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知られざる真実

「え?僕に?」


プロダクションの食堂で、アイドル歌手「北条きたじょう圭一」と食事をしていた風間祐士は、受付からかかって来た内線電話に向かって、思わず言った。


「40代くらいの女性の方?…仕事の依頼ですか?」


受付嬢が何かためらいがちに「違うようです」と答えた。


「…とりあえず、そちらに行きます。何番の応接室ですか?」


風間は、思わず駆け寄って来た圭一に眉をしかめて見せてから、そう答えた。


……


「失礼します。」


風間は第1応接室のドアをノックしてからそう言い、ドアを開いた。

中には、受付嬢が言っていた通り、40歳代くらいの女性がいた。その女性は風間を見て、慌てて立ちあがった。


「…風間祐士です。」


風間はそう言うと、女性に頭を下げた。女性が頭を下げ「野本美佐代と言います。」と言った。

聞いた事のない名前だった。

風間は不思議に思いながらも、女性に「どうぞお座り下さい。」と言って、自分も向かいのソファーに座った。


「あの…どういったご用件でしょうか?」


風間がそう言うと、野本という女性はうつむいたまま小さくうなずいた。


「…私…風間さんと一緒のマンションに住んでいた者です…」

「?」

「憶えていらっしゃらないとは思いますが、風間さんが…小さい頃…隣に…」

「!?」


風間は目を見開いた。


「もしかして…!父さん達がいなくなった頃の!?」

「…はい…」


女性は涙ぐんでいる。


「そうですか!よく来て下さいました!」


風間は思わずそう言った。黒い霧に消された両親の何かを知っているのだと思ったからだ。だが、女性の顔色は青かった。唇が小刻みに震えている。


「実は…」


女性は震える声で話し出した。風間は思わず身を乗り出していた。


……


「いい加減にしろよ、美佐代!」


野本美佐代の主人「彰人あきひと」は、ネクタイを締めながらいらだたしげに言った。


「子どもがいなくたって別にいいじゃないか?どうしてそこまでして、子どもを欲しがるんだ!?」


美佐代は、その彰人の後ろで正座をしたままうなだれながら言った。


「お願い…お隣の「祐士」君、うちで引きとらせて!可哀想よ。」


「祐士」とは、昨夜、突然両親が失踪した5歳の子どもの事である。今は、児童養護施設に保護されている。


「あのな、美佐代。」


彰人は、美佐代の前にしゃがみこんで言った。


「確かに可哀想だが、血のつながっていない子どもを育てるってのは、そんなに簡単な事じゃないんだぞ。」


美佐代は潤んだ目を上げて、夫を見た。


「例えば、祐士君を引き取ったとしよう。…それで、もし俺たちの子が産まれたらどうする?」


美佐代の目が見開いた。夫が続けた。


「祐士君はどうなる?」

「もちろん、そのまま…」

「育てるだろうさ。でも血のつながった子と、つながらない子を全く差別なく育てられるって自信はあるのか?」

「…!…」


美佐代はうつむいた。


…夫が出勤してから、美佐代はダイニングテーブルにうなだれるようにして座っていた。

しばらくしてから、美佐代は自室に入った。


部屋の中は、昨夜の状態のままだった。

床に美佐代の血で書かれた魔法陣…その周りに立てられた蝋燭…聖水の入った銀杯…悪魔の肖像画…。


…美佐代は「祐士」を自分の子どもにしたいために、悪魔を召喚したのだった。そして自分の死後、魂を渡すことを契約し、隣に住んでいる「風間夫婦」を消すように頼んだ…。

現れた悪魔は、すぐに美佐代の願いを聞き入れた。


…しばらくして、小さな男の子の「パパ、ママ!」と泣き叫ぶ声が聞こえてきた。窓を叩くような音もする。


(…すぐに行ったら…おかしいと思われる…)


