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第八十三話 先手

 

 京からの帰り道、ついでということで能登畠山と神保に挨拶にいくことになった。


 まずは能登畠山の本城に向かう。能登畠山の当主畠山義綱は突然の訪問を快諾。手厚くもてなしてくれた。


 面会の部屋の中、政虎と義綱さんに俺と畠山家臣である飯川光誠さんがいる。


「政虎殿、ようこそお越しくださった。こうして顔を合わせるのは初めてですな」


「えぇ。手厚いもてなし感謝いたします、義綱殿」


「それに松尾殿も。久方ぶりですな···」


「はい。以前ここに来て以来ですね」


 ここに来るのは、越中平定後に義綱さんに依頼されて来たとき以来だ。義綱さんも前より老けたように見える。


「して、此度は何用ですかな?」


「···景亮、頼む」


「あいよ···義綱さんに会いに来た理由なんですが、対織田についてです」


「ほぉ···」


「織田は畿内平定に乗り出しています。その後に越前、そしてこの能登と安芸の毛利、越中越後へとその兵を送ってくるでしょう。恐らく、家臣の中で寝返りそうなものに調略の手を延ばすようなこともしてくるかもしれません···織田につきそうな者に気を付けてください」


「···あるとすれば続連ら長の者共か。光誠、もし続連が裏切った場合は分かっているな?」


「はっ! 某にお任せあれ!」


「それと続光と続連の仲を悪くさせろ···続連の力が強まれば続光は面白くはあるまい」


「はっ!」


 成る程···史実では義綱さんの子供が傀儡になったりしてたはずだけど、こういう道を辿るか···。まぁ、長続連と対立する奴は多い方がいい。取り敢えずはこのまま任せてもいいかもね。


 飯川さんとの話が終わり、こっちを向き直した義綱さんに話を続ける。


「それからもう一つ。織田が攻めてきたら恐らくそれに内応する者もいるでしょう···我々も救援に来ますが、有事の際は七尾を捨てて一度神保の方に。内応する者を一網打尽にして織田を迎え撃ちます」


「しかし、尾張の織田は美濃を手にし畿内まで···まさに飛ぶ鳥を落とす勢い。流石の上杉軍も勝てないのではあるまいか?」


 心配し、眉を八の字に曲げる義綱さんに俺は胸を張って答える。


「こっちには策があります。それに畠山家と上杉家の力があれば、織田の兵に勝つことなど容易です!」


 ···ぶっちゃけただのはったりです。この後あるはずの手取川の戦いは勝ち戦だからね。まぁ起きた年は変わるかも知れないけど···こちらとしては、史実に寄らせていくことが一番の勝ち道なので、後で段蔵達に死ぬほど頑張ってもらおう。


「うぅむ···松尾殿が言うのであれば信じてもよい···かもしれんな」


 義綱さんは少し考え込むとそう答えてくれた。


 それから織田が攻めてきた際の話を詰めていく。


 話をしている内に義綱さんも徐々に心配の色がなくなっていき、話が終わった頃には


「我々と上杉で、織田の鼻を折ってやりましょうぞ!」


 と言ってくれるまでになっていた。


 その後、畠山との盟を深めることができた俺達は神保でも同じような話をし、改めて盟を誓い、村上義清さんの居城で一泊。


 越後に戻ったのは三日後の昼頃だった。



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