女子高生の不審行動(序)
能代さんの悩みは、お姉ちゃんにあったようで・・・
【女子高生の不審行動(序)】
今日はカレーをみながら、読まずに積んだままになっている小説を一冊取り出して読んでいる。
今日は珍しく巡回連絡に会い、土井と喋ったからか、警察小説を読むことにしたのだった。
なんでも作者が元高級警察官僚だとの触れ込みで、かなり人気の高い作品なのだが、とにかくリアルな警察官像がそこにあた。読みながらも、思わず『あるある・・・』と思ってしまう場面が多い。
というのも、わが国ではとにかくサスペンスドラマが多いのだが、そこに登場する警察官像があまりにリアルからかけ離れていたりするのだ。それでもドラマは面白ければいいのだが、まれに証拠なんかそっちのけの推論のみで被疑者が落ちてしまうようなものもあり、『おいおいおいおい!』と思ってしまうこともしばしばで、さすがに一言いいたくなる。
とはいえ、私も決して一般人のレベルを超えて詳しいわけではない。
仮に警察官に同級生がいたとしても。
・・・そうして、2時間ほど。
分厚い上下巻を読み終えた。
いや、・・・なんというか、
ラストには驚いたぞ!
いろんな意味で!(笑)
と、読んだ小説に突っ込みを入れていると、梨桜が帰ってきた。
その愛娘の顔を見て・・・
・・・おいおい
・・・お前また何か厄介事を持ってきたな。(笑)
私はそう思った。
【女子高生の不審行動】
夕食の後、梨桜の話を聞くと、友達の姉の様子に疑問があるのだと言う。感触的に怪しい雰囲気はわずかな気がするが、事によっては土井の言っていた件と繋がるのかもしれない。
そう思って、再度連絡を入れることにする。
「もしもし土井だ、朝の晩の珍しいな。今度はどうした?」
「あぁ、またちょっと護衛のバイトをお願いしたいんだが。」
「いいぞ、一人でいいのか?」
「今度は護衛というより、行動確認をしたい。
それから、対象に気付かれたくもない。
だから、二人頼みたい。
それから、対象はお前が朝、注意したいと言ってた女子高生だ。
もし不審な接触が発見できたら、証拠写真込みで
報酬はこの間の額の倍でいい。」
「援助交際の疑いか?」
「可能性は高くはない。
念のためだ。」
「分かった。」
「一応確認だが、お願いできるのは会社OBでいいんだよな?」
「あぁ、もちろんだ。
それから、これはお前にも言っておきたいんだが、
『うちの社員』には触らないでくれ。」
「それがお前が二年もそこにいる理由か?」
「いや、俺は好きでここにいる。
ただ、OBや一般人に立ち入られると困ることもないわけじゃないからな。」
「そうだな。
そういえば今日来た駅前交番の巡査も、傍目には人懐っこいいい人そうだったぞ。」
「ああ。沢木だろう。
仕事熱心ないい警察官だ。俺もこっちに来てから目をつけてる。」
(目をかけてる、と言わないところがみそだな。)
「娘の学校のことまで丁寧に聞いてくれてたからな。
学区の違いまで把握してるなんて、相当なもんだ。
聞き取り中もタブレットなんかを使ってな。
いやいや、大したもんだ。
彼の門外不出データなのかもしれんが、
気には留めておいてくれ。」
「・・・
なぁ伸朋。」
「なんだ?」
「なんで俺たちがこんな回りくどい喋り方をする必要があるんだ?」
「それはお前が警察官で、俺が一般人だからじゃないか?」
「・・・そうだな。
まぁ、俺の抱えてる問題と根っこが一緒ならこっちは大助かりだ。
そういうのに慣れたやつに頼んでおく。
後で対象を知らせてくれ。
それから、タブレットの情報は感謝する。」
「OK。よろしく。」
そういって、対象のデータを送信しておく。
さて、所要の措置は終わったし、この件については寝て待つことにして、目先のGW、梨桜をどこに連れていくか考えないとな。
お立ち寄りくださり、ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。m(__)m