タクヤと猫カフェ?
「センパイ、今日、猫カフェ行きません?」
始まりは里咲のそんな一言だった。
「猫カフェ?…………いいぞ、」
「やった!、じゃあ終わったら一緒に行きましょ」
簡単に答えるタクヤだった…
この判断があんな結末を迎えるなんて……この時はだれも予想だにしなかったのだった。
今日一日の仕事後終わり、さっそうと帰路につこうと席を立つタクヤの元に何やらウキウキしている里咲が駆け寄って来る。
「センパイ、行きましょ?ささ、早く!」
「わかったから、引っ張るな!」
傍から見れば1組のカップルのような二人だったが、里咲は気にせず街中へと入ってゆくのだった。
「センパイ!見てくださいよ!夕方なのにめちゃ明るいですよ!」
「……そうだな、というか来たことないのか?あんなに詳しそうに話してたのに」
「いやー、ネットで調べただけなんですよね……行ってみたいなって思ったんですけど、あたし1人だとちょっと……」
「猫カフェか…」
実際、タクヤも気になってはいたのだが、自ら行く気にはなれていなかった
「……あれ?里咲?」
「センパイ?どうしたんですか?」
タクヤは何かを思い出したように里咲を呼び止める。
「いや、お前って猫のアレルギーなんじゃなかったか?」
タクヤのその言葉に固まる里咲、こう言われては言い逃れ出来ない
「…………セ、センパイ?行きましょ?もうすぐそこですし……」
「何を隠してるんだ?里咲、あ!待て、逃げるな!」
自身の身の危険を感じたのか、急ぎ足で目標地点へと向かいだした里咲、そして、その後ろを追いかけて行くタクヤ
しばらくこの追いかけっこが続いていたが、里咲が捕まったことで終わりを迎えた。
「捕まえたぞ、さぁ吐け!何を隠して……」
「……はぁ、はぁ…着きました…着きましたよ?センパイ」
「……え、着いたって」
里咲が向いた先を見ると、そこにはメルヘンな書体で「猫かふぇ lemon」と書かれた看板とオシャレな外観を兼ね備えた喫茶店があった。
「……せ、センパイ…ちょっと息整えていいですか?……はぁ、」
「それは別にいいけどな…?」
「すぅ〜はぁ〜……よし、じゃあ入りましょうか!センパイ!」
「よし、ちょっと待て、一度話し合おう、ち、ちょ!引っ張るな、ま、まてぇ〜〜!!」
里咲とタクヤの影はその喫茶店の明かりの中へと吸い込まれて行った。
里咲に引っ張られ、店に入ると、そこにはねこみみをつけたメイドさん?が接客をしている様子が見えた。
入店した2人に気づき、その中の1人が駆け寄って来る。
「いらっしゃいませにゃ!何名様ですかにゃ?」
「2人でーす!」
何食わぬ顔で淡々と応える里咲と対称的に、タクヤはと言うと……
「(…………ノアが、ノアがいっぱいいる…これは夢だ、夢、)」
と心の中でずっと繰り返していた。
ただ立ち尽くしているタクヤを見てか、もう1人のメイドさんが真っ白な髪を揺らしながら駆け寄ってきた。
「どうしたんですか?」
「…………あ、い、いや、なんでもないです……あれ?というか里咲は?」
「お連れさんなら先程、あちらに行かれましたよ」
手を向けられた方を見ると、真剣にメニューと向き合う里咲の姿があった。その隣で、黒いねこみみを付けたメイドさんがニコニコしている。
「……あの様子じゃ、あそこに行くのは難しそうだな…」
「では、よ……ではなく、私が案内します!」
「ふんす」と自慢げに自分の胸に手を当て、頭の白いねこみみをピコピコと動かす銀髪のメイドさん
「お、お願い、します」
「では、こちらへ」
勢いにやられ、結局このねこみみメイド喫茶を利用することとなったタクヤだった。
「あの……」
「どうされましたか?」
「じ、自分はなんて呼べば良いんでしょうか」
タクヤは席に座り、目の前の銀髪のメイドさんに話しかける。
「わたしですか?わたしは、す、スノウ…です。名前はこの髪の色からで」
目の前のメイドさんは、スノウ、といった。
髪は城に近い銀髪でとてもきらびやかに光っている、その瞳はまるで炎のように紅く、キラキラと光っていた。
外見はノアよりも年下のように見えた
「じゃあスノウ…さん、何かおすすめはありますか?」
「はい!おすすめは、このオムライスですよ!ご主人様!」
彼女が指したのはこの店1番の人気商品、オムライスだった。だが、タクヤはそれ以上に戦慄していた。
「(そうだった、ここメイド喫茶なのか、だからご主人…って……なんか恥ずかしい…)」
「?」
