第八十二話 河田長親その二
感想や指摘で返した文が、しっかりその指摘に合っているかどうか心配になりますね···小心者だなぁ。感想ブックマークお待ちしております!
さて、河田長親と会った俺たちは自己紹介をすることにした。
代表して政虎の親衛隊で、上洛の際に一度会っている清胤が俺たちを一人一人紹介する。
「まずこちらの大男が小島貞興。基本的に先陣を任されています」
「小島貞興だ。これからよろしくな!」
「名前は存じております。あなたが越後の鬼面旗、鬼小島殿ですね? よろしくお願いします」
「おう!」
「次にこちらが小國頼久。上杉軍の兵庫頭を務めています」
「小國頼久と申します。よろしくお願いします」
「こちらこそ! よろしくお願い致します!」
紹介された二人は長親さんと握手を交わしていく。
うんうん。しかし皆旗があったり位があったり名乗る時格好いいな~。
俺ってただの側付きだし、武功があるわけでもないし···
「そしてこちらは殿の盟友近衛前久様の妹君であらせられる絶様です」
「近衛前久が妹、絶にございます」
「ーっ! これはこれは、よろしくお願い致します」
関白である前久さんのことはやっぱり知ってるみたいだ。
「そして最後にこちらが松尾景亮。殿の夫であり、側付きでもあります」
「松尾景亮です。よろしく!」
「なんと!? そうなのですね···景亮様、よろしくお願いします」
「様なんていいよ。殿か呼び捨てで呼んでくれ」
俺と長親さんが握手を交わしていると、遠くから政虎が戻ってくるのが見えた。
「楽しそうだな、何を話しているのだ?」
「御大将!」
「殿!」
「「「政虎様!」」」
「フフッ、何処にいてもそなたは変わらんな」
「お帰り政虎、どうだった?」
「それはまた後で話そう···来ていたか長親」
政虎が長親さんに話しかけると、長親さんは政虎の前に膝を付き、頭を下げる。
「はっ! これよりは政虎様の元で力を振るわせていただきます!」
「フッ···期待している。清胤、私がいない間に何かあったか?」
「変わりなく。これよりどういたしますか?」
「京に三日ほど滞在する。兵は一部を残しここに待機。景亮、絶、清胤とその与力のみ付いてくるように。その間の指揮は皆で協力してこなすように。頼久、長敦で長親を見てやれ」
「はっ!」
というわけで貞興兄や頼久と別れ京に入る。
京の惨状は思ったより酷く、建て直しが至るところで行われていた。
そこで前久さんや畿内の情報を集めたり、政虎に付き合って公家の家やお寺などを回る。段蔵、弥彦、月夜など付いてきた忍衆にも三日の期間の間に出来る限りの情報収集に出てもらった。
集めた情報の中に、前久さんについての物もあった。鹿角盾松札を持つ商人や段蔵たちから得た情報によると、どうも今本願寺にいるようだ。
前久さんの無事を知ることが出来たのでよかった。絶も安心し、涙を流して喜んでいた。だが集めた情報は、嬉しいものだけではない。本願寺、比叡山延暦寺は織田方に寄っているらしく、もしかすれば本願寺は織田と共に幕府もしくは上杉と対峙する形になるかもしれない。
···これはもしもの時用に織田と対立しそうな大名とかと、早く通じた方が良いかもしれないな。
三日間後、政虎のやりたかった事が全て終わって皆のもとに戻ってくる。
織田の軍勢から隠れるようにそそくさと越後への帰路についた。