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ねこみみ日和  作者: むしゃとら
4/10

里咲とノア

「ノアッ!今日一日だけ猫の姿になれないか?」


ある休日の朝、タクヤの必死な声がリビングに響く。


「…えっ?え?タクヤ、気、急にどうしたの?そんなに慌ててさ」


当然、目の前の黒髪ネコミミの少女、ノアは慌てる

それを見て、なにを思ったか土下座までしようとするタクヤにさすがにノアはストップをかける。


「た、タクヤ!わかったから、ね?顔あげて、なんでか話して?」


今回はノアの方が上だった。


「あ、ああ、取り乱してすまん、ノア…………それでな?」



それは以前タクヤの後輩、里咲との約束…?の事であった。


「センパイ、今度お家におじゃましてもいいですか?いや、させて下さい!」

「い、いいぞ」


この二行で終わる会話でなされた約束事にタクヤは今悩まされていた。

この会話から数日間、本気で忘れかけていたタクヤに一言


「じゃあ、明日よろしくお願いしますね〜行くので」

「……え?」


これまた二行で終わる会話だった。



そんなこんなで今タクヤは窮地にたっていた。


「そうなんです!今日後輩が家に来るので一日、いや、後輩がいる時だけでいいのでっ!」


もう一度ノアに必死になってお願いするタクヤ。


「…いいよ?でもさ?なんで私が猫になんなきゃ行けないの?だって私と会ってもなんともないじゃん、見た感じ人とおんなじだし」

「いや、それがな?その後輩が来るまではいいんだが、俺の家にネコミミ少女がいたら今後の俺の立ち位置が怪しくなる……」

「あ〜うん、そゆことね、つまりタクヤがどんな風に見られちゃうかが怪しいのかぁ〜」


ノアが納得したように頷く。


「あと、その後輩が猫アレルギーらしい」

「じゃあダメじゃん、私がいたらその後輩くんは苦しいよ?」


首を傾げてノアが一言、


「でも俺には反応しないらしいんだよ、だから見てみたい〜って」

「…………私って猫であり猫でないってこともあるしなぁ」


ノアがつぶやく


「ん?どうしたノア」

「いや、なんでもないよ!……でも分かった、良いよ。」

「ありがとうノア!」




「センパイの家って………ここでいいのかな?」


タクヤの家……の隣の家の前でウロウロする女性の影が一つ、その影の正体は千歳(ちとせ)里咲(りさ)、短い黒髪のタクヤの後輩だ、今日は何故かメガネはかけていない。

彼女は何かを決したように頷くと玄関の前に立つ


「すいませーん!センパ〜イ、来ちゃいました〜」


そう叫ぶと誰かが来るのを待っていた、

少しして玄関の扉が開かれる


「あっ!センパ〜イ遅かったですね部屋でも散らかっ…………」


言葉を続けようとする里咲が固まる、

それも当然、扉を開けて出てきたのは身長150ほどある里咲の2倍はありそうなガタイのいい男だったのだ。


「……?どちら様で?」

「……あっ、……あ…ああの、……さ、ささ…………」


男のたった一言で里咲がそこから動くことも出来ない程の威圧感、それにプラスしてサングラスをかけているので、もう何もすることが出来ない。


「……さ、さささ、佐藤さんのおうちでしょうか!!!!」


やっとの思いで言葉を絞り出す里咲、その言葉に目の前の大男は


「佐藤……ああ、佐藤さんの家はうちの左隣ですよ、ほらあそこ」

「……え?」


親切に指もさして里咲にタクヤの家の場所を伝える大男、その光景に思わず「え?」と声が出てしまうのは自然なことなのだろう


「あ、ありがとうございます、で、では!」

「はい、今度は間違えないように」


教えて貰うとそそくさと場を離れる里咲だった。



「今度こそ!」


もう一度決意し、次こそタクヤの家の玄関の前に立つ里咲、そしてもう一度声を上げるのだった


「センパーイ!こんにちは〜〜!」


「ねぇねぇタクヤ〜この声って…」


外から何者かの声が聞こえて来たことをノアが伝える


「そうだな、ちょっと行ってくる」

「…………分かった」


そう言って席を立つタクヤとは裏腹に少し声色が下がったノアだった。


「あっ!センパ〜イ、来ちゃった♡︎なんちゃって…」

「……はぁ、とりあえず入れ」


とりあえず里咲を家の中に入れるタクヤ、玄関に上がるとリビングの扉から小さな黒い影が出てくる。


「んにゃ?」

「はわわぁぁ♪あ、あれってぇ……!!!!」


それは漆黒の毛皮に光る翡翠のような緑色の瞳にピコピコと動く可愛らしいミミを持った動物……黒猫(ノア)だった。

ノアを見た瞬間、里咲の目の色が変わる。


「にゃぁ〜っ!!セ、セセセセンパイ!あれがセンパイの飼ってるにゃんこなんですよね!?か、かわわぁ♪さ、早速さわらせてもらってぇ…うへへ♡︎」

「ちょっ!落ち着け、わかったから、な?一旦リビングまで上がれ、それからだ」


またもや暴走する里咲を止めるタクヤ、暴れかけていた里咲は正気を取り戻す。


「…………はっ!…あれ?アタシ…今何を?」

「とりあえず上がれ、……はぁ」

「ち、ちょっとセンパイ!?アタシ何かしました?ねぇ!」


〜リビング〜


「……センパイ…アタシ何かこの子にしましたか?」

「何かしたんじゃないか?」


ソファに座る里咲とタクヤの元にノアがやってきた

……までは良かったのだが、里咲がノアにふれようと手を伸ばした瞬間、その手に猫パンチをお見舞いする。


「いたぁッ!ごめんね、何か悪いことしちゃったかな?」

「シャーッ!!うぅぅぅ……」


積極でにコミュニケーションをとろうとする里咲に対し完全拒絶なノア、そんな光景を眺めているタクヤは一言、


「……ははは、いずれ仲良くなるといいな」

「うぅ…やっとモフモフできると思ったのにぃ…」


里咲とノアが仲良くなるためにはまだまだ時間がかかりそう……?