そんなタクヤを見て、首を傾げるスノウさん、少しして、もう一度タクヤに話しかけた。
「あ、あの……ご主人、様?どうされますか?」
「はっ…ご、ごめんなさい!注文は、オムライスでお願いします」
「は〜い、わかりました!ちょっと待っててくださいね!」
そう言い残し、どこかへ走ってゆくスノウさんだった。
スノウさんがどこかへ行って数分後、スノウさんはお皿を片手にタクヤの元へ帰って来た。
「おまたせしました!ご注文のオムライスです!」
「……おお!」
思わず声が出て閉まった。
目の前に黄色く輝くオムライスは可愛い猫のような形にかたどられていた、ちょうどいい半熟加減で、美味しそうな香りがただよっている。
「じゃあご主人様、今からお顔を描きますので、可愛く出来たら褒めてくださいね」
そういうと、手に持っていたケチャップを使い、黄色いキャンバスに猫の顔を描き始める。
「おおお!」
「出来ました!どうですか!?ご主人様」
その黄色いキャンバスにはとても可愛くデフォルメされた猫の顔が描かれていた。
キラキラと目を輝かせながらタクヤのことを見つめるスノウ、そんな彼女に、いつもノアを褒めるのと同じように、
「可愛いよ、ありがとな」
「〜っ!!い、いえ、ありがとうございます!」
少し照れながらも子供のように喜ぶスノウ、
「えへへ〜、嬉しいなぁ……あっ!冷めちゃう、ぜひ食べてください!」
「あ、ああ、そうだな…じゃあ…………」
スプーンを片手に目の前のオムライスへと近ずけてゆく……が、手が止まってしまう。
「ダメだ…」
「え?」
「可愛くて食べられない……」
「えぇぇぇぇぇ!」
少し控えめな絶叫が、店内に響き渡るのだった。
「……おいしい」
やっとのことで食べる事が出来たタクヤだったが、食べてからは手が止まらなくなってしまっていた。
「ご主人様、なんだか懐かしい匂いがします……」
スノウが呟いた。
「懐かしい?」
「……はい、何か暖かいみたいな……あの子を思い出します…」
「あの子って?」
「いえ、なんでもありません」
少しあわあわとしながら答えるスノウさんだった。
「あっ…もうすぐ閉店の時間!」
「ほんとだ…」
気がつくと時計の針は9時をさそうとしていた。
「じゃあそろそろお会計で」
「分かりました!ではこっちです、ご主人様」
2人は立ち上がるとレジの方へと歩いてゆくのだった。
「も〜、センパイ、遅いですよ!あたしが出てからもう30分もたってるんですよ!」
「すまんすまん」
店を出ると、扉の隣で待ちくたびれていた里咲が走って来た。
「なんですかその態度、ほんとにもう……まぁいっか、それでそれで、センパイ、どうでしたか?初めてのメイド喫茶、」
「…………まぁ、良かった、飯も美味かったしな」
その反応に里咲は笑みをこぼしながら、
「センパイ、ノアちゃんのこと恋しくなりました?」
「……まぁな、あいつみたいな人は居たがやっぱり…………は?」
「くふふ、じゃあ、センパイとノアちゃんってやっぱり?」
手で口元を隠し、何やら考える里咲、
「ちょっと待て、なんでお前が知ってる!?俺はなんも言ってないぞ!」
お手本のように慌てるタクヤ、そこには先程までの笑顔はなかった。
「それよりセンパイ、」
「なんだ里咲、なんでお前がノアのことを……」
「さっきからスマホ鳴りっぱなしですけどそれって?」
「え?………………あぁっ!」
画面を見ると、『自宅』からの不在着信が99+となっていた、タクヤの顔からだんだん血が引けてゆく……
「里咲、来世で会おう、じゃあなっ!!!!」
「あっ、センパイ!センパぁ〜〜イ!」
そこには明るすぎる夜道を冷や汗をかきながらかけてゆく男の姿があったという…
どうも!学校でドクペが飲めるというか事実に舞い上がっているむしゃとらです。
そうなんです!なんと、学校の自販機にドクターペッパーがあったんですよ!まぁ、当然買いますよねw
そして、教室でプシュ!と開けて飲む背徳感と比例してめちゃうまい。
高校最高かよ……
はい、本題に入ります。
というわけで、まず、お読みいただき、ありがとうございます!
今回はタクヤ回でした。こんな内容で書いてますが、私自身田舎住まいなのでメイド喫茶行ったことないんです、
私の少しのネット知識で書いたものなので何か違う所など見つけても目をつむっていただいくと嬉しいです……
あ、あと、そろそろ新しい子出そうかな〜なんて考えてますw
それでは、次回もよろしくお願いします!