第八十六話 七尾城と手取川
ここから黒の章に追い付きます。これ以降も同年代になったりずれたりあるかもしれませんが、ご容赦ください。また、色々なものが年代と異なっていますが、if戦記ということでそれもご容赦ください!
永禄四年/1561年 九月中頃
能登畠山の七尾城にて、親織田派の長続連らが予想通り反旗を翻した。
前もって対応を進めて来た義綱さん達は予定通り光誠さんや続光を残し、越中へと退避した。
一方の俺達は義綱さんからの援軍要請を受け、軍を纏める。
春日山城代として上杉景信。他にも三割の将を北条への備えとして残す形を取り、約一万の兵を率いて春日山を出発した。
越中神保家の居城富山城で、上杉と神保、畠山の三者は再会した。
「輝政殿、長職殿、お久しぶりにございます。此度の援軍感謝いたします」
「いえいえ、我々にとっても織田を越前で留めておくのは良いこと。越中平定の際にはこちらが助けていただきましたからな」
「私達上杉としても能登と越中が落ち着いていれば、北条武田に注視することができますから···では策について話しましょう。景亮、頼む」
「あいよ···先ず、七尾城に籠る親織田派を倒します。七尾城の中には光誠さんと続光さんがいるので、城を包囲したら、門を開けてもらい入城。親織田派を一網打尽にします。その後、織田の方にうちの農民に扮した伏嗅衆を幾人か向かわせ、七尾城がまだ包囲されてるという嘘の情報を流します。手取川を過ぎるのを待ち、後は時を見て織田軍を叩きます。」
「しかし、向こうは精強にして大量の火縄銃による物量攻撃を得意とする軍。あの鉄砲を何とかしなくては···」
そう。武田が敗れたのも鉄砲という武器をフルに活かした戦術があってのことだろう。まずは情報を共有するため、段蔵を呼び出す。
「段蔵、織田軍についての情報をあるだけ話してくれ」
上杉、畠山、神保の大将三人からの視線にたじろぐ事もなく喋りだす。
「では···織田軍で特筆すべきは有能な将の数でありましょう。掛かれ柴田、米五郎左、黒赤の母衣衆、攻めの三左に退き佐久間などの猛将。今孔明、今士元、今元直と称される竹中半兵衛、黒田官兵衛、須藤元直を筆頭とする知恵者集団"軍監衆"などの多くの将を有しております。そして使用できる鉄砲の多さは天下一とも言われております。雑賀衆、根来なども味方につけているゆえ」
「···織田がこちらに来るとして、一体どれだけの数が来るだろうか?」
「さぁ? それは分かりかねます。果たしてこちらの策に嵌まるかどうか今は見守るしか」
「···その鉄砲だが、封じる策はある。鉄砲の弱点を突けばいい」
「弱点? 輝政殿、それはいったい···」
「···鉄砲は雨に弱く、夜使うことはできない。大雨の降る夜に敵の陣を強襲すれば、鉄砲に怯えることなく、夜に紛れ敵を倒せる」
「雨によって氾濫した手取川を使えば、敵を追い込むことも簡単だしね」
「おぉ!···流石は軍神と吟われる輝政殿。見事な策ですな!」
「これであれば、彼の織田軍を打ち破ることができるぞ!」
「お二方、油断してはなりません。相手は東海一の弓取りや武田騎馬隊を打ち破った難敵です。まずは七尾に籠る者らを討伐しなくては」
「そうですな···七尾に籠る者の数はどのくらいなのです?」
「約二千といったところか···続光などの味方兵を含めると三千といったところですな」
中々の数だな···。しかし、その数を聞いても輝政は躊躇わない。輝政と俺は頷き合う···輝政の言いたいことは分かっている。
「···段蔵。中に入って光誠さんと合流し、中より敵の数を削ぐように」
「心得ましたぞ···では」
段蔵が部屋から出ていくと、輝政も立ち上がった。
「では我々も七尾へ向かいましょう」
連合軍は七尾城へと進軍。円で囲うように布陣した。鼠一匹逃さない···織田に落城を知られては困る。
包囲して数時間後。七尾城の城が開くのをきっかけに輝政の声が戦地に響く。
「全軍、突撃せよ!」
輝政の指揮の元、中にいた味方とともに親織田派を倒していく。一部の兵は武器を捨て、降伏の姿勢を取った。降伏しなかった者は次々と討ち取られていった。
今回の裏切りの主犯である長続連は続光さんによって討たれた。
さて、これからは俺達のお仕事だ。
「段蔵、弥彦、月夜、義守さん!」
「「「はっ!」」」
「おやおや、ようやく出番ですかな?」
「んじゃ頼むよ?」
「「「「お任せあれ!」」」」
段蔵たちは農民に扮し、織田軍の方に向かう。それと同時に織田軍に対して、長続連の名前で救援を求める手紙を書いて送った。
さぁて、どうか嵌まってくれよ···織田の猛将共よ!!
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