第六十三話 段蔵の弟子
オリジナル新キャラの登場です。
政虎は俺の屋敷に来てすぐに風呂に向かった。政虎もようやく休みとのことなので、ゆっくりして貰おう。絶さんも背中を流しに行ったし、部屋には俺一人である。
キマシタワーな展開になっているであろう浴室の光景を妄想しつつお茶を飲む。
ひゃっほう、俺も仲間にいーれて! なんて言えないしね···。煩悩慎むべし。
それから一時間後くらい、政虎と絶さんが部屋に戻ってきた。絶さんの髪も艶やかなところを見るに、一緒に入ったのだろう。俺もそこにいたかった···にしても、
「どうしたんだ景亮?」
「どこかおかしなところがあるでしょうか?」
「いや、何でもないよ! ちょっと考え事してただけ」
風呂上がりのせいなのか色っぽく見えるのは気のせいじゃないはず。前の世界じゃこんな光景に会うなんて思いもしなかったなー···。
「では私は夕食を持ってまいりますので、暫くおくつろぎください」
「あぁ。ありがとう絶殿」
「ごめん、よろしく!」
という訳で絶さんが一時退席する。
「···」
「···」
静かな時が流れる。そんな中、政虎が口を開いた。
「ようやく帰ってこれたな」
「そうだな···大きな戦二つもやったからね。当分は平和が続いてほしいよ」
「あぁ。私もそう願うよ」
大きく息を吐いて政虎は答える。
すると障子が開き、絶さんが三人分の夕食を持って入ってきたので話を中断して三人での夕飯にする。
夕飯中の話は俺達がいなかった間の越後についてと小田原、川中島での政虎と俺の行動が主だった。
そしてやはり、無茶をした俺と政虎は絶さんから怒られたのだった。
何だかこの二人と話していると、貞興兄たちといるのとはまた違った安らぎを感じる。それはとても心地いいものだった。
それから俺達の話は絶さんが欠伸をするまで続いた。
その次の日、俺の屋敷に泊まった政虎は朝早く、城へと出掛けていった。
俺は縁側でのんびりしていたところ、段蔵に声を掛けられた。
「主よ、少しばかりお時間宜しいですかな?」
「おう、いいぞ」
段蔵は珍しく、座ることなく話を続ける。
「実は主に会わせておきたい者たちがおりましてな」
「ふーん···珍しいな。で? お前が会わせたいってのは誰?」
「拙者の弟子でございまする」
何と! いつの間にこいつは弟子なんかとってたんだ···
「まさかお前が弟子をとるなんてな···」
「拙者も昔はとることはないだろうと思うておりましたが···ま、ちょいと思うところがありましてな。拙者がもし死んだとき、主に使え、拙者の代わりに手足となる者が必要となりましょうや」
「成る程···でも段蔵。死ぬことは許さないぞ?」
「かっかっか! 無論、そう易々と死ぬつもりはござらんよ。まだまだ主も含め若輩ばかりですからなぁ···」
「ならいいよ。で?」
「先の戦の間は越後に置いてきておりましたが、大分前に伏嗅の訓練所から直感で引っこ抜いてきたのです。さ、二人共来い」
段蔵が呼ぶと二人、男一人女一人が目の前に現れ、膝をついて頭を下げる。
「男の方が弥彦、女の方が月夜といいます。二人共、主に挨拶せい」
まずは弥彦と呼ばれた男が顔を上げる。
「や、弥彦といいます、これより師匠とともに主の手足となる所存! よろしくお願いいたします!」
弥彦が言い終えると、次に月夜と呼ばれた女が顔を上げる。
「つ、月夜と申します。これより絶対の忠誠をもって主様にお仕えいたします!」
二人の自己紹介を終えると、段蔵が再度口を開く。
「弥彦には体術と忍びの妖術を、月夜には道具や体術などによる隠密術と護衛術を重点的に教えておりまする。使えるまでにはもう少し掛かるでしょうが、次の戦には間に合わせて見せましょうぞ」
段蔵は自信ありげにそう言った。
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