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第九十九話 商人

 

 次の日の朝、河原の湯と黄金の湯へ向かい朝風呂を済ますと宿に戻らずそのまま越中へと足を進めた。


 まずは魚津城下に到着。越中での目的は神保が納める富山城城下に決定した。

 これを期に、改めて神保の治める国の様子を見てみようと言うことになったのだ。


 魚津城下までの道を歩いているとき、休憩している大きな荷物を荷車に乗せた集団の先頭にいた男の人に声を掛けられた。


「おぅ旦那! 別嬪さん二人も連れて物見遊山かい?」


 中年太りし、髭を蓄えたおっさんだった。


「まぁね、俺はこの二人の付き添い兼護衛役」


「はっはっは! なんでぇ、細っそい腕して護衛たぁ、大丈夫なんですかぃ嬢さん方?」


 俺の肩をバンバン叩いてくる。


「そう言うおっちゃんは誰よ?」


「俺らは田舎の行商人よ! あっちこっちの国で織物やら薬やらを売り歩いてんのさ」


 ほぉ···行商人ね。


「越後の噂、知り合いの行商から耳にしてねぇ···俺らもご相伴に預かろうかと思ってよ」


 成る程。目的は鹿角盾松札か情報を売るって事か。


 俺が考え込んでいる間に、おっちゃんの言葉に返したのは凛だった。


「あら、そうなのですか? 私達は越後から来たのです」


 ···ん?


「おぉ、そりゃ奇遇ですなぁ! して、越後の町はどんなもんなんですかな?」


「ふふっ、良いところですよ。何より今は平和ですが、いつ武田北条と争うか分かりませんから買い手はいくらでもあるでしょう」


「そりゃいいこと聞いた! 嬢ちゃんは別嬪な上に頭もいいときた、そっちの嬢ちゃんもいいとこの出っぽいし、姉妹かい?」


 ···ん!?


「その様なものです。ところで商人様はどちらから?」


「俺達は畿内から回ってきたのよ! あそこは織田の兵が常駐してるからな···」


 凛がお淑やかな女性っぽくなった!?


「私達はこれからそちらにも向かいたいと思っていたのです。よろしければ畿内の近況について教えてもらってもよろしいですか?」


「おぅ、構わねぇですぜ! さて、何から話したものか···」


 それから淑女のようにおっちゃんと会話する。うんやっぱり綾さんの妹なんだなって改めて思う。そういや織田の使者にお酌してるときも相手さん違和感を感じていないように見えたな···結構演技上手いのか? キャラ的には大根役者だと思っていたが···。それとも綾さんの教育の賜物か。


「成る程···沢山の情報ありがとうございます」

「ありがとうございます!」


「良いってことよ! 」


 俺がたじろいでうんうん唸っている間に話を聞き終えたようだ。


「さてそろそろ俺らは行くわ。お前らそろそろ動くぞ!」


 そう言って集団を立ち上がらせる。


「では道中気を付けて。商売が上手くいくよう願っております」

「お体に気をつけてくださいませ」


「おう、ありがとよ! 旦那も嬢ちゃん達をしっかり守れよ?」


「分かってるよ。商売頑張ってな」


「おうよ!」


 そう言って越後へと向かっていった。何だかすげぇ人だったな···。


 一方俺達も一時間とかからずに魚津城下に辿り着いたのだった。



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