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新しい女王さま

しばらく、間が空きました。

先に口を開いたのは、ステラでした。

「白雪姫、今年の誕生日で17歳になったのよね?」

「……ええ、そうよ」

白雪姫は、怪訝そうに答えます。

「このクラニウム王国の決まりだと、王家の子供が17歳になったら代替わりで、即位の式が行われるのだけど……知っていた?」

「……知らなかったわ。そんなこと、お母様も、お父様も言っていなかったわ」

白雪姫が驚いて言うと、鏡が言いました。

「魔女はは自分が権力をずっと握っていたかったのでしょう。そして王様は、魔女が言っていると思っているようです。だから、自分が言う必要がないと思ったのでしょう」


王様はよくお城の召使いを手伝っている、楽しそうな白雪姫を見て、よく白雪姫とお話ししたり、お誕生日やクリスマスには必ずプレゼントなどを差し上げている、とても心優しい方でしたが、子供の育て方などは全く分からなかったので、その辺りは魔女に任せていらっしゃったのです。


するとそこに、王様がやって来ました。

「白雪姫!全部、ステラから聞いたよ。大丈夫だったか?」

「お父様、大丈夫でしたよ。こうして無事に帰ってくることも出来ましたし、それにカレン——いいえ、お母様にお会い出来ましたわ」

「……カレンにか……?」

「ええ。私がここに帰ってこれたのは、お母様のおかげです」

「そうか……それは、良かったな。ところで、即位の掟について話していなかったな。それを話そうと思ってきたんだ。朝食中で申し訳ないが、いいか?」

「ええ、大丈夫よ」

実のことを言うと、白雪姫も、ステラも、朝食の時間であることを忘れていました。話の内容が、朝食を食べながら話したり聞いたりできるようなことではありませんでしたから。


「代替わりは、王家の血を引く子供が17歳になったら行うこととなっている。だから白雪姫、即位の儀式——戴冠式を執り行われた日から、お前は女王となるのだ……分かったか?」

「はい、お父様」

2人とも、いつもよりかしこまって話しています。

「それから……戴冠式は、17歳の誕生日の後の満月の夜に執り行われる。だから今回は……1週間後だ」

「……意外に、すぐなのですね」

「ああ、だからそれまでに式の準備と……お前の心の準備をしなければならない。分かったか?」

「……はい」

白雪姫は、少し不安そうな顔です。

(たった17歳の私が女王になってもいいのだろうか)


「ご安心ください、白雪姫」

突然、鏡が言いました。王様の前だからでしょうか、鏡もかしこまっています。

「私もお手伝いいたしますし、何より、ステラがいます。ステラは、カレン様の幼馴染であり、側近でございますから。カレン様がまだこの世界にいらっしゃった頃、カレン様のお仕事をよく手伝っておりました」

「ええ、その通りよ。だから白雪姫、貴方が女王さまになった時には、今度は私は貴方の側近になりましょう。そして鏡と共に、貴方のことを支えていきます」

白雪姫は、ステラの顔を見ました。

ステラはにっこり微笑んでいます。目で「大丈夫よ」と語りかけられているような気がします。

「鏡さん、ステラ……ありがとう。私、頑張るわ」

白雪姫は、力強い声で言いました。


そして、1週間はあっという間に過ぎていきました。

白雪姫の戴冠式用の服は、ステラが魔法で仕立ててくれました。会場となる大広間の掃除は、白雪姫もお手伝いをします。そして白雪姫は、日常的な公務で必要な知識を(多少は今までもステラや鏡から学んだり、図書室で独学で学んでいましたが)改めて王様やステラに教えてもらいました。王様も、白雪姫に公務で必要な知識を教えながら、戴冠式の時に着けさせるティアラを磨いたり、戴冠式の日までの公務をしっかり行ったり、近隣の国に「クラニウム王国 戴冠式のお知らせ」の書状を書いて出したりしました。


そして、戴冠式当日。

会場の大広間には、クラニウム王国の地位の高い人はもちろん、たくさんの国の地位の高い人や王様が訪れました。

満月が1番高いところに登る時間。

しんと張り詰めた空気の中、白雪姫は王様から冠を受けました。美しいティアラが白雪姫の上で光ります。

「みなさま。ここに、白雪姫がクラニウム王国の新たな王となることを宣言いたします!」

その瞬間、会場では割れんばかりの拍手が起こりました。誰もが白雪姫のことを祝福していました。


そして、白雪姫は女王さまになりました。

白雪姫は、クラニウム王国の全ての人が幸せになれるように、そして、国交を開いている全ての国と仲良くなれるよう、鏡やステラと協力しながら政治を行っていきました。

数年後、白雪姫は平民の心優しい男の人と結婚し、子供も産みました。女の子でした。そして白雪姫は子供に、「カレン」という名をつけたのでした。


勿論、白雪姫が30歳になった時、ステラに魔女を閉じ込めていた水晶玉の封印を解いてもらい、白雪姫は魔女と仲直りしました。その頃には魔女も反省し、素直に白雪姫の幸せを願い、祝福できるようになっていたのです。


そして白雪姫は死ぬまでずっと幸せに過ごしました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!いかがでしたでしょうか?

このお話はこれでおしまいとなります。

感想や評価などを頂けますと幸いです。

また、この物語は冬の童話祭に参加させていただいています。

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