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第二十四話 恒例の


大熊朝秀による謀反が終わると、俺達はその足で春日山に戻った。


景虎はすぐに家臣とともに評定の間へと向かうと、今回の騒ぎの一因である領地を改めて見直し、裁定した。

全員が納得する采配をするのは景虎や定満さんもだいぶ気苦労したようだ。



さて、それから数日後。尾張や畿内から遠いこの越後にも、ようやくあの歴史的出来事の話が届いた。

それは景虎を含めた越後の民にも驚きをもたらした。


"今川義元、田楽狭間にて織田信長の強襲により討死す"


つまり桶狭間の戦いである。有名な歴史ものにおいて、その始まりに書かれる戦である。東海一の弓取と言われ、武田や長尾に仲介できるほど強い力を持つ今川義元が、まだ田舎大名だった織田信長によって倒された話は、この時代に生きる人にとってかなりの驚きだったようだ。


越後に直接影響するかどうかは分からないが、一つ。気にしなければならないことがある。それは武田の動きだ。

昨年あった犀川の戦いを仲裁したのは今川義元だった。義元が死んだとなれば武田勢との和睦も破棄されかねない。


しかしこの時代は情報が来るのが遅い。まあ仕方のないことではあるんだけどさ···情報を得やすい仕組みを考えてみるかな~···


それから数日後の夜、俺は景虎に呼び出され、お酒と俺用の水を持って向かう。

なんだか定期的になりつつあるが、心地いいし、一番の楽しみなので増えてくれた方が嬉しい。


「景虎ー、入るぞー?」


「景亮か、待っていたぞ。入れ」


部屋に入った瞬間目に入ってきたのは、月明かりに照らされながら月を肴に酒を飲む景虎だった。


相変わらず綺麗だ···まじ惚れるわ。


「何を突っ立っている? はやく座れ」


「あ···あぁ」


いそいそと景虎の横に座り、持ってきた物を間に置く。


「···景亮。先日の件、改めて感謝する」


「もういいって! ···それにしてもホントに上手くいってよかったよ···」


「あぁ···願わくばそなたの啖呵を直に聞きたかったが」


「もうホント勘弁してくれよ。俺自身何を言ったかちょっとしか覚えてないんだ」


「フフッ···」


笑いながら酒をあおる景虎。


それから息を吐くと改まって話し出す。


「義元公が亡くなったのは聞いたか?」


「あぁ。今川はどうなった?」


「どうやら嫡子氏真のもと、持ち直したようだな」


「···俺の知る史実だと武田、徳川、織田によって土地を奪われ、相模の北条の元に逃れるはずだった」


「記憶違いか?」


「いや、たぶんだけど歴史が変わってるんだ。何かしらの要因で」


「···私達越後が備えるべき相手は?」


「とりあえずは武田、それから北条、蘆名、越中、そして織田。特に織田はこれからこの日の本を変えていくはず」


「尾張の織田···か。次は何をするだろうか?」


「次は美濃を取りに行くと思う。俺らが関係するのはきっと越中に織田が来るときだね」


「うむ···やはりこの立地だと情報に弱いか」


景虎が溜め息をつく。


「立山行者、修験者、中島や中西中心とする伏嗅。情報を得るとしたら基本はこれらを使っているが···」


「だったら商人を使ってみたら?」


「商人?」


「そう。全国を回る商人や土地と土地の間を行き来する商人から情報をお金で買うんだ」


「···なるほど」


「他にも伏嗅をより遠くに放って、中継ぎを作って情報網を伸ばすとか」


人を中継させることでよりはやく、たくさんの情報を得られるとかできないかな?


「···やってみる価値はあるやもしれん。さっそく明日、中島に話してみよう」


二人の夜は、まだまだ終わらない。



次話に続きます

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