そう思った美佐代は、耳を塞いで動かないでいた。

…どれくらいの時間が経っただろうか?…慌ただしい足音と、ドアを叩く音がしている。…誰かが、警察に通報したようだった。


その後も、美佐代は夫を説得し続けた。…だが夫が首を縦に振ることは、決してなかった。

……結局、美佐代は祐士を引き取る事なく、1年後に引っ越した。…その時、お腹には夫との結晶が宿っていた…。


……


風間は、応接室を飛び出していた。外の待合室で待っていた圭一が驚いて、その風間を追い掛けた。


「風間さんっ!!」


驚いている受付嬢の前を駆け抜け、外へ飛び出そうとした風間の腕を、圭一は必死に掴んだ。


「風間さんっ!?どうしたんですか!?」


風間は声を上げて泣きながら、必死に圭一の腕を振り払おうとしている。が、圭一も必死に腕を掴んでいた。今、離したら、風間がどうなるかわからない…そう思う程、風間は取り乱していた。

受付嬢が、内線をかけ警備員を呼び出した。


……


風間は秋本常務室のソファーに座り込み、両手で顔を塞ぎながら声を上げて泣いている。

隣に座っている圭一は、風間の腕を掴んだまま、悲痛な表情でただ風間を見つめていた。

向かいに座っている秋本も、圭一と同じ表情で風間を見ていた。


その時、強いノックの音と共に、浅野俊介が飛び込んできた。


「風間君!」

「浅野さん…!」


圭一が、慌てるように秋本に頭を下げる浅野を見上げながら言った。


「…どうしてあげればいいのか…」


浅野はうなずいて、促されるまま秋本の隣に座った。


「…風間君…」


風間はまだ声を上げて泣いている。


…突然、風間と圭一の座っているソファーの後ろに、ザリアベルが姿を現した。


「!!ザリアベルさん!」


圭一が思わず、後ろを見て声を上げた。

ザリアベルは、紅い目を風間に向けていた。


「風間…」


ザリアベルが言った。だが、風間は声を上げて泣いたまま、返事をしなかった。


「…俺が、仇を討ってやる。」

「!?…ザリアベルさん!?」


圭一が思わず立ち上がり、背を向けたザリアベルの肩を慌てて掴んだ。


「待って下さい!仇を討つって…まさか、野本さんって人を…!?」


ザリアベルは圭一に顔だけ向け、うなずいた。圭一は、ザリアベルの肩を強く掴み直して叫んだ。


「駄目ですっ!!」

「ザリアベルっ!!!やめろっ!」


浅野も思わず立ち上がって言った。


「確かに、その人のした事は許される事じゃない!だけど…相手は悪魔じゃない!一般の人だ!」

「それがどうした…?…今までだって、やってきたことだろう。」


ザリアベルの声は静かだった。…だが、いつもより低い声だった。

圭一達は、燃えるようなその紅い目にぞっとした。

ザリアベルは、圭一の手を払いながら言った。


「殺したりしない。…ただ…自分のした事の、罪深さをわからせるだけだ。」

「ザリアベルさん!」


ザリアベルの姿が消えた。


「!!」

「浅野さんっ!!ザリアベルさんを止めて!」

「言われるまでもないっ!!」


圭一の言葉に浅野はそう叫ぶように答えると、姿を消した。

思わず立ち上がっていた秋本は、泣き続けている風間を見た。風間の噛んでいる唇から、血が流れているのが見えた。


……


風間は医務室のベッドで寝たまま、天井を凝視していた。腕には点滴がされている。

…あの後、風間は過呼吸になり倒れたのだった。

圭一が、風間の傍に付き添っていた。


「風間さん」


何度かそう風間に呼びかけるが、風間は天井を見つめたまま動かなかった。まるで魂が抜け落ちたかのような状態だった。


「…!?…」


圭一は風間の異常に気付いた。おもむろに立ち上がると、風間の目の前で手を振った。…風間がずっと瞬きをしていない事に気付いたのだ。


「風間さんっ!?…風間さんっ!!」


圭一は風間の体を強く揺すった。だが風間は人形のように動かない。圭一は風間の胸に耳を当てた。…心臓は動いている。だが、体は固くこわばったようになっている。


