第3話 鋭い勘はこき使われる
「兄ちゃん、ちょっと“そこ”にある“それ”取ってくれる?」
『こっちのほうが使いやすいですよね?』
現場でのちょっとした風景。
「サンキュー、ついうちの者に言うように言っちまったが、よく“そこ”や“それ”で分かったね。それも使いやすい物をチョイス!実は歳誤魔化しとるやろ!」
『たまたま野生の勘ですよ。若造を煽てても手元にはなりませんよ!』
「バレたか!でもベテランかってくらいの気づきに関心したのはマジだから。いいか、お前ら。この人くらい阿吽の呼吸で分かるくらいになれよ!」
『人をダシにして、発破かけるのやめてくれます?笑』
忙しくない時、ふと作業を眺めてたら時々冴える“野生の勘”。
それなりに経験は積んではいるが、何故か“分かってしまう”。
「兄ちゃん、さっきは助かった。今度から指名するよ!」
『水商売じゃないんですから!笑、それに俺は“会社のイヌ”なんで、指示のあった現場に日替わりで行くだけです、ワン!笑』
「そっか、じゃあまた来てくれるよう、いい子にして真面目に仕事しとくわ〜」
『サンタさん待つ子供ですか!でもありがとうございます』
今言ったように、俺は固定な場所がなくホントに“明日は明日の風が吹く”状態だ。
だから、毎日行く現場も違うし内容も違う。
初めてみる作業内容