彼女との出会い
俺は今猛烈に頭を抱えている!!
和やかなムードに包まれる1年2組。
研修旅行に向けての期待がこのクラスの雰囲気を作っていた。
しかしこの班ではそんな雰囲気とは真逆のムードを作っている。
俺の隣には初対面の女子。
クラスは一緒なので初対面ではないか。
4人で組むはずの班、しかしここには俺と女の子しかいない。
他の奴らは「やっといて!」という言葉をのこしどこかに行ってしまった。
中高一貫校に入ってからの3年間、あまり女子との交流を持っていなかった俺にとってこの状況は非常にまずい。
そう。。。話す話題が何も思い浮かばないのだ。
女の子、赤坂さんは出された研修旅行に向けての課題を一人で黙々と進めていた。
よくもまあそんなにも集中できるな、と感心する。
他の奴らは和気あいあいと研修旅行について雑談してる。
男子に限っては枕投げの話をしていた。
中学生でもないのに。。。
そう思う俺、文字を綴る赤坂さん。
彼女は意識を向ける物があるが俺にはない。
最近の女子ってどういう物が趣味なのだろうか。
ファッション?ドラマ?小説?
俺が知ってるドラマって何があったっけ?
こういう時、家に帰ってからゲームしかやらない自分を呪いたくなる。
「あの…この部分やってくれませんか?」
いきなり話しかけられ心臓が飛び出すかと思った。
「は…はい、ここを埋めればいいんですね?」
少々声をうわずったが、なんとか返すことができた。
心臓に悪い。
「すいません、お名前お聞きしてもいいですか?まだ覚えてなくて。」
申し訳なさそうに言う赤坂さん。
「喜多見です。そうですよね、俺あんま女子と喋んないから覚えてなくて当然ですよ。」
冷静を装って言う。ほんとは心臓がバクバクと鼓動しているが。
「そうなんですか。
これからよろしくおねがいします。喜多見さん。」
そう言って課題に目を戻す赤坂さん。
さて俺もやらないと、そう思い彼女がくれた課題に目を通す。
2人がどこかへ行っている分、時間がかかると思うがなんとか終わらせないと。
未だに続く心臓の鼓動音が俺の女子への免疫の無さを物語っていた。
また、赤坂さんへの興味が少し湧いてきた。
顔はブスというほど悪いわけではなく、美少女と言われる部類でもない。
女子の中では短髪に含まれるだろう長さ、透き通るような漆黒の髪。
向こうから話しかけてくれた女子は赤坂さんが初めてで、それが修学旅行というきっかけを通したからだとしてもとても嬉しかった。
彼女ともっと喋りたいと思ったし、付き合ってみたいとも思った。。。。。?
付き合いたい?
やばいやばい。誰が考えてもキモいやつだろ、俺。
ひとりでに恥ずかしくなって頰が少し熱くなった気がした。
一旦落ち着け、、、俺。
「大丈夫ですか?」
クエスチョンマークを浮かべながらこっちを向く赤坂さん。
心臓がうるさい。これが一目惚れだとしても流石にひどすぎはしないか。
「だ、大丈夫です。気にしないで課題進めましょ。」
目を合わせることが出来ず、課題を取り組むことを促すことにより、場をしのいだ。
正直俺は馬鹿だと思う。
少し喋っただけで好きになるとか頭おかしいのではないだろうか。
気持ちを否定する脳と正直に表す心臓。
このうるさい心臓はいつ収まるのだろうか。
不安を抱えながらも課題を進めていく。
意識が隣に吸い寄せられそうになりながらもなんとか終わらせた。
その頃には胸の鼓動も静まり、冷静に考えることができるようになってきた。
ちょうど授業も終わり元の席に戻る。
課題を赤坂さんに渡す時、ありがとうと言われ心地良い感覚を味わった。
結局残りの2人は授業が終わるギリギリに帰ってきて授業が終わると同時にまたどこかへ行ってしまった。
自分の席に戻り、思わずため息が出る。
あとから考えると俺が赤坂さんと付き合いたいって思ったのは俺が惚れやすいからなのではないだろうか。
小6の頃は好きというか好みの女子が4人くらいいたし。
そういうことにしていこう。うん。
嫌われるのだけは絶対に避けないと、そのことを念頭に赤坂さんと話していこうと決意する。
修学旅行まであと7日。
この修学旅行が終わるまでに赤坂さんとの関係を構築しないと。
この作品をお読みいただきありがとうございます!
主人公のキモさが際立つ1話。
彼がこれからどうなって行くのかお楽しみください。
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