「!!」


圭一は体を上げ、風間の体を再び強く揺すった。


「…風間さんっ!!…なんてことを…!」


圭一はそう言いながら、上を見渡して叫んだ。


「風間さんっ、だめだっ!帰って来てっ!!風間さんっ!」


…風間はじっと両目を見開いたまま、天井を見つめている。


……


天使アルシェ(浅野俊介)は、異界で石に変えられていた。…やはり「大悪魔」ザリアベルに太刀打ちできる力などなかったのである。

ザリアベルは紅い目のまま、石のアルシェの前に立って言った。


「心配するな…。事が済んだら、すぐに元に戻してやる。」


ザリアベルは、アルシェに背を向け歩き出した。


「ザリアベルや」


そんな年寄りめいた言葉が、ザリアベルの歩みを止めた。

ザリアベルは振り返り、木の杖で自分の肩を叩いている大きな翼を持った青年に向いた。


「…レイチェル…」


大天使「レイチェル」は、ザリアベルに柔和な微笑みを見せながら言った。


「相変わらずじゃの。」


ザリアベルは、大天使に頭を下げた。


「…そなたの部下を、石にして申し訳ない。」

「ああーいいんじゃ。こいつはどうでも。」


大天使は、石になったアルシェの頭を木の杖でこついて言った。


「…うーん…でも、もっと美しく固まって欲しかったのぉ。」


ザリアベルは、その大天使の言葉に苦笑した。


「人間を断罪なさるか?」


大天使はアルシェに背を向け、杖をついて歩き出しながら言った。ザリアベルも並んで歩き出しながらうなずいた。大天使はそれを見て言った。


「してどうなる?」

「…何?」

「そのご婦人は、自分の罪の深さを感じたからこそ、わざわざ風間に真実を伝えに来たのだと思うが…それではだめなのかの?」

「……」


ザリアベルは答えない。ただ目はまだ紅いままだ。


「…しかし、不思議よの。どうして今まで、その真実がわからなかったのじゃろう…?」


ザリアベルは、大天使のその言葉に目を見開いた。


「そのご婦人は一般の人間じゃ。それなのに、何度風間の過去を見ても、彼女が悪魔を呼び出したことがわからなかった…。」


ザリアベルは目を見張ったまま、ゆっくりと歩いている。


「何かの黒い力が働いていたのではないのかの?」

「!?…黒い力?」

「そうじゃ。」


大天使は立ち止まった。ザリアベルも立ち止まり、大天使に向いた。大天使は、杖を肩に担ぎながら言った。


「…あのご婦人は元々、悪魔に取り憑かれていたのではないじゃろうか?」

「!!」

「正直、極端な話じゃと思わんか?普通、子どもが欲しいからって、悪魔を呼びだしちゃったりする?」

「!……」

「ザリアベル」


大天使は、悲しげな眼をザリアベルに向けて言った。


「そなたを、あの魔王より先に私が見つけておれば…そなたが悪魔になることはなかったのにの…。私は今でもそれを悔いておる。」

「…レイチェル…」

「そなたの正義感には、天使である私も頭が下がる。だからこそだ、ザリアベル。」

「……」

「怒りに任せて、道を誤ってはならぬぞ。」

「…!…」

「…ま、おせっかい天使の戯言ざれごとと聞き捨ててくれてもよい。」


大天使はそう言うと、ザリアベルに背を向け歩き出した。

ザリアベルは、頭を下げた。


…しばらくして、大天使の「ザリアベル!」という声が響いた。


「?」


背を向けて歩き出そうとしていたザリアベルは、大天使のいる方に振り返った。


「やっぱり、このまぬけな石(=アルシェ)をどうにかしてくれる!?往来の邪魔じゃ!」


その大天使の叫びに、ザリアベルは思わず吹き出してしまった。


……


「嬉しいねぇ…礼徳の弟子の君が、この私に会いに来てくれるなんて…」


結界を張った異界の中で、侯爵級の悪魔がそう言いながら微笑んだ。

前に立っている風間は黙っている。侯爵は髭を撫でながら言った。


「…で?さっき言ったことは本気なのかな?」

「本気です。」


風間は無表情に言った。


