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第八話 出会いその三

閲覧ありがとうございます! これからも頑張って書いていきますのでよろしくお願いします!

 

 景虎と定満さんとの言い争いは、一人の女性によって簡単に終わりを迎えた。


 現れた女性は全員を叱りつけるように言う。


「皆落ち着きなさい……それで定満。貴方の言い分も分かります。景虎の事を思ってのことでしょう?」


「……はい。その通りでございます」


「ですが、既に話は解決しておりましょう。越後に芽吹く若き蕾たちが、新たに芽吹いた蕾と共に咲くと言うのです。それを見守るのも貴方たちの役目だとは思わないのですか?」


「は、はい。綾様の仰るとおりでございます」


 すげぇ……あの人。殿である景虎に対して一歩も引かなかった定満さんを言い負かしてるよ


「他の者も構いませんね?」


「「「「はっ!」」」」


「では景虎。その子の面倒は貴女自身が視なさい。それは貴女の責任ですよ」


 その言葉に景虎は、


「無論です姉上様! ありがとうございます!」


 そう言って笑みを浮かべた。


 そんな景虎に対し、綾さんと共にやってきた男性が声を掛ける。


「景虎よ、皆そなたを思ってのこと。努々忘れるでないぞ?」


「はい。……皆、すまなかった。景亮には誰かつけるため、それで許せ」


「はっ。ではどの者に致しましょうか?」


 俺を抜きにトントン拍子で話が進んでいく。


 皆さんが話し合っている間、綾さんが俺に近寄ってきた。


 俺は姿勢を正し、彼女に頭を下げる。


「ありがとうございました! おかげでここに居られそうです」


「いえいえ、構いませんよ。それに貴方がこの地に居られるかどうかは、これからの貴方にかかっています。まぁ(わたくし)も手伝いますので、貴方も精進するよう」


「は、はい!」


 俺の答えを聞くと、綾さんは上品に笑う。


「フフッ、貴方には期待しているのですよ? 景虎のこと、お願いしますからね?」


「は、はぁ……頑張ります?」


「では、また」


 そう言うと、政景さんのもとへ戻っていった。


 期待してる? ってどういうことだろう?


 味方として景虎を支えてくれってことかな? そういうことにしておこう。


 そんなことを考えていると、景虎が俺に声を掛ける。


「景亮。待たせてすまない」


「いや、大丈夫だよ」


「先程の話のように、そなたに見張りをつけることになった」


「うん。で、誰になったの?」


「紹介しよう。先程そなたを擁護してくれた千坂清胤だ」


 目の前にさっき俺を信じると言ってくれた若い男が座る。


「千坂清胤と申します。以後お見知りおきを 頼久と同じく、清胤と呼んでください。敬語も必要ありません」


「俺は松尾景亮といいます。さっきはありがとうございました! こちらこそよろしくお願いします。俺の方も景亮と呼んでください、敬語も結構です!」


 お互いがお辞儀をする。


「清胤は私と年が近く、家老でもあり、戦での本陣警護を勤めている。そなたも私の側付きとなるのだから、先達たる清胤より色々学ぶがよい」


 なるほど、家老の家柄で、近衛みたいな立ち居ちにいるから、俺を見張らせるのは景虎にとっても定満さんにとっても都合がいいってことかな……。


「それからもう一人。義守(よしもり)!」


 景虎がもう一人の名前を呼ぶと、いつの間にか近くに男性が1人頭を下げ座っていた。


「はっ」


「お前を景亮の下に付ける。力になってやれ」


 義守と呼ばれた男性がこっちを向く。


「景虎様が配下の足軽、義守にござる。これより景亮殿にお仕えいたします。入り用の際はお呼びくだされ」


 何か真面目そうな人だなー。ってか普通足軽にこんなこと頼むのかな?


「よし、この場はこれで終いとする。このあとは景亮は私と共に、他は各自すべきことをなせ。よいな」


「「「「「「はっ!」」」」」」


 そんなこんなで、いろんな人に助けられ、俺は無事越後にいれることになったのである。


 あとは仕事と稼ぎかなーとぼんやり未来を思う俺であった。



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