第百一話 生地温泉
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新治神社の散策を終え、越湖とも呼ばれる潟湖の近くにあるという霊水のもとに向かった。
関山の湯や黄金の湯に比べて随分と整備されている。自然の中にあるが、しっかりと掃除されているようで、落ち葉も少ない。まぁ流石に男女別の脱衣場は無かったが。
今回も同じように俺が先に入る。タイミングのいいことに今回も誰もいない貸しきり状態だ。
「あぁーー! はぁ···」
幸せだ···。いつ入っても温泉はいいね!
「どうせなら夜に星を見ながら入りたいもんだ」
この時代当然電気が通ってないので夜来るには足元が危ないし、まず毎日風呂に入る習慣がない。俺は毎日屋敷の風呂に入ってるけど。
「景亮は本当に湯浴みが好きなのだな」
「旦那様、お待たせいたしました」
足音が聞こえ、二人が現れた。相変わらず布で局所を隠しているが、今回の温泉は関山の湯と違って無色透明。ボヤけつつも二人の体の曲線が見えてドキドキする。何時までたっても裸を見るのは慣れない。
「遅かったね。何してたの?」
「あぁ、近くの村の者がいてな。話を聞いていたのだ」
自分の肩に湯を掛けながら凜が話始めた。
「私がここを見つけてから数年後、一乗という僧が新治神社を訪れ、そこの神主からこの霊泉について話を聞いたらしい。私の植えた松の下に庚申仏を配し、この湯の近くに住んでいた者にここを整備し、維持するよう命じたらしい」
「はー···道理で他の場所に比べて綺麗なんだな」
恐らく上杉輝政縁の湯として後世に伝えられることだろう。ロマンだ。しかもその本人と並んで湯船に浸かっているなんて何と贅沢な。
「凜様、この後はどちらに行かれるおつもりなのですか?」
「そうだな···越中富山も充分見ることが出来たし、そろそろ越後に戻らなくてはな」
「確かに。かなり空けちゃったからね···」
「定光や長実がそろそろ参っているかもしれんしな」
そういえばあれだけ感動的に現役を退いた定満さんを呼び戻し、政を手伝ってもらってたんだった···。
今頃ひぃこらひぃこら言いながら政務を行っていることだろう。
「しかしその前に貝掛の湯に寄ろう。関東への出兵の際も寄っていたが、今の時期は戦も無し。貸しきりも出来るだろう」
凜は悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「はい! もう暫くは三人だけの旅を楽しみましょう!」
絶もこっちを向いて笑みを浮かべる。
この時代、どっかのだれかは奥さんと離れてあっちの戦場こっちの戦場へ行かされるブラック武将とかいるんだろうな···それに比べなんと恵まれていることだろう。そんなことを思いながら奥さん二人と温泉を楽しんだ。




