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第五十四話 心配してくれる人

 

 上杉の陣営に戻ってきた俺達を待っていたのは政虎と定満さんだった。


 定満さんはそれはもうおかんむり状態だった。俺達侵入組と景家さんは定満さんの前で全員正座である。


 定満さんは勝手に御所に侵入し、蔵を破壊し、勝手に兵を動かし···など正論をいつまでもガミガミ。


 よくあるアニメや漫画の校長先生の朝礼くらい長い。しかも同じ様なことをいつまでもいつまでも···いい加減辛くなってきた。


 それから暫く、ようやく説教が終わると政虎に事の顛末を説明する。

 説明役は俺ではなく、清胤と景家さんが努めた。


「そうか···分かった。叱りは定満がしてくれたからな···今回のことはこれにて終いとする。景家は兵を休ませろ。清胤と頼久、定満で御所の修復などの後処理を指揮せよ。解散!」


「「「「「はっ!」」」」」


 全員が立ち上がり、それぞれの仕事に取り掛かる。俺も部屋を出ようとしたとき、


「景亮は残れ」


「あっ、はい」


 そう政虎に呼び止められた。俺は素直に従い、さっきよりも政虎に近い場所に座る。


 それから人払いをすると、政虎は俺と向き合う場所に座った。


「さて、景亮。改めてそなたの口から、此度のことを話してもらうぞ」


 目がマジの政虎にそう言われたので、おとなしく話す。


 全てを聞いた政虎は溜め息をついた。


「はぁ···無茶をして」


「ごめん···いやちょっとでも早く終わらせようと思ったらこれしかないと思って」


「実際、そなたらのお蔭で早く済んだ。だがな···」


 政虎は立ち上がると、俺の頭を抱き寄せた。政虎の胸に顔が当たる形となる。


「ーっ!?」


 何これ!? 抱き締められたよ!?


「全く···心配を掛けさせおって。危ないことはするなとは言わん。が、次からこのような事をする際は私に許可をとってからやるように。いいな?」


「は、はい」


 政虎はそれから数秒し、ようやく腕を離してくれた。


 俺の心臓はドキドキと鳴り続けていたので一生懸命落ち着かせる。


「しかし、まさかあの真面目な義守までそなたと共に城に侵入するとは···」


「まぁ、迷惑をかけてる自覚はあるよ。色々助けてもらってるし」


「そうか。それは良かった···これからもそなたに付けるため、色々裏で行うがよい」


 そう言って頷いた。それから暫く雑談した。その後、


「そなたも疲れただろう。一先ず休め」


「お、おう。そうさせてもらうよ」


 政虎の許可が出たので退出したものの、俺の心音は抱き付かれた影響なのかまだ落ち着かなかった。



 それから数日後、安房から足利藤氏と里見義堯が御所に到着、入城した。



こっちよりもより乱世な野央棺様の作品"分枝世界の戦国記譚"もよろしくお願い致します!

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