表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねこみみ日和  作者: むしゃとら
6/10

里咲と突撃!

今日は日曜日、気温も寒くなり始めてきた11月下旬、自宅にいる里咲は何やら企んでいた。


「………センパイ、急にお家に行ったら驚くかな?」


始まりは里咲のそんなつぶやきからだった。


「今日日曜日だし、出かけるついでにちょっとよってみようかな〜」


里咲はこれから近くのスーパーへと向かうつもりだった、タクヤの家と真逆にあるスーパーなのだが…


「ついでのついでに〜、次こそノアちゃんをモフモフしたいなぁ〜!」


里咲はせっせと支度をし、玄関を飛び出した。




「なぁノア、俺今から出かけるんだが、一緒に行くか?」

「…んにゃあ?私はお家で寝てるから…行ってらっしゃい……にゃ、鍵は大丈夫だよ私、すぐ気づくから……」


少し寝ぼけたノアがソファに寝そべりながら答える。

ソファの背もたれからしっぽだけがゆらゆら揺れている。


「わかった、それじゃあ行ってくる」

「…………にゃ」


ノア1人、夢の世界へと歩むのだった。




「…………来ちゃった…どうしよう、センパイいるのかな?」


()()()()家の前までたどり着いた里咲はここに来て少し戸惑っていた。


「まぁ、日曜日だし、いる…のかな?いやでも、センパイがゆっくり休んでる可能性も無きにしもあらず……」


あごに手を当て考える人のような体勢になる里咲、その後もブツブツと何かをつぶやいていたが、しばらくして意を決したようにインターホンの前に進んでゆく。


「…………よし」

ーーピンポーン!


里咲がボタンを押すと同時に、家の中に軽快な音が響く。


「……………………」


だが、家からは誰も出てこない、里咲の頭に?マークが浮かぶ。


「あれ?反応無い…やっぱりセンパイ居ないのかな?鍵かかって……ない…無いの!?」


先程までの?マークは!?へと変わり、里咲は慌て始めてしまう。


「待って、もしかして、センパイの家に誰かいる?いや、でも…センパイ居ないみたいだし…これって空き巣……?」


里咲はまた何やら悩み始めたのだった。



「んんぅ〜……にゃあ♪……すぅ…」


一方その頃、外の事情など知らないノアはぐっすりと眠りについていた、大丈夫とは一体…?



