古き事を記した野望
歴史創作に挑戦しました。所々間違っている気がしますが多目にみてください。
「古事記の編纂が終わりました。」
そう云ったのは太朝臣安萬侶と
男かいや女か分からない顔立ち。顔もそこまで良いとは言えない。いや顔が悪いのではなく鼻が少し大きいと言うか長い。
ああこの方が稗田阿礼か。
彼、藤原不比等はそう思った。稗田阿礼は天鈿女命の子孫と謂われている。天鈿女命の夫の猿田彦命は鼻が長いと謂われていてそれを受け継いだのだろう。稗田阿礼は一度見たもの、聞いたものを忘れないほどの記憶力があるらしい。
今回は天武天皇の命で語り部から昔のこと聞き稗田阿礼が誦習いていた。そして覚えたのを聞いて太朝臣安萬が侶書き写した。須佐之男が詠った「 八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を 」という倭(日本)で最初の和歌や天照命の岩戸隠れなどが書かれている。他にも藤原の...
「すみません。ちょっといいですか?」
そう訊いてきたのは太朝臣安萬侶だ。
「どうしてっ。どうして貴方はこの‘古事記’を‘藤原氏の書’にしようとするのです?」
太朝臣安萬侶は続ける。
「大国主命を国津神にしたり、幾つかの神を消したり。それに藤原氏を優位にたたせようとしてますよね。」
藤原不比等は云う。
「当たり前じゃないか。」
「えっ?」
二人とも驚く
「だってこれは藤原氏の支配のための書だ。いつかは天皇(大君)に成って代わって政治を行い、天皇家と関わりをもち、いつかは天皇の座を狙う。これはその為の書だ。」
太朝臣安萬侶は反論する。
「ばれたらどうするのです。」
藤原不比等は落ち着きある声で
「ばれる訳ないでしょう。国史の改竄がばれた所でどうなる。その頃には私たち藤原氏の支配が完成する。蝦夷も平城京も天皇家も伊勢や出雲の大社も!」
「全て私達藤原氏のものになっているのだから。もう遅いのだ。」
藤原不比等は不敵な笑顔でこちらを向き言い放った。
藤原氏が途切れ、結局支配どころか天皇家に近づくことしか出来なかったのは別の話。
藤原不比等なんてマイナーかもしれませんが楽しんでもらえましたか?また機会があれば歴史創作をやらせてもらいます。
ここまで読んでくださりありがとうございますm(__)m