第八十九話 予期せぬ来客
もう少しで百話行きそうです。作者も自分でビックリしております。これからも頑張ってかいていきますので、よろしくお願いします!感想指摘ブックマークしてくださるとモチベーション上がりますので、よろしければぜひ!
丸岡城から七尾城へと戻ってきてから数日後。
織田から使者がやって来た。主だった顔は二人、元幕臣の細川藤孝と軍監衆の一人である須藤元直という男だ。
今現在、清胤がその二人を別室に案内させ、こっちは輝政以外の主だった人達で作戦会議をしていた。神保畠山の当主はこちらに委細任せますと言って現在は畠山家中を取りまとめたり、七尾城の修繕などを行っている。
「さて、あのお客人···細川殿についてはある程度知っているからいいとしてもう一人の男については噂も少ない。景亮の方で情報はないか?」
「うーん···段蔵、何かある?」
「以前京に上洛した際に集めたものであれば。されどまずは大殿を待つべきでは?」
「うむ···もうすぐ来られるはずだ。待つとしよう」
それから十分も経たないくらいで女性らしい着物を着た輝政が戻ってきた。
「皆、待たせたな」
輝政は部屋に入ると俺の隣に座る。
「お帰り輝政。それで実際にあの客人を見た感想は?」
「あぁ、言ってみれば段蔵が二人増えた···という感じか。まるで浮き雲のような雰囲気の男達だったぞ」
うわ、何だそれ···段蔵みたいな奴が二人とか勘弁願いたいぞ。
「細川殿は噂にたがわぬ飄々とした御仁だった。須藤という男はそうだな···景亮にどこか似ているという感じがしたな」
「ほぉ···それはまた面倒な御仁そうな」
その言葉に全員が頷く。
おい待てよ。あんたらって俺にどういう印象持ってんのさ···俺そこまで面倒な奴だと見られてんの?
「さて、それはともかくとして須藤という男について知っていることを聞かせてくれ」
輝政の問いかけに段蔵が答える。
「はっ···須藤元直。田楽狭間の戦いの折に織田仕え、後に軍監衆の中でも中心的な人物の一人となっているようです。どちらかといえば裏方の仕事や調略に長けているようですな。今孔明、今士元と称される竹中半兵衛と黒田官兵衛を織田の殿様に推薦したことから、後漢の蜀将であり孔明と士元のことを蜀王劉玄徳に教えた徐元直になぞらえて今元直と称されているようです。半兵衛官兵衛に知略で劣るものの、先見の明を見せるなど織田の殿様にも信の厚い御仁だそうですな」
「なるほど···切れ者二人か」
全員が考え込む。
「景亮。では策通り、私の代わりに上座に座れ。私は別の部屋より聞き耳を立てていよう」
「あいよ・・・頑張ってみるよ」
気が重いが仕方がない。まったく奇策も奇策だぜこんなん。
俺が影武者を任されたのには理由がある。まず畿内では上杉輝政=男という話になっているのだ。輝政の兄である本当の長尾景虎の話として伝わっているらしい。ここら辺は情報網の弱さなのかほかの理由があるのかは分からないが。そしてもう一つ。逆に俺の話は畿内に正確に伝わっていないらしい。俺は輝政のただの側付きということになっているようだ。つまり畿内では史実の森蘭丸みたいな噂が流れているのだ。
俺が影武者として出ている間に、輝政が隣の部屋から覗き見る。もし織田と戦うことになっても、本当の大将である輝政は狙われにくく、暗殺の標的にもされにくい。これはほぼ対織田用で、相手に手札を見せず、向こうの手札を覗くわけだ。武田でいうところの逍遙軒みたいなもんだと思う。
まぁ同盟国でない奴らに対してこっちの手札を見せる必要もないしね。
「さて、上座の間に移動しよう。なに、心配するな。難しいことは定満と景綱が答えてくれる。ただ胸を張って座り、名乗りと簡単な受け答えだけすればいい」
輝政はそう言って俺の肩を叩いて立ち上がる。それに付属してほかの皆も立ち上がる。
やれやれ、お腹が痛くなってきたな。無事終わるといいんだけど···。
俺は渡された服を着込むと、使者の待つ部屋へと向かった。
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