前で甲高い音が聞こえた。


「特賞!おめでとうございます!黒は特賞です!!」

「にゃ!?び、びっくりした……と、特賞?そんなのどこにも……」


急な音にビクッと跳ねるノアだった、近くでの急な音にはなかなか慣れないようだ。

ノアはもう一度表を見直した、だが、そこに黒の文字はなかった。


「特賞はそこには書いてませんよ、秘密の賞なんです、」

「…………にゃ?秘密?」


「秘密」の言葉に喜んでいいのか、温泉旅行券が当たらなかったことに悔しむのかどうすればいいか分からなく、オドオドしているノアさんだった。



「……それで、その特賞って何なんですか?」

「特賞は、今からの季節にピッタリなこたつです!」

「こたつ?それって、あの暖かい?」


困惑が解けていないノアさん、質問しか口から出てこなくなってしまっていた。


「はい!こういうくじ引きの特賞は家電って相場が決まってるんですよ!」

「に、にゃ……そのこたつはいつ貰えるの?」


首を傾げてノアが問いかける。それに店番をしていた人は、


「はい!今からでも大丈夫ですよ!」


と即答、そんな余裕は何処にあるんだ、とツッコミを入れたくなったノアだったが辞めておくことにしたようだ。


「わかりましたにゃ!それじゃあ私が持っていきます!」


……こうして、タクヤとノアの家に、こたつが仲間入りしたのだった。



「た、ただいまぁ〜……疲れたにゃぁ……重い」


こたつの入った箱を抱え、やっとのことで家へと帰ることのできたノア、その箱をリビングへと持ってゆくと、早速組み立て始める。


「えーっと、これをここにさして……」


当てたこたつは軽い組み立て式となっており、足4つと本体2つ、それに可愛い猫柄の毛布が付いた計7点セットとなっていた。

夏には毛布をとって机としても使える親切設計だ。


「にゃ!できた!!あとはコンセントを繋いで〜…」


カチッと音がなり、コンセントがはまる、小さめのテーブルほどあるこたつの完成だ、置く場所はテレビとソファの間、ここでタクヤとテレビを見たいらしい。

コンセントの根元にあるスイッチを入れるとこたつの中が暖かい色でいっぱいになった。


「おお〜!すごい……じゃあ早速…」


ササッとこたつの中に下半身を潜り込ませるノア、


「ふにゃ……これは…にぇむくなるやつ……だ」


ノアがこたつに入ってから数分後、リビングには可愛い寝息だけが響いているのだった。




「あー、寒ッ!なぁ里咲、12月の夜ってこんな冷えるんだったか?」

「……セ、センパイ…大丈夫です、き、きっと……」

「何がだよ!」


仕事からの帰り道、とっくに暗くなった道をタクヤと里咲2人で歩いていた、


「じゃあセンパイ、私はお先に暖かい麗しの我が家へ行くので!」

「あ!ずるいぞ里咲!俺も寒いのに……」

「急いで帰るのが1番いいですよ!帰ったらノアちゃんも待ってますよ!」

「……そうだな」


そうつぶやくと、里咲に別れを告げ、家へとかけ出すタクヤだった。



「ただいまぁ……」


家へ着くと、玄関をあけ、中に入るタクヤ、だが、何か違和感に気づく。


「(あれ?今日はノアが来ない?)」


そう、いつも帰ると出迎えてくれるノアの姿がないのだ、忙しいのか?と思い、そのままリビングへと入ってゆくと、そこには……


「むにゃ……すぅすぅ、」


何故かあるこたつに突っ伏したまますやすやと眠るノアの姿があった。


「ノア?……寝てる、これは起きそうもないな……せっかくだから、俺も入るか」


タクヤはノアの横へとゆくと、一緒にこたつに入る、


「俺も寝ようかな……ノアがこれじゃ何もできないしな…」


そのまま2人は眠りに落ちるのだった。




いつもありがとうございます!むしゃとらです。

時間が無くなってあまり後書きが書けません、すいません……

いつもこの「ねこみみ日和」を読んでいただき、本当にありがとうございます!

次はもっと余裕を持って執筆するので今回はこれで失礼します。

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