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日常崩壊カウントダウン(下)

「……成程、簡単にまとめると……

貴方の兄が、ここまで貴方を連れてきて、

ここにおいて行った…そして、この屋敷に貴方はたどり着き、

今に至る…と……」

「そのとおり」

「…貴方の兄は、酷い人だな……兄弟をこの森に置いていくなんて…」


とりあえず俺なりに理由を説明した、

少し話を変えさせてもらったがな


「あのクソ兄貴が……あ、いや、何でも無い」

「……まぁ、ともかく…今夜は、ここに泊まっていくと良い、

部屋も空いているし、布団や食事も用意出来るしな」

「へ?」

「ここの森は、夜はとても危険だ、それに、道も分からないのだろう?

明日、私が森の入り口まで案内しよう」

そう言って、満面の笑みで微笑むこの少女


あぁ…地獄に仏…いや、女神というべきか…

目の前に居る少女が、天使に見えた







あの後、この着物の少女は、食事を準備してくれた、

一人で用意するのは大変だっただろうに


風呂までも準備してくれた、なぜか着ていた服は新品同様に綺麗になり、

そして少しだが冷たかった


自分で布団を敷くつもりだったのに、風呂から上がると、

もう既に布団は準備されていて


この少女には、なんとお礼を言えばいいのやら…

心の中で何度も礼を述べ、その日は眠りについた


少し、ここに来て良かったと考えてしまった










翌日、着物の少女が、朝優しく起こしてくれ、

朝御飯まで用意してくれた


…今は、何もお礼をする事はできず、出来る事と言えば、

何度もありがとうと心の中で言う事、くらいだった




朝御飯を済まして、少し食後休憩を取ると、

家を出て、森の入り口へと連れて行ってもらった




「…あとは、道が自ずと案内してくれる、

土のみえている道を歩いていけば、後は村へと帰れるだろう」

「分かった…本当にありがとう、色々と世話を掛けてすまんな」

礼を述べると、小さく手を振って微笑んで

「礼はいらない、私としても、久しぶりの客人だったしな、

訪ねてきてくれたおかげで、少しの間だが楽しかった…

ほら、家族が心配しているだろう、気をつけて…な」


そう言うと、背を向けて、再び歩いてきた道を、着物の少女はもどっていった








あの後、少女の言うとおり、土のみえている道を歩いて行くうち、

見覚えのある道に出て、無事戻れた


家族は皆俺の事を心配していた様だ、

まぁ、あのクソは思いっきり顔面を蹴って成敗してやったがな






聞けば、仕事は無事終わって、これから家へと帰るとの事らしい、

車に乗って、窓の外から、あの少女の住んでいた屋敷があるであろう、

あの森を見つめて


「……………あ」

…名前を聞きそびれた…


…名前の分からない、氷色の少女、

一夏の思い出の一つとして、俺の記憶に残る事になった
























「……………」


高い木の枝、その上に静かに、あの客人が乗っているであろう、

車を見つめる、着物の少女が、ここに一人…



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