第百六話 贈り物
というわけで慶次が仲間になりました! もう一人くらい配下に欲しいな···誰かいいキャラいないかな~
武田信玄の訃報の噂。凜は直ぐ様甲斐への間者を増やし、その噂が事実かどうかを調べさせた。また、家臣達には事実がわかるまでは武田に対して攻撃することを禁止させた。一応罠であることも考慮してのことだ。
凜はそれに対応するために一度俺達と別れ、城で情報を待つことになった。俺は利益と共に一度俺の屋敷に戻ることにした。段蔵達と顔合わせさせないとね。
「旦那ァ、これから何処に?」
「ちょっと寄り道してから俺の屋敷へ。輝政もここで寝食を共にしている。同時に俺のもう一人の奥さん近衛絶とその女中、そして俺の配下が住んでる」
ま、屋敷より前に寄るところがあるから今はそこに向かっているけど。
「ほォ···成る程。それであのような情報がねェ···」
「噂?」
「織田が上杉についての情報を集めた中に総大将と近衛殿の妹君が婚姻したという物があったのよ。尾張じゃ総大将は男と勘違いされてるからなァ···俺も最初は驚いたもんよ。一方旦那が近衛の妹君と暮らしているという情報もあったからなァ。これで色々合点がいったぜ」
織田軍では未だに輝政=男と認識されている。だから織田の使者に対応するのは俺になった訳だ。織田の情報収集能力は高いみたいだな···流石に輝政が男という先入観のおかげで完全に考えが当たっている訳でもなさそうだ。
「しっかし、旦那。俺は松尾って家聞いたことねェが、屋敷を持ち、しかも天下の軍神と元関白のお家の妹を嫁にしたってんなら、さぞ名家なんだろ?」
「いんや。俺は元々浪人みたいなもんだよ」
「はっはっはァ! そりゃすげェ、一浪人から越後の国主一族にまでのしあがるたァ今元直や木下秀吉より大出世じゃねェか! しかも武芸は其れほどでもなく、政もまた口出しできる程でもねェときた、かかっ、全くもって可笑しな男だ···」
「よしてくれ。俺は別に大層な奴じゃないよ···俺はただ、輝政と絶の隣にいただけさ」
俺は目的地の前で足を止める。そこは鍛冶屋。俺の刺叉と盾だけでなく段蔵の忍び道具製作にも協力してくれているご贔屓先だ。
「ここは···随分古そうな鍛冶屋じゃねェか」
「まぁ外見はね。おやっさん、入るぞー」
戸を開けると相も変わらずカンカンと鉄を打つ音が耳に響く。
「おぉ、これはこれは何用ですかな?」
作業している男達の中から一番年上の男性がこちらに近づいてきた。
「こいつの為の武器を貰いに来た。刺叉と一緒に作ってあったあの武器、まだある?」
「えぇ、当然でございます。今お持ちしましょう···おい、誰か手伝え!」
「へぇ!」
おっちゃんは部屋の奥から二人懸かりである武器を持ってくる。
「よっと!···ふぅ、こちらでございます」
持ってきたのは人の丈ほどある棒に先端に槍、その片側には斧、もう片方には薙刀の刃の部分が付き、柄には武器。"突く""斬る""払う""叩く""割る"などオールマイティーな戦い方ができるロマン溢れる厨二武器。
それは特注のハルバード。日本に伝わるところの方天戟だ。
刺叉と共に作ったものの、余りの重さに俺が持てなかったという理由で日の目を見ることが無かった物だ。いやぁこんなロマン溢れる武器使いたいと一度は思うじゃん! 他にも七支刀、騎士が使うような槍、三叉槍、戦鎌、大斧などあらゆる武器造りをしてみたものの成功した例は少なかった。
「これは···戟の一種ですかィ?」
「刀とか土地とかあげられる物は俺には無いからね···ま、これが歓迎の品ってことで。握っていいよ」
「では、遠慮なく···っと!」
利益は軽々と方天戟を振るう。その内まるで修練のように斬ったり突いたりしはじめた。感触を確かめているようだ。
「ふぅ···こりゃいいねェ、何より面白い。旦那ァ、本当に使ってもいいのかィ?」
「勿論。これはもう利益のもんだ」
「これの銘は?」
銘? 武器の名前って奴かな。考えてなかったぞ。そうだなぁ···それじゃ大陸の兵主神の名前を借りて。
「蚩尤天戟···ってのは?」
「かの高祖の赤旗と同じ名か···気に入ったぜ! この武器に誓って旦那の、上杉の敵を打ち払おう!」
「そりゃ良かった。んじゃ次は利益の同僚を紹介するよ。じゃ、おやっさんまた来るよー!」
「えぇ、ぜひ。お待ちしております」
頭を下げるおやっさんを背に、蚩尤天戟を抱えた利益を連れて屋敷に戻った。




