第5話 まどろみのマリオネット
“休日”から逃げ出すように、“日常”自宅に到着した俺はバトンタッチするかのように、アルコールに手を伸ばす。
雑然とした室内が落ち着いてしまうのはなぜだろう。
“要るものがいつものところにある”それだけで、部屋が俺の味方な感じがする。
にしても、ちょっと散らかり過ぎか?
明日からまた帰ったら寝るだけの日常だから、次の休みの頃には想像を拒否したくなるレベル確実だ。
『この1杯で機嫌よく酔ったら、また“リセット”されてたりしてな。そんなわきゃないか』
“都合よく使うんじゃねぇ”と不機嫌な声が聞こえた気がした。
翌日からはいつもとは違う修羅場だった。
ミスした同僚のお詫びを兼ねてのポジションチェンジ。
初めて行った瞬間からマイナス印象&高いハードル。
ピリピリ感半端なく、作業はスムーズには進むが精神的には孤立無援状態だ。
だが、実は俺にとっては変わりない平常対応。
誰に協力を求めるでもなく、淡々と熟してゆく。
その事に孤立感や孤独感を感じる事もなく、一種の心地良ささえ感じていた。
コレも独りっ子の弊害なのだろうが、今となっては武器だ。
おかげで今回のように“苦情処理班”と化しているのは困りものだが。
余談だが、俺にとってはいつもの対応をしただけで、
先方は予想以上に上機嫌になり、指名の話が出かけたらしい。
「余計なことをするな」と、事務所は不機嫌だった。
何が余計だったのかは、最後まで分からなかった。




