第六十一話 一騎討ちからの決着
タイトルについてなのですが、変えようか迷っています。変えるとしたら"分枝世界の戦国記譚~蒼の章~謙信と挑む戦国乱世"かな? と思っております。皆様はどう思いますかね? よろしければ感想、指摘とともに意見をくださると嬉しいです!
信繁、勘助が討ち死にしたことで、武田本陣への隙間ができた。
それを見逃す政虎ではない。配下の兵を引き連れて政虎自身が本陣へと突撃する。
本陣前の敵を一蹴すると、兵を引き連れそのまま武田本陣に侵入した。
中にいた兵らは驚いたものの直ぐ様武器を構える。
その中で兵に守られるようにいる赤い甲冑の男に目を付ける。
(あやつが恐らく武田晴信本人であろう···)
そして政虎は果敢にも兵の壁に恐れることなく馬を走らせる。
「邪魔だ! どけ!」
政虎は武田の兵を無理やり退かせると、すぐに政虎配下の将兵がそれに当たることで、ようやく晴信の元に辿り着く。
「武田晴信、覚悟!」
政虎が刀を振り下ろすと晴信は近くにあった軍配でそれを受け止めた。
「むうっ···ここまで来たか!」
受け止められたため、刀を返してもう一撃いれる。
「はぁっ!!」
「くっ···!」
晴信はこの一撃で体勢を崩すが、軍配は手放さなずすぐに持ち直す。
しかし、体勢を崩したことで隙が生まれ、次の一撃の時に怪我をしてしまう。
軍配を手放し、怪我した手を押さえて一度下がる。
政虎は怪我をした晴信に再度攻撃しようとするが、
「···なっ!?」
その時、文字通り横槍が入った。政虎の乗っていた馬に突き刺さり、その痛みで暴れて政虎は落ちてしまう。
「よくやった虎胤!」
「御館様、ご無事で御座いましたか!」
槍で政虎の馬を突いた男は晴信を後ろに下げる。
「くっ···攻めきれなかったか」
立ち上がる政虎を兵が取り囲む。その一方で政虎と共にいた兵は次々と討ち取られていく。
「やれやれ···肝を冷やしたわ。しかし、これで形勢逆転」
「···」
「何者かは分からぬが、その首は置いていってもらおう」
晴信が合図をすると、兵が一斉に政虎に襲い掛かる。
政虎が刀を構え、切り払おうとしたその時、
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!! あ、ちょっとどいてーー!!」
突然後ろから馬が飛び越えてきた。武田の兵は驚いて一歩後ろに下がった。
同じく驚く政虎の前に現れたのは、馬に跨がるというかしがみついている景亮だった。
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政虎が晴信と対峙した頃 景亮視点
上杉本陣にいた俺はそんなに戦うこともなく、ただ妻女山の方を注視していた。
山頂や上杉軍の後ろに出る山道からは爆発音が聞こえている。俺と段蔵から武田別動隊へのプレゼントだ。
それのお蔭か、渡河部に配置した隊のお蔭か。別動隊の参戦を防げていたものの流石に限界がきたのか狼煙と鏑矢による報せが見えた。
俺は本陣に控えていた伝馬係を動かし、善光寺へ撤退する指令を他の隊に伝える。
「撤退ー! 撤退ー!」
色んな所から声が聞こえる。その時、定満さんが本陣に戻ってきた。
「景亮! 殿はどうした?」
···あ? そういえば今回は前に出てるんだっけ···ってもしかして
「あーーーーーーー!!」
ついつい叫んでしまった。そういや史実ではこの戦いで晴信との一騎討ちがあるんだっけ!? ってことはきっと、いや間違いなく武田本陣に向かったのだろう。さっき顔を拝んでくるって言ってたわ!!
「憲政さん、定満さん。ここは頼みます!! 俺はちょっと政虎を迎えにいってきます!!」
「心得た! 殿のこと、よろしく頼むぞ!」
俺は馬に跨がると、刺叉だけ持って武田本陣へ馬を走らせた。
「さて、お馬さん。超特急でよろしく!!」
俺のお願いに律儀に答えてくれる。ところがこの馬はどうやら気性が荒く、勇猛果敢な性格をしているようで、想像以上の猛スピードで駆け抜けていく。
時には飛び越え、時には横に避け。スルスルと走っていく。
「あぁぁぁぁぁぁああ!! 怖い怖い怖い!」
俺は途中から馬にしがみつくように乗っていた。すると、目の前に武田の四菱の旗が見えた。ようやく到着だ。
武田本陣に突入すると政虎が兵に囲まれているのが見えた。しかも槍やら刀を振り上げている。今にも政虎に襲いかかろうとしていた。
「何とか政虎の元に行ってくれ!」
俺が乗っている馬は一度鳴くと、囲んでいる兵に突っ込んでいく。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!! あ、ちょっとどいてーー!」
マジ危ない! この馬勇猛果敢すぎるだろ!?
馬はジャンプして政虎を取り囲んでいた兵を飛び越え、政虎の横に着地した。
周りにいた全員が驚いた顔でこっちを見てくる。当然政虎もだ。
「け、景亮···?」
「よ、よう···無事みたいだな。全く、俺にはあまり無茶するなって言っておいて···まぁいいや段蔵たちの方から狼煙が上がった。善光寺まで退却するよ。二人乗りで悪いけど」
俺は肩をすくめて言うと、政虎は笑って答える。
「すまない。ありがとう」
俺は後ろに下がり、手を伸ばす。政虎は俺の手を取って勢いを付けて俺の前に乗る。
「しっかり捕まっていろ!」
「はいよ!」
俺は政虎の腰に手を回し、引っ付く。
「逃すな! 追え!」
武田の兵の声が響き、一斉に向かってくる。
「さぁ、行くぞっ!」
政虎は手綱を握り締め、馬の横腹を軽く蹴ると、それに反応して馬が走り出し、あっという間に武田本陣から脱出した。
周囲を見れば、既に上杉軍は善光寺へ退却し始めている。
政虎と俺は急ぎ本陣にいた憲政さんと合流すると、景持さんと景綱さんを殿に善光寺へと向かった。
途中まで追っかけて来ていた武田軍も途中で引き返し、八幡原の戦いはこうして終わった。結果を見れば上杉軍は将を含め約一千、武田軍は将を含め約二千という死者をだした。
有名な将を討ち取り、損害の少なさを見れば上杉が、領土を押さえたということを見れば武田が勝利したと言えるだろう。
結局のところ、どちらも勝利したと宣言したものの、外から見ればほぼ引き分けという形で終えたのだった。
タイトルについてより詳しい話はクロスオーバー作品である"分枝世界の戦国記譚"の方でしておりますので、そちらも見てください!
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