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第十三話 初戦の開幕

 

 加藤段蔵と会って一ヶ月ほど立った。


 結局刀は一切出来ませんでしたよ。そりゃそうだ、運動なんて体育しかやらなかったし、剣なんて握ったことなんてあるわけないんだ。

 その分馬には何とか乗れるようになった。それだけは結構努力した。


 さて、一ヶ月も経てば周りも変わり始め、それなりの人から何とか信じてもらえるようになった。これは景虎や貞興兄、頼久、清胤達のおかげだ。

 それに加えて俺の身辺を洗ってもなにも出てこないってのもあるかもしれない。


 それから、犀川近くの旭山城を牽制するための城、葛山城が完成した。

 これで旭山城に籠る敵を押さえつけられる。景虎は一部の将に先駆けとして入城せよと指示、自らも軍を率いて犀川に行くため、準備中である。


 また、越前国の大名朝倉家の家臣朝倉宗滴(あさくらそうてき)がこちらに呼応して加賀に出陣。一向一揆を抑え、加賀を平定させるためであると色部勝長さん経由で書状が来た。これによって武田に集中できる。


 つまりこれで景虎にとって憂いなく戦をできる要因が全て揃ったというわけだ。


 景虎は女中に指示し、大量のご飯を作らせ、兵士たちに振る舞った。

 有名な"お立ち飯"である。士気を高揚させると共に、戦の始まりを知らせる役目を持っていると景虎は言ってた。


 そして、それから数日後、遂にその日が訪れた。


 俺は朝、清胤の使いに起こされ、加藤と義守を連れて一番横の列に加わった。


 鎧を纏い、武器を手にした兵、約八千が並ぶ。その前にはそれらを率いる将が並んでいる。


 そこはなんとも言えない熱気と緊張が渦巻いていた。俺が感じたことのない、これが戦の雰囲気なんだろう···


 すると、前の一段上がった場所に景虎と定満さん、政景さんが現れた。

 離れたところには綾さんと上杉憲政さんが並んでいる。

 上杉憲政さんは関東領であり、山内上杉家の当主。武田晴信に攻められ、越後に避難し、現在は御館に住んで景虎の後ろ楯となっている。


 全員が並ぶと宇佐美さんが一歩進み出る。


「皆の衆、これより我らが越後の国主、長尾弾正少弼景虎から言葉を頂戴する!」


 定満さんの言葉にざわざわしていた兵たちが静まり返った。


 すると景虎が進み出て、前に並ぶ兵たちを見渡すと一呼吸おいて話始める。


「越後の猛き将兵たちよ! 我らと幕府の宿敵たる武田の者共が、我らの土地を奪わんと攻めてきた。今こそ、かの者らを討ち果たし、関東に平和をもたらさん!」


「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」」


 越後の兵の声が大地に、空に木霊する。


「毘沙門天よ、八百万の神々よ、我が破邪顕正の戦を照覧あれ!!」


 そういうと剣を抜き空に掲げる。それと同時に"龍"と"毘"の旗が空になびく。

 これが景虎の戦を始めるときの儀式みたいなものなんだろう


「では、出陣せよ!」


 その言葉に七手組柿崎景家さんと斎藤朝信さんの部隊を先頭に兵が一斉に動き始める。


 それを見ていた俺の横に、景虎がよってくる。


「景亮、では我々も向かうぞ」


「はいよ」


 犀川、第二の川中島の合戦の幕は上がった。


 さて、いっちょ頑張りますかね!



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