第八十一話 新たな仲間 河田長親
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将軍と御目見えすることができる政虎を俺達は京より少し離れた場所で待っていた。
段蔵と義守さんに京の様子を探るよう指示すると、清胤、頼久、貞興兄、絶と一緒にいた。
「此度の公方様はどんなお人なのでしょう?」
「私が京にいた頃は噂話さえも聞かないお方でしたから···会った方もそれほどいらっしゃらないかと···」
「だがよ、貧乏公方様は尾張織田の擁立を受けてんだろ?」
「うん。ただ織田と仲が良いかは怪しいね。織田側は天下布武のための傀儡と思ってるかも」
「ということは織田は既に畿内を手中に納めていると思った方がいいですね」
「今回の上洛は対北条武田のための大義を改めて手にいれることが目的だから、織田とかのことは考えなくても良い。とりあえず関東管領が改めて認められればこの間みたいに味方になりたいと言ってくる人もいるかも」
そう、この上洛の道中、一人の若者が上杉傘下に入りたいと政虎に謁見を求めてきた。名前を河田長親。中性的な外見の若武者で、知勇兼備を地で行く有能そうな人物だ。政虎はそいつの才能を大層気に入り、準備が出来しだいこちらに合流するようにと伝えた。
河田長親と同じように関東管領の位が再度安堵されれば関東、信濃の豪族や小大名たちもこちらにより傾くようになるかもしれない。三つの勢力に囲まれ、何処に付こうか迷っている連中は多少なりともある。
この後、武田との第五川中島、北条との関東での小競り合いが待っている。力を貸してくれる数は多い方がいい。
「いつ武田、北条が動くか判らん今、定満殿を筆頭とした昔からの重臣の方々は越後に残ってもらった結果俺ら含めた若い衆が中心となって来てる訳だが、他の将はどうした?」
「それだったら他の場所で同じようにしていると思う。今回は兵が多い上に将が少ないからな」
俺らが話している様子を見ていた絶さんが聞いてくる。
「皆様本当に仲が宜しいのですね···いつからの付き合いなのですか?」
「犀川の戦いの直前だったから、三年くらい?」
そういや初めて会った時から何となく気があったな···
「景亮を城下の案内をする役目と乗馬、剣術の指導を任されてからだな」
「景亮が気難しい人間でなくてよかったですよ。剣術や馬に乗れないのには驚きましたが」
「まぁ! そうだったのですか?」
「おい頼久! それは隠しといてくれる!?」
「隠す必要は無いと思うが? 既に夫婦となっているのだから」
「清胤まで···ったく」
そんな感じで和気藹々と話していると、遠くから一人の男がやってきた。
「歓談中のところ失礼。河田長親、遅ればせながら推参しました。これより、上杉の旗の下、殿のため尽くす所存。どうかよろしくお願い致します」
新たな仲間は爽やかな笑顔を浮かべてそう挨拶した。




