2人の1日【前編】
「…もう、本当にタクヤは」
タクヤを見送ったノアはもう一度ソファに腰掛け猫の出演するテレビ番組を見ていた。
「にゃは♪可愛いにゃぁ〜」
ご主人とじゃれ合っている猫を見て微笑むノア
「私もタクヤとこんなふうに遊びたいなぁ」
ときおりつぶやきながら番組を眺めていた。
テレビ番組を見終わるとノアは部屋の掃除にかかる。
「にゃ♪にゃにゃ〜♪」
鼻歌交じりにせっせと掃除機をかけるノア。
数ヶ月前、この家に来てから今日まででつちかった努力のたわものだ。
「よぉし、リビング終わり〜♪次は………あ、」
掃除機を片付けたノアは何かを思い出した。
「タクヤ、あんなに急いでたってことは…」
恐る恐るタクヤの部屋のドアを開ける。
「やっぱりぃ〜もう、タクヤは…」
そこにはタクヤの残骸が散らばったカオスがあった。
「何からすればいいんだろう…」
まずノアはあちこちに散らばったパジャマに手をかける
「…………よし、次〜」
手際よくたたんでゆくノア、あっという間に全てのパジャマがたたまれた。
「次に残ってるのは〜……にゃ!?これもかにゃぁ…」
タクヤに振り回されるノアであった。
「ふぅ、間に合った…」
間一髪、出勤時間に間に合ったタクヤだったがそこに隣の席から誰かが話しかける。
「あれ?センパイ、今日遅くないですか?」
「……あぁ、少し寝坊してな」
話しかけたのはタクヤの後輩の
千歳里咲、短い黒髪に同じく黒い瞳をした20歳の女性だ、
ちなみに赤いメガネをかけている。
「センパイ、今日会議ですよ?ちゃんと出来てるんですか?」
「ん?出来てるぞ、それよりお前も頑張れよ?」
「はーい」
その会話を折り目に2人は目の前のパソコンに向かい始めたのだった。
全てを片付けたノアは今、商店街に来ていた。
ねこみみをピコピコ、しっぽフリフリしながら歩いている。
「あ!ノアちゃん!いらっしゃい、今日は買い物かい?」
「こんにちは〜、はい!今日はひき肉ください」
ガラスケースに入ったひき肉を指さしお願いする
「分かりました〜、はい、これオマケね〜♪」
「いいんですか!?ありがとうございます!」
ノアは笑顔でそう答えた。
商店街ではノアは人気者だった。
歩いているだけで「ノアちゃん」と呼び止められたり
「あ!ねこみみのお姉さんだ!」と子供に話しかけられたりとノアは大慌て、
ノアが商店街に来はじめてから数ヶ月でこの盛り上がりよう…
さすが地域の情報箱、あなどれない
そのまま買い物が終わったあとも振り回され続けるノアなのであった。
「センパイ♪一緒にご飯食べません?」
今は休憩時間、そこで里咲はタクヤを呼び止めようとしている。
「あぁ、いいぞ」
短くそう答え席を立つタクヤ、
「あっ!センパイお弁当だ〜、自分で作ったんですか?」
「ん?あぁこれは作ってもらったんだ」
その答えを聞いた途端、里咲の目が光る
「へぇ〜、センパイって彼女いたんですか?どんな子なんですか?というかお弁当作ってもらったんですよね?」
怒涛の質問攻め、だがそれにタクヤは淡々と答える。
「いない、というか出来たこともないよ」
「あっ…」
やってしまった!というような顔で視線を泳がせる里咲、
それにタクヤは
「ちょっとまて!なんだその顔は、そうだよ、居ないよ今まで彼女なんて!悪かったな」
と講義の声をあげる。だが、里咲は「それじゃ辻褄が合わない!」とタクヤに言い返す
「じゃあ誰に作ってもらったんですか!」
「……………………………」
何も言わないタクヤに里咲は何かを確信する
「(やっぱり彼女いるんじゃ…)」
「猫だ」
「は?」
予想外の返答につい声が漏れてしまう。
「いやいやいやいや、センパイ?昨日お酒呑みましたか?きっとまだ酔いが覚めてない、分かりました、水持ってきます、頭からぶっかけてやりますよ!」
それは先輩を心配する後輩の純粋な気持ちからの言葉だった。
午後1時、ノアはリビングのソファで寝ていた。
「…むにゃ、たくやぁ……」
今は家に誰もいない、故にノア1人の時間だ。
そのため、ノアはすることも無くただ眠っているのだ。
「…のあはげんきぃ…たくやともっといたいなぁ……」
そんなこんなで2人の1日はまだまだ続く。
どうも!むしゃとらです。
2回目の投稿、楽しんでいただけたでしょうか?
今回のお話は前編と後編に分ける予定です。
元のノートの内容と変えるところが多々あるので少し長くなりそうなので…
とりあえず第2話、2人の1日【前編】ということで
前回のプロローグの続きとなっています。
これでタクヤとノアの1日がだいたい分かるかな〜
という感じです。
それと、今回から予約掲載設定をしてみました。
毎週金曜日の22時に投稿予定です!
(22でにゃんにゃんだね!やったね!)