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ブサメンガチファイター  作者: 弘松 涼
第三章 腐った化け物と消えた嘘
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44 情報収集1

 俺達はリーズの手がかりを見つけるために、一度、馬車でヴィスブリッジを目指した。

 皆はかなり疲れているとは思うのだが、眠ることもなく終始無言。不安を隠しきれないといった様子だ。


 無理もない。

 今まで陰で支えてくれていた存在が、突如姿を消したのだから。



 御者を買って出てくれた加藤君が、こちらに振り返ると、

「みなさん、心配だとは思いますが、どうか休んでください。こんな時こそ無理をしてはいけません」とニッコリ微笑んだ。



 加藤君の言う通りだ。


「聖華さん、疲れているだろ? 俺も休むから休みなよ」と、俺。


「……リーズが気になって……、ちゃんとご飯食べているでしょうか?」

 

 そんなこと分からんが、このメンツがへばったらそれこそおしまいだ。


「……きっと彼女は大丈夫だと思うよ。心配なのは分かるけどリーズを見つけるためには今はしっかりとやすんでおきましょう」


 俺達が仮眠をとっている間に、馬車はヴィスブリッジへと到着した。



 出迎えてくれたのは、甲斐さんだった。

 ビシッとした黒いスーツも板についてきて、すっかり社長らしくなったように思える。


「会長、お疲れ様です。加藤の電報よりおおむねの話はうかがっております」


 加藤君、御者をしていたのにいつの間に。

 そっか、あらかじめ転移魔法が使える者に速達を頼んでおいてくれたんだな。

 随分と手際よくなったもんだ。


 誠司さんは甲斐さんに問う。

「そうでしたか。それは話が早くて助かります。何か情報はありましたか?」


 甲斐さんは首を横に振る。

 そりゃそうだ。

 リーズをさらっちまう神さんなんて、そう簡単に見つかるものではないと思う。


 すぐに行動しようとする誠司さんに、

「一刻を争う事態ではありますが、初動の情報収集に関しては我々に任せて、とにかく今は休息をおとりください」


 甲斐さんの言う通りだ。


「すべての責任は僕にあります。ちゃんとみんなに気を配れていたら……。だから僕もすぐに動きます」


 そんな誠司さんに甲斐さんは続ける。

「顔が真っ青ですよ。冷静さをかいた状態だと、できることもできなくなると思います」


 その通りだ。

 だけど、あ~あ。

 そんな言い方だと誠司さんのことだ。 余計ムキになっちまう。

 そろそろ彼との付き合いも長いから、だいたいどんな反応するか読めちまう。


「僕はいたって冷静です。真剣に次の一手を考えております。それにとにかく僕は疲れてなんていませんから心配なんて無用です!」


 俺は熱くなっている誠司さんの肩を手に置いて、「まぁ、ちょっと彼らに任せてみませんか?」と提案した。


「いえ、僕も動きます」


 なかなかの頑固者だ。

 しゃーないなぁ。こうなったら言うことを聞かん。

 体裁だけでも誠司さんを立てるか。



 甲斐さんが、

「そういえば会長、留守の間にお客様が来られました。加藤より電報を頂いた後でしたので、もう少しお待ちくだされば会長は戻ってくる旨をお伝えしのたですが……」


「え、どなたですか?」


 甲斐さんはしばらく難しい顔をしていたが、

「それが名乗っていただけなかったのです。ただ立ち寄っただけで、自分のようなグレたヤツがわざわざ名乗って気を揉ませる必要なないだろう、また機会があれば自分の方から立ち寄るからわざわざ伝えなくてもいいとおっしゃってすぐに立ち去ったのです」


 自分で自分のことをグレたやつって?

 あ、もしかして、あいつかな?

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[一言] 仲間のフォロー、ガチファイターってほんと大人だ
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