第四十話 忍びは中から
やったぜ。運は俺に味方した!
というわけで、思ったより噂がきいたのか椎名が神保に攻撃を開始。
それと同時に神保から和睦了承の返事と援軍要請のための使者がやって来た。当然了承し、畠山と神保、上杉による共同戦線となった。
さすがの段蔵もビックリしているようだ。
「···まさかここまで簡単に行くとは」
「いや、俺も吃驚してる」
神保の使者は感謝の極みみたいな感じで平伏しっぱなしだったし。
史実よりも関東菅領を引き継いだのが早かったからそれもあるのかな?
神保家次男の長城さんとか家老の小島職鎮さんとかがかなり協力的だし。
畠山の家臣の中にも遊佐続光さんや温井景隆さんを含めた親上杉もいるみたいだから反上杉をどうにかやり込めてもらおう。
後は史実通り畠山さんと上杉を親類にすれば越中、能登はほぼ安泰でしょう。
そうすれば畿内、織田にも備えることができる。
それに武田と戦うときに後ろを気にしなくて済む。
そういえば政虎はどうしてるかな~···怪我とかはしてないと思うけど。
俺のいた現代ならともかく今は携帯もパソコンもない世界。当然向こうの状況を知る術はない。
こういうときはホント不便だな···仕方がないので後で手紙を送ってみよう。
さて、そんなわけで椎名が守る松倉城に向かって進軍を開始する。
向こうは戦力差を考えた結果なのか籠城しているようだ。
こっちは兵を休めるのと、畠山神保両勢との連携を密にするため、無理に攻めることはしない。
それから二週間。睨み合いが続いていた。
俺は越後本陣から、松倉城を望む。隣には段蔵と義守さんがいた。
「降伏してくれりゃいいんだけどな···」
俺の言葉に段蔵が反応する。
「それはどうでしょうなぁ···向こうは討ち死に覚悟のようですぞ」
「まじ?」
「ちょいと忍び込んでみたらそのような話がポツポツと」
「···ちょっと待て。段蔵お前、いつ忍び込んだ?」
「これは骨が折れそうですな」
「おい無視か? 主の言葉を無視すんのか?」
「おい鳶加藤。主になんという口の聞き方だ」
「それはそうと、この状況を崩すにはどうすればよいと思われますかな?」
「···」
崩す···ね。籠城なんだから外から崩すなんて出来ないし。ってことは
「「中から」」
俺と段蔵の考えは一致しているようだ。
「段蔵、兵糧を無くすのと、お前が中で暴れるのと、兵に変装して門を開けてしまうのとどれがいいと思う?」
「お勧めは拙者が中で暴れる···ですな」
「できるの?」
「無論。拙者の術であればあの程度の城、容易に落とせますぞ」
「ほっほーう」
まぁ、松倉城は特別堅い城って訳じゃないみたいだし、段蔵なら出来るんだろうな···
「では私も城に入り、神保の兵を装って城門を開けましょう」
義守さんも俺達の考えに乗るようだ。
「よーし···んじゃいっちょやってやりますか!」
俺は全軍に城門が開いたら突撃するように通達すると、段蔵と義守と共に松倉城に向かった。
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