「…センパ〜イ、失礼しま〜す」


小声で挨拶を済まし、玄関に足を踏み入れる里咲、今の彼女には「センパイを助ける!」という謎の意思があるからか、何故かその背中は堂々としていた。


「…失礼しま〜す、センパイ、居ますか〜?」


そのまま歩き出し、リビングの扉をそっと開く。


「あれ?ほんとに居なっ………………」


まずはリビングを探すらしい里咲だったが、少し歩き出した所でまたすぐに足を止めた。

理由は簡単


「(だっ、誰?なんでセンパイの家にこんなかわいい子がいるの?見た目…18歳?まさかセンパイが連れてきた!?)」


そう、そこにはぐっすりと眠りについている黒髪の美少女がいたのだ。

里咲の理解は追いつかない。


「(センパイいい人だと思ったのに!あれ、ノアちゃんは?でもセンパイはそんなこと…ん?でもこの前……?)」


そして里咲はひとつの結論にたどり着いた。


「センパイって、やっぱり彼女いたんだ!!きっとこの子はセンパイのお子さんでっ!」


タクヤの歳で18にもなる子供がいる訳が無いのだが……今の里咲には何も通じない。

つい、里咲は大声を出してしまう、その声にあてられ、眠りについていた少女は目を覚ましてしまう。


「…………んにゃ…タクヤ、うるしゃい……………にゃ?」

「………………!!」


起き上がった少女と里咲の目があってしまう、少女の翡翠のように輝く瞳が里咲の綺麗な黒い瞳をとらえて数秒間、いや、数分間固まったままだった。



初めに仕掛けたのは黒髪の少女、ノアだった。


「な、なんでタクヤじゃない人がいるの!?」


まぁ、仕掛けた…と言うよりは話しかけたに近いだろう。


「い、いや、あ、あたしはただ寄ってみただけで……というかここはセンパイ…じゃなくて、タクヤさんのお家で良いのでしょうか?」


改まって目の前の少女に問いかける里咲。


「にゃ?ここはタクヤのお家だよ?あなたは…………あっ!」


何かを思い出したようにノアは声をあげる。


「あなたって、前お家に来てたタクヤの後輩ちゃんだよね!」

「……え?まぁ、そう…だけど(なんでこの子が知ってるの?あの時こんな子居なかったような)」


里咲のギモンは深まってしまった。だが、そこまで来て里咲は何かに気づく。


「…………あれ?ねぇねぇ、なんで頭にねこみみがあるの?しっぽもあるみたいだし、もしかしてセンパイから無理やり?」

「…タクヤはそんなことしないよ!後輩ちゃん!」

「じゃあなんで……あ!じゃあさ、さわっていい?1回さわってみたい!」


そんなことより!とでも言うような話しの切り替えだった。


「にゃ?いい、けど」

「やったぁ!いやぁ、ねこみみ付けてる女の子撫でてみたかったんだぁ…あ!ふわふわ〜ほんとににゃんこモフモフしてるみたい!」

「こ、後輩ちゃん!そんな急に…にゃっ……くすぐったいぃ」


里咲はノアの声など気にせずにただひたすらモフり続ける。続けるうちにノアの声色がだんだん変わってきてしまう。


「ふわぁっ……後輩、ちゃんっ……ああっ…ダメ、そんなさわらにゃいでぇ……」

「もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ」


里咲が壊れた、ストッパー役が居ないとこうなってしまうらしい。


「あっ…あぁ、後輩ちゃん……やめてぇ!」

「もふもふもふもふもふもふもふもふ…………」


その後モフられ続けるノアの嬌声が部屋に響くのだった。




「…………ごめんなさい」

「はぁ…はぁ……わ、わかってくれたら…いいにゃ……はぁ」


その後、ノアの手で正気に戻った里咲はただただへこんでいた。

少し汗ばんでいるノアは里咲の前でへたれこんでいた。


「…………そういえばキミ、あの、センパイの家ににゃんこがいたと思うんだけど…ノアちゃんっていう」

「…え?」

「…ん?」


またしても沈黙が2人を襲う。

数秒後、ノアが口を開いた。


「後輩ちゃん?ノアって黒い猫のことだよね」

「そうだけど…」

「私は、ノアだよ?」


ノアが首を傾げる。


「え、ええええぇぇえええええ!!」


それは紛うことない今日1番、いや、今年1番の絶叫だった。




「それでそれで?ノアちゃん、センパイとはいつから一緒に住んでるの?」

「ええっと、確か6ヶ月くらい前?」

「じゃあ、センパイと一緒に…ねねね、寝ちゃったこととかあるの?」

「……えーっと、」


あの後、里咲の鬼のような質問ラッシュがノアを襲っていた。

なんで人みたいなのか、家でのセンパイはどんな感じか、ノアちゃんはなんであたしを嫌っていたか、センパイと一緒に寝たことがあるか……etc


これでもほんの1部、ノアは困っていた。


「こ、後輩ちゃん?落ち着いて、とりあえず、私はノアだよ、なんで人みたいなのか……は、楽だから、かな」

「うんうん、じゃあ、あの時なんであたしを襲ったの?」

「…………あれは、その、タクヤをと、取られちゃうかと思って」

「おおぉぉ!」


ノアのその言葉に里咲は奇声をあげた、ついにおかしくなってしまったのか?

いや、大丈夫なようだ。


「つまり、ノアちゃんはタクヤのこと好きなんだ」

「〜〜〜ッ!」


「好き」の言葉を聞いた瞬間、頬が林檎のように真っ赤になってしまうノア


「ねぇねぇ、いつから好きなの?センパイのこと、出会ってすぐ?それとも出会って時間経ってから?」

「こ、後輩ちゃん!そ、そんな、私がタクヤを好きにゃんて」

「あはは〜ごめんごめん、大丈夫、そんな無理やり言わせたりしないよ(後で吐かせる、絶対に)」


言っていることと思っていることが一致しない里咲だった。



「じゃあ後輩ちゃんのタクヤの第一印象って怖い人なんだ〜」

「そう!だって初対面で挨拶するのに佐藤タクヤだ、のひとことだけだったんだよ?」

「あはは、それは怖いよね、きっとあれだよ、タクヤって私に会うまで女の子に耐性なかったから」


その後、里咲とノアの会話ははずみ、二人は完全に打ち解けていた。

今はタクヤの話題で盛り上がっている様子だった。


「あ、ノアちゃん、あたしスーパー行かなきゃ行けないんだった」

「えー、後輩ちゃんもう行っちゃうの?でも、まあ仕方ないよね」


里咲、出かけた理由を思い出す。この時間、3時間ほど、猫が関わると周りが見えなくなってしまうようだ。


「じゃあ後輩ちゃん、またお家に来てね!」

「うん!あ、あとノアちゃん」

「にゃ?」


里咲が最後に、とノアに話しかけた。


「次はにゃんこのノアちゃんとも遊びたいなぁ……」

「………………んにゃ、いいよ!また今度遊ぼうね!次はタクヤも一緒に」

「やったぁ!次はセンパイも一緒かぁ、楽しみだなぁ」


少し微笑みながら、家をあとにする里咲なのだった。

どうも!運動不足に祟られて苦しんでいるむしゃとらです。

私、長い休みで全く運動してなかったんですよね、久々に走ったんですが、すぐバテて次の日全身筋肉痛……

運動不足、いいことないですw

はい、というわけで、今回は里咲と人の姿のノアの初対面です。タクヤの出番を増やしてあげなければ……

今回もクスッと笑って頂けたら嬉しいです!


最近少し時間がなくなってしまい、投稿が安定するか分からないです……

金曜日の22時なのは変わらないのですが2週に1度の投稿になるかもしれません。

投稿されたらTwitterにて告知するのでそちらの方もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