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突然ですが、娘ができました。2  作者: ほととぎす
第1章の2 中学3年生編 (援助交際疑惑)
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梨桜と千夜ちゃん

ストーカー疑惑にあって、怖い思いをしていた能代さんに

安心していいよ、と告げることに・・・

  【梨桜と千夜ちゃん】


 今日はいつものように、お父さんと一緒にカレーを仕込んで、それが終わると学校の課題をして過ごした。カレーのおいしい香りが漂う中、それを我慢して、お昼はかつ丼だ。


・・・うー、この上にカレーを掛けたい。(笑)

  (だけど晩まで煮込むので、まだ食べてはいけないのがウチの決まり!)


 ご飯と後かたずけが済むと、私は出かける支度をする。


 今日は能代さんと会うことになっていて、昨日『詳しくは明日話すけど、もう大丈夫だよ』とだけ伝えてある。


「いってきま~す。」

「うん。気を付けてな。」


 電車で二駅、すっかりお馴染みになってしまった喫茶店で待ち合わせる。・・・と言ってもお馴染みになってしまったのはストーカー疑惑について話し合っていた私たちだけなのだけど。


「こんにちは。本間さん。」

「うん。こんにちは。

 こうして休みに会うのは初めてだね。」


「うん。ごめんね、わざわざ。」

「ううん、こっちこそ。

 昨日話せるとよかったんだけど、遅くなっちゃって。」


「それで、犯人というか、相手は誰だったのかなって。」

「うん。ちょっと長くなるけど・・・」


・・・・・・


そう言って私は、この間のことを詳しく能代さんに話した。

いくら元気づけたいからとはいえ、いつも道端で見守ってくれていた山野辺さんからだったと知ると、彼女はかなり複雑そうな表情を浮かべていた。


小説のことも伝え行ってみようと尋ねたのだけど、どうも気乗りしない様子。


「無理に、とは言わないけど、ちゃんと謝らせてあげたほうがいいかなって・・・」


そう言って、そっと見つめていると、能代さんも顔を上げて小さく頷いてくれた。


「それにしても、告白されたのが文化祭の日で、すぐその後には友達に悟られてたのかな?」


「えっ?」


「ほら、山野辺さんが『元気がなかった』って言ってたこと。」

「あ。それは違くて・・・」


「えっ?」

「その子が話してくれなくなったのは3学期の途中からだから・・・。」


「あれ?それじゃ、11月ころは別に何もなかったんだ。」

「・・・えっと・・・」


・・・どうやら別の事で元気がなかったようだ。


なんか、私が見つめると話させるみたいで気がひけるな・・・

そう思って目線を落としていても、なぜかやっぱり一緒で・・・


「・・・えっとね、おねぇちゃんが・・・」


そう切り出す能代さん。


「え?」

(おねぇちゃん?)


「そのころからちょっとおねぇちゃんが・・・

 あの・・・

 いけない事してるかもしれなくて・・・」


いけないこと・・・

おねぇちゃんはいくつなんだろう?


「おねぇちゃんって、いくつ上の?」

「あ。2コ上の・・・だから今高2で。

 えっとね・・・

 援助・・・してるかも・・・しれないの。」


聞いてはいけない事だったのかもしれない。


「帰りが遅いとか、高い買い物をするとか?」


「ううん、そんな遅くはないんだけど、6時半とか、

 でもご飯はいらないっていう日が多くて・・・

 それに、土日も出かけることが殆どで・・・

 なんか、服とか買ってる気がするし・・・

 親にも注意されたんだけど、

 『やましい事なんて何もしていない!』って。」


仮にしていても『していない』とは言っちゃうよね。やっぱり。

それとも・・・本人がそう思っていない事・・・?


「ご両親に注意されるって事は、明らかにお小遣いの範囲を超えてお買い物をしている、ってことだよね?」


「う~ん・・・明らかにと言えるのかどうか、

 バイトもしていたから、それを取ってあったとか、ないわけじゃないかもしれないし・・・。でも、夏までやってたファミレスのバイトもやめちゃったんだよね、9月で。それもなんか関係ありそうな気がして・・・。」


「そっか、結構微妙なお金の使い方なんだ。

 帰りがそんなに遅いわけでもないし・・・

 ご飯を食べてくるとすると・・・

 ・・・そういうバイトとかかな?」


「うん・・・そういうバイトだったとしても、やっぱりやだよね。」


そういうバイト、高校生を売りにした大人の人とデートをしたりするアルバイトがあるらしいのだけど、そういうのもいつエッチなほうへ行くのかわからないから、とっても危険だと思う。


「わかった。ちょっとお父さんに聞いてみるね。」


「え?、梨桜ちゃんのお父さんも警察官なの?」


「ううん、うちのお父さんは会社員だけど、

 ただのじゃないのですよ。(笑)」


「ぷっ(笑)、なにそれ?、探偵さんとか?」


「ううん、ゴメン、実は私もよく解りません。(笑)」


「あはっ(笑)」


 そう言って、月曜日の放課後に山野辺さんのお宅にお邪魔することにして、能代さんと別れた。


お立ち寄り頂き、ありがとうございます。


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