「…親を消した罪を…身をもってわからせたいんです。ザリアベルさんが手を下す前に…」

「自分で罰を下したいという事だね。」

「…はい…」


侯爵は、身を乗り出しながら言った。


「その美佐代という女が呼び出した悪魔は、誰かわかっているのかね?」

「いえ…その悪魔には興味はありません。呼び出されて契約通りにしただけですから。」

「なるほどな…。あくまでも、その美佐代という女に復讐したいんだな。」

「はい。」

「もちろん、喜んで手を貸すさ。では、まず契約をしようか。」

「…何をすれば?」

「魂を俺に捧げるという契約をしてもらう。あの女がやったとおりにな。お前の血で、この契約書にサインしてくれれば良い。」


風間は、侯爵が差し出した契約書を手に取って見た。

悪魔の言葉で何が書いてあるのか全く分からない。

…だが風間はうなずいて、指を強く噛んだ。…そして、あふれ出る血で自分の名を契約書にしたためた。


「…契約成立…」


侯爵がにやりと笑った。


……


美佐代は、暗いダイニングで独り座り込んでいた。

夫も、学校に行っている息子もまだ帰って来ていない。


(…きっと、命を取られるんだわ…)


美佐代はそう悟っていた。…タロット占い師として「風間祐士」の名前がテレビに出た時は、本当に驚いた。それも「祓魔師エクソシスト」となっていることも後で知った。

それからは毎晩のように、幼い風間が泣き叫ぶ姿を夢で見、飛び起きた。

…そして自ら罪を償うために、風間に会いに行った。


風間は話が真実に触れるにしたがって、体をがたがた震わせていた。

そして最後まで聞き終わったとたん、両耳に手を当て、気が狂ったような声を上げた。

その後は、部屋を飛び出して行ってしまい…風間がどうなったのかわからない。

だが、部屋に残っていた美佐代のところに、魔術師イリュージョニストの浅野俊介が話を聞きに来た。

そして、同じ話を聞いた浅野は「すぐに帰るように」美佐代に言った。


「…穏便にすませるように努力しますが…身辺に気を付けて下さい。なるべく外には出ないように…。」


厳しい表情をしてそう言った浅野に、美佐代は感謝の気持ちと共に頭を下げた…。


(外に出なくても…悪魔は簡単に入って来るわよね。)


美佐代はそう思いながら、真っ暗な部屋の中を見渡した。


(どんな風に殺されるのかしら…?…なるべくなら、誰にも迷惑をかけないように、完全に消し去ってくれた方がいいんだけど…)


美佐代がそう思ったとたん、背中に何かぞっとするものを感じた。

振り返ると、長い髭を生やした男が立っていた。男の体からは、炎のように赤く揺らいでいるものがある。


「そなたの、希望通りにしてやろう。…きれいに消し去ってやるよ。」


男はそう言い、にやりと笑った。美佐代は立ち上がり、目を閉じた。

…だが、何も起こらない。

美佐代はゆっくりと目を開いた。すると、大きな白い羽をもつ銀髪の男の背中が見えた。


「!?天使!?」


美佐代は思わず言った。

銀髪の天使は男に向かって両手を差し出していた。男は頭を押さえ、体を曲げて苦しんでいる。…そして、その姿は「風間祐士」の姿に変わっていった。


「祐士君!!」


美佐代は思わず風間に駆け寄り、両肩を掴んだ。


「!!」


美佐代は、目を見張る銀髪の天使に振り返って言った。


「天使さんお願いです!…祐士君の思い通りにしてあげて!!…私は罰を受けるべきなんです!お願いです!」


美佐代は、苦しむ風間に向いて言った。


「私が憎いでしょ!?殺したいでしょ!?…早く、あなたの思うとおりにして!」


それを聞いた天使は、両手に力を込めた。風間は声を上げて胸をかきむしり、その場にひざまずいた。


「…アルシェ…!」


風間は、美佐代に抱かれながら絞り出すような声で言った。


「僕を…殺して!!…でないと…僕…この人を…!」

「…!…」

「…殺して…!」


天使アルシェは両手を差し出したまま、唇を噛んだ。


(どうすればいい…!?)


