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第十六話 第二次川中島合戦

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次の朝俺が目覚めると、外では既に兵が忙しく動いていた。


刀を持って急ぎ外に出ると清胤が兵たちに指示を出していた。

清胤は俺に気付くとこっちに近寄ってきた。


「おはよう景亮。よく眠れたようで何より」


「おはよう清胤、おかげさまで。···この急ぎ様はもしかして?」


「あぁ、戦が始まったよ。柿崎殿の隊が川を渡り始めた。あと一刻ほど経てば俺ら部隊の出番だ」


少し離れた犀川のほうには景家さんの騎兵隊と旗印が見える。


「殿と宇佐美殿は戦働きの上手な柿崎殿と貞興(あに)、北条殿、本庄殿の部隊が1刻おきに前に出られるよう車懸かりの陣を形成して、敵がより疲れるようにしている。それに加えて部隊の転換時に弓を放つことで休んだり反撃する暇を与えない」


「しかも戦力に波を作ることで相手に精神的な疲労を与えることができる」


ホントに景虎は策を講じるのが上手い···しかも周りも戦上手だったり頭がよかったり、有能な人多いなー


「この策にどれだけ向こうが耐えるかだな···」


「殿はもう新たな策を講じている。葛山の後方にもう一つ城を築城することを指示なされた。二つの付け城により、旭山城の敵の動きをより見定め、封じることができる。旭山城を攻めないことでこちら側の物資や兵站を抑え、旭山城への援軍の来る方向も南からに固められた。殿は相手の行動を予測、誘導することで戦を優位に進むことを得意とする。まさに未来を予知するがごとく疾く戦を進めていく···」


景虎はきっと全ての情報をパズルのように当てはめ、相手の行動を予測することを可能としているんだろう···そしてカリスマによって部下を手足のように動かし、自らの武力によってより戦の動きを臨機応変に変える。まさに軍神と言える存在だ。


「ただ、相手も戦上手の武田。そう簡単に負けてくれるはずもない」


「とりあえず今は景虎を信じて戦うしかないってことか···」


「そういうことだ···さて、指示に戻らなければ。景亮はどうする?」


俺の配置って結局本陣だからなー···


「景虎のところに向かうよ」


「そうか、俺は本陣の警護、攻めてきたら必ず守って見せるさ!」


「ありがと! 武運長久を祈るよ!」


さて、本陣へと辿り着いた俺を向かえたのは、腰くらいの高さの台に俺が渡した地図を広げている景虎だった。


「おはよう景虎。戦況はどう?」


「おはよう景亮。どうやらそなたのというか鳶加藤のお蔭で、敵方の兵站が動けず伸びきっているようだ。中島から報告があったぞ」


おーっ、さっすが鳶加藤! 無茶苦茶やってるみたいだな~


「ってことは武田晴信の到着も遅れてるってことか···」


「あぁ。戦況はこちらに傾いている。しかし油断はならない。途切れぬよう策を講じ、攻め立てなければ」


「相手のやれることを封じていかなきゃね···とにかく鉄砲に注意しつつ、小競り合いで削っていくんだろ?」


「あぁ···しかし、相手には武田典厩信繁を筆頭に山県昌景、春日虎綱、小山田虎満、小山田信茂、飯富虎昌、内藤昌豊、板垣信方、真田幸綱、原昌胤、山本勘助、甘利信忠など多くの将が続々と陣に入っているようだ。削っていくにしても数が多い」


「確かに向こうは将が多いね···」


「それが甲斐勢の、武田晴信の強みの一つでもある。臣下の結束が固く、何より規律良く鍛練されている。世はかの者らを天下一の軍と呼ぶ声もある」


「そんな奴らを相手にしなくちゃいけないのか···」


「しかし、勝たなくてはならない。北信濃は村上義清殿が統治するべき国。侵略せんとする武田をここから追い出さねば」


しかし、そんな景虎の思いと裏腹に百五十日の長きに渡りこの戦況は拮抗し、ただ兵と資材だけが着々と浪費されていくのだった。


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