第8話 置き換わり
コンビニにやって来た俺。
普段はココで朝めし調達して現場に向かう。
『いらっしゃいませ。今日はいつもより遅めですね。昼からとかですか?』
何言ってるんだ、と思ったら通勤の時いている仕事着ジャンバーなのに気づき言葉を失う。
「えぇ、まあ」
『すみません、いつものさっき売り切れちゃったんですよ』
「新入りを勧誘してみるかな?」
いつも買うおにぎりの具がないという話だ。
覚えられる程だったとは少し意外だったが、拘ってのチョイスじゃないから他を手に取る。
あと、飲み物は麦茶かな?ラベルがバラバラな向きなのは、ピーク時の補充で間に合ってなかったな。
揃えとくか、落ち着くしな。
最低限買い込んで、帰宅すると不思議な事に室温が快適だ。
(エアコンつけて行ったっけ?それも御丁寧に空気清浄モード)
まあ、つけたんだろうと思う事にし、朝食を頬張る。
いつもは通勤途中に食べるからなんか新鮮だ。
と、油断しすぎてこぼしてしまった。
「ティッシュ、ティッシュ!」
と、手を伸ばすがそこにティッシュはなかった。
おかしい?と見渡すとサイドテーブルに整然と置かれていた。
一見、いつもの俺の部屋。
凄く綺麗とはいえないが、野放図ってほどじゃない。
はず⋯何かが違う。
上手く言えないが、俺のルールじゃない雑然さだ。
ゴミ屋敷・ゴミ部屋よりは片付いているほうがいいのは言うまでもない。
しかし、例えるなら出張で連泊しているホテルの部屋。
プライベートに立ち入らないように、片付けられてる感じだ。
ココは何処だ?
俺の部屋を返してくれ!
一先ず、自分ルールに配置を戻し、整然さは失われたが心の落ち着きは取り戻し一日を終えた。
いつもは部屋にいたくないが、ことさら今日は誰にも部屋を“渡す”わけにはいかなかった。




