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第五十三話 六人寄れば

 

 俺と頼久は段蔵と別れ、義守さん達と別れた場所に戻ってくる。


 あれから既に三十分くらいは経っただろうか···そういえば待ち合わせの場所を決めるのを忘れていた。


 それから十分ほど後、無事に武器蔵組が戻ってきた。


 全員粉にまみれ、白粉のようになっている。


「お帰り。酷い格好だね」


 義守さんは涼しい顔で小麦粉を叩き落としていく一方、清胤と貞興兄は恨めしげな顔でこっちを睨みながら小麦粉を叩き落とす。


「こんなんになったのははじめてだぜ」


「まったく···これは本当に必要なことなんだろうな?」


「今回は盛大に爆破させたいからね···言わなかったのは悪かったよ」


「よし···では景亮様。行って参ります」


「よろしく」


 先に身なりを整えた義守さんはこれから別行動となるため、指示した場所に向かっていった。


 それから遅れて全員が身なりを整え終えると、俺たちはより敵の中心地へ移動する。


「さて、そろそろだな···」


 全員でその時を待つ。するとーー


 ドオォォォォォォォォォォォォン!!


 大きな音とともに大地が揺らぐ。蔵の方向から火の粉と煙が空に向かっていくのが見える。


 それに遅れて鐘の音が鳴り響き、それに気付いた兵は装備もろくにせず、着の身のままで出てくるものもいる。鐘を鳴らしているのは義守さんだ。


 さて、俺もお仕事お仕事···


「敵襲ー! 敵襲ー!」


 精一杯の大きな声で叫ぶ。


 他の三人もやりたいことが分かったのか、嫌らしい顔を浮かべ、俺と同じように声を出す。


「兵糧と武器庫がやられたー! ここはもうだめだー!」


「小田原に退却するぞー! 義氏様を連れて小田原に逃げるぞー!」


 建物から次々と人間が出てくる。


「かーっかっかっか! この鳶加藤の術にかかればこの古河御所もただの張りぼての如くですぞ!」


 加藤が何かする度に其処ら中で悲鳴が聞こえる。


 すると、城の外が騒がしくなる。


 閉じられていた門が開けられたと同時に兵が雪崩れ込んできた!


 旗には九個の円で構成される"蕪"の紋。


 それを見た北条の兵は震え上がる。


「蕪の紋!? 上杉の柿崎景家だー! 柿崎が攻めてきたー!」


 景家さん!? どうしてこんな所に!?


 俺が驚いている後ろで三人はクスクス笑っていやがる。お前らか!


 俺達を見つけた景家さんが近付いてくる。


「おう、お前ら。良くやってくれたな! お蔭で想定より早くここを掃討できる。特に松尾の小僧! なかなかやるじゃねぇか! 政虎様もさぞ喜ぶだろう」


 お、おう···誉められちゃったよ


「弥太郎! 槍をくれてやる。共に来い!」


「応!」


 貞興兄は嬉しそうに景家さんに付いていく。流石は戦闘ジャンキー···怖い怖い。


 それから三十分。足利義氏は兵を連れて脱出し、陽が昇るころには古河御所は上杉の手に落ちたのだった。



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