突然、風間が美佐代を突き飛ばした。


「!!」


そして風間は一層大きな声を上げながら、その場にうずくまった。


「…約束が違うぞ…風間…」


風間がうずくまったまま、低く言った。乗り遷っている悪魔の声に変わっている。


「契約違反は、どうなるかわかっているだろうな?」

「!!」


アルシェがとっさに弓矢を出現させた時、そのアルシェの前にザリアベルが姿を現した。


「ザリアベル!!」


アルシェは思わず、ザリアベルの肩を掴んだ。


「…手を出すな…」


振り返ったザリアベルの目が青いことに気付いたアルシェは、目を見張ったまま肩から手を離した。

ザリアベルは、苦しみながらも自分を見上げる風間に言った。


「風間…立ち上がれ…」


風間は胸を押さえたまま、ゆっくり立ち上がった。ザリアベルはしばらく黙っていたが、やがて叫ぶように言った。


「礼徳の名のもとに!!」


その言葉に、風間は目を見張った。


「我を見失った魂を救え!」


そのザリアベルの言葉とともに、風間の胸ポケットからカードが1枚飛び出した。

そして、そのカードから前足を上げた白馬に乗った騎士ナイトが、剣を振りかざした姿で現れた。

驚いて目を見張る風間に、騎士ナイトが剣を振り下ろした。

風間は声を上げた。それと同時に、真っ二つになった風間の体から、強い光が放たれた。


「風間君!!」


アルシェが思わず叫んだ。美佐代は両手を口に当て、その場に座り込んだ。

…風間の断末魔のような叫びが、いつまでも響いていた…。


……


医務室のベッドで体を横たえたままの風間の傍に、圭一が悲しそうな表情で座っていた。

そして、その傍には浅野もいた。同じように、悲しそうな表情で風間を見つめている。

浅野が呟くように言った。


「…ザリアベルは…風間君の魂は消えてないって言うんだが…」


浅野は、目に手をやりながら言った。


「それなら…どうして目を覚まさないんだ…?」


圭一が声を震わせて泣きだした。浅野がその圭一の肩に手を乗せた。

…しばらくしてから、圭一がふと思いついたように顔を上げた。圭一はゆっくりと立ち上がった。そして足を開き、歌う姿勢になった。

浅野は驚いた目で圭一を見ている。


圭一が歌い始めた。

…「星に願いを」のフレーズだった。英語で歌っている。


「!!」


浅野は唇を噛んで、風間を見た。

圭一は、風間が帰って来るように願いを込めながら歌っている。


…圭一の歌が終わった。

しんとした間があった。

浅野が、また泣き出した圭一の肩に手を乗せた時、風間の目から涙が零れ落ちた。


「!!」


それを見た浅野は、思わず風間の体を揺すった。


「風間君!!」


圭一は慌てて目を拭い、風間の手を握った。


「風間さん!!」


…風間の開いていた目が閉じた。その目から、ぼろぼろと涙があふれ出てきた。


「…ごめんなさい…」


風間がそう呟くように言った。圭一は風間の体に覆いかぶさり、声を上げて泣いた。

浅野が涙ぐみながら、風間の頭を撫でて「おかえり」と言った。


(終)


……


ザリアベルが召喚したカード「剣ナイト」正位置の意味


「勇敢」「突進」「激怒」をあらわす。逆位置は「軽率」となる。


……


挿入歌:「星に願いを」

作曲:Leigh Harline

作詞:Ned Washington


……


この度は、ご心配をおかけしました。風間祐士です。

この中で、一般の人「野本さん」が悪魔を召喚するシーンがありますが「コックリさん」と同じように、軽い気持ちで悪魔を召喚してはなりません。

野本さんは悪魔と「死後に魂を渡す」という契約をしています。ですが実際には、悪魔を召喚するには「死後に」というような猶予はありません。野本さんは、先に悪魔に憑依されていたからこそ「死後に」という猶予があったのです。(その野本さんに憑依していた悪魔を、アルシェやザリアベルさんが今、探してくれています。…いつか解明されると思います。)

僕自身も悪魔と契約した時は、すぐに「魂を渡す」という契約でした。実際には「違反」を起こしたわけですが「大悪魔」ザリアベルさんが助けて下さったおかげで、魂が残されました。本当にザリアベルさんに感謝しています。(でもザリアベルさんは、大天使「レイチェル」さんの戯言ざれごとにつきあった「単なる気まぐれ」とおっしゃってますが(^^;))

ちなみに僕と契約した悪魔はどうなったのか…。僕にもわかりませんが、どうもザリアベルさんを恐れて、今、姿を隠しているようです。

…でも、ザリアベルさんの召喚(?)した「剣のナイト」がどうして僕を助けてくれたのか…。…ザリアベルさんは何も言ってくれませんが、いつかその謎も解けるでしょう。

今回は本当にご心配をかけました!では、また次回にお会いしましょう!


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