「あっ、そういえば聞いてなかったんですけどこの子の名前ってなんて名前なんですか?」

「名前か?名前はノアだ、」

「おお〜ノアちゃんですか……って!イタッ!ごめんなさいって!ほら、可愛らしいお名前ですね!だから噛まないでぇー」


やはり仲良くなるには時間がかかりそうなのだった。



「センパイ!実はこういう物を持ってきているんですよ!」

「ほほう」


里咲がカバンから何がふわふわした物を取り出した

それは紛うことなきただの猫じゃらしだった!


「ほら、これ持って、フリフリ〜ってしてみて下さい!」

「こ、こうか?」


タクヤが猫じゃらしをふりふり、すると、丸くなっていたノアがそれにくぎずけになってこちらを見始めた。


「じーーー…………んにゃぁっ!!!!」

「うおっ!」


突然、勢いよく飛び込んでくるノアにタクヤは少したじろぐ、

先輩と猫のじゃれ合いを眺めている里咲は少しにやけていた。


「(ノアちゃん、可愛いなぁ……しかもセンパイが振り回されてるなんて…尊い!)」


里咲はカバンから自身のスマホを取り出すと、タクヤとノアへと向ける。


「(これは撮るしかないよねぇ……)」


カシャッ!カシャッ!とカメラのシャッター音が鳴る、だが、当の二人は気づいていないようだった。


「(えへへ〜、センパイとにゃんこ♪これは保存保存っと♪後でセンパイに見せたらどんな反応するんだろうなぁ)」


じゃれ合う二人(一人+1匹)とそれを撮影する一人、謎の光景がこの後数時間続くのだった。



「センパイ!今日はありがとうございました!ノアちゃんはモフれなかったんですけど、とっても楽しかったです!」

「そうか、それなら良かった」


空も茜色に染まり始めた頃玄関先でタクヤと里咲が何か話していた。


「そいえばセンパイ?なーんか今日、固くないですか?…………あっ!そういえばセンパイって女性経験ゼロなんでしたっけ?だから緊張を?あれれ?」

「うるせぇ!お前は別だべーつ、緊張はしてねぇよ。」

「なんですか別って!アタシは女の子として見てないんですか!?酷い……センパイのバカぁ……」


里咲がわざとらしく泣き始める、だがタクヤは何も気にせずただただ笑うだけだった。


「それじゃあセンパイ!今日はありがとうございました!()()絶対にノアちゃんと仲良くなるので!それじゃあ!!」


そう言うとササッと帰ろうとタクヤに背を向ける里咲。


「あぁ〜はいはい、またな、仕事も忘れんなよ…………って!次はってどういうことだ?また来るのか!どういうことだ里咲ぁ!」


タクヤは焦るが時すでに遅し、そこに里咲の姿はなかった。




リビングに戻ると人の姿となったノアがソファに座ってテレビを見眺めていた。


「ノア、今日はありが―――」

「…………何?」

「ノ、ノアさん!?」


いつになく声色が下がり不機嫌なノアさん、そんなノアさんにタクヤビクッと固まってしまう。


「ノ、ノアさん?わ、私は何か悪いことでもしてしまったのでしょうか……?」

「ねぇタクヤ……タクヤっていっつもあんな後輩ちゃんと会社でイチャイチャしてるの?」


ノアの冷たい声がタクヤの胸にグサリと刺さる。


「い、いや、アイツはただの後輩だ、特にそれといったことはない…」

「へぇ、そうなんだ……でもあんなに仲良く話してたり、わざわざ私を口実にして家に呼ぶ位は仲良いんだ〜……」

「………………」


かつてないほどお怒りのノアさん、タクヤは何も言い返せない。


「ノアさんごめんなさい……すいませんでした…でも本当にただ仲がいいってだけなんです!これといって何も無いです。」

「ふーん…………なんだ、それならいいかな〜、」


ノアの声色が良くなりタクヤは少し安心した、


「でもさ、タクヤ?」

「どうしたんですか?ノアさん」


それでも緊張が完全に抜けないタクヤは敬語になってしまう。


「これ以上進んじゃったら………………わかってるよね?」

「ひゃ、ひゃい…………」


今日一日でどっと疲れたタクヤだった。

この疲れのせいで次の日体調を崩してしまうのだがそれはまた別のお話



4回目のどうも!!むしゃとらです!

さぁ始まってまいりました!日常編!

今回はメインキャラ3人の初の対面でしたがどうでしたか?

眠気に負けず、金曜までの締め切りに負けず、筆者は頑張ろうと思いますw

あと今回、少し文字どうしの間隔をあけて見たのですが、以前よりも読みやすくなったでしょうか?次からもこの間隔で行こうと筆者は思っています。

最後に、これからもこの少ない語彙力で頑張っていく予定です、今後もこの「ねこみみ日和」をよろしくお願いします!

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