第三十三話 絶さんが家にやってきた
少しの間、日常話が続きます
前久さんを見送った俺達は俺の寝泊まりしている屋敷に入った。
荷物運びなどを政虎が呼んだ兵に任せ、政虎と絶さんと話をすることにした。
床に座って一息いれた絶さんは俺達に向かって改めてお礼を言う。
「改めまして、私達を受け入れてくださって誠にありがとうございます。これよりよろしくお願いいたします」
見惚れるような美しい所作で頭を下げる。
「こちらこそよろしく頼む。これよりはこの越後を第二の故郷と思って過ごして欲しい」
「はい! ありがとうございます!」
「景亮。絶殿と女中らの事はそなたに任せるがよいな?」
「あいよ。お任せあれ! まぁ特に何をさせるってのは考えてないけど」
「今屋敷はそなたと段蔵の二人だけ。屋敷の掃除や炊事を任せればよいだろう。絶殿には景亮の身の回りの世話を任せたいのだが、絶殿はそれでよろしいかな?」
「はい。お任せくださいませ」
「俺、世話役とかいらないんだけど···」
俺の言葉に政虎はにやにやと笑みを浮かべて反論する。
「聞いているぞ? そなた、御飯は常に外で食べ、掃除洗濯は溜め込んでからやるらしいな?」
うっ···。だって飯なんて作ったことなんてないし、掃除は広いから面倒だし、洗濯も面倒だし···まじ掃除機も洗濯機もないのはやっぱり不便だわ。
「私は常日頃から心配でな···前々から誰か付けようと思っていたのだ」
俺の惨状を聞いた絶さんは驚いたような顔をする。
「まぁ、景亮様ったら。これは世話のしがいがありそうです」
どうやら絶さんに火が付いてしまったようだ。思ったより押せ押せの性格なのかな?
「···はぁ。了解、よろしくお願いします」
「はいっ!」
絶さんの嬉しそうな顔が見れるならいいかな?
可愛い女の子に世話されるなんて男の夢だしね!
それから親睦を深めるために三人で色んな話をした。
いやぁ···何か元の世界よりもリア充の気分だよ。綺麗で凛々しい政虎と、可愛くて清純そうな絶さんとこんだけ話せるとかまじここに来れて良かったことトップだよ。
ってか二人とも美人さんなのに結婚してないんだよな···絶さんはともかく、政虎は俺より年上なんだから、一度はありそうなもんだけど。
気になった俺は聞いてみることにした。
「そういえば、政虎は誰かを婿に入れたりしないの?」
その質問に二人は違った顔をした。
どこか他人事のようにキョトンとした顔の政虎。
何故か驚いたような顔の絶さん。
「景亮様、政虎様···もしかして気付いておられないのですか?」
え? 気付くって何に?
俺は政虎と顔を見合わせる。政虎もさっぱりとって顔をしている。
「成る程···これは私が頑張らなくてわ!」
一人気合いを入れる絶さんに俺達は頭にはてなを浮かべていた。




