手違い
魔女は出来上がった毒を霧吹きに入れ、森へと向かいました。そして、森の中に一本だけあるりんごの木の元へと行き、5つなっているりんごのうち、3つのりんごに毒を吹き付けました。
するとどうでしょう、もともと赤くて美味しそうだったりんごの艶がますます増し、さらに美味しそうな色になったではありませんか!おそらく、ルビーのおかげでしょう。
「よしよし。あとは白雪姫がこのりんごを食べるのを待つだけ……」
魔女はにやりと笑い、お城へと帰りました。
その間、魔女の姿を見たものはいませんでした。
その頃、白雪姫はりんごジュースを作ろうとしていました。白雪姫は必要な材料を探し、用意しています。しかし、残念ながら肝心のりんごは小屋にありませんでした。
「仕方ないわね……取りに行こうかしら」
白雪姫は外に出て、一本だけ森にある、りんごの木の元へと向かいました。
「……あったわ!どれがいいかしら……?」
白雪姫は、ふと毒りんごに目をやりました。
「まあ、なんて美味しそうなのかしら!」
もちろん白雪姫は、これが毒りんごだなんて気付きません。白雪姫の目は毒りんごに釘付けです。
「これを取っていきましょう。あともう1つは……これね!」
もう1つのりんごも、毒りんごでした。
美味しそうなりんごを目の前にした白雪姫のお腹が、グゥとなりました。そして、その音を聞いた白雪姫は、元気のない声でつぶやきました。
「……そういえば私、今日、何も食べてないわ……」
白雪姫は目の前にあるりんごを見ました。
自然と唾が出るのが分かります。というのも、白雪姫はりんごが大好物なのです。
「……ああ、だめ。これは、小人さんのためにりんごジュースにしなきゃ」
そう自分に言い聞かせるものの、もう我慢の限界でした。お腹がペコペコです。再び、グゥと白雪姫のお腹から音がなりました。
白雪姫は我慢しきれなくなり、りんごを一口口にしました。
木の上で白雪姫の様子を見ていたスカラーが、慌てふためいて叫びました。
「……大変だ!白雪姫が……白雪姫が、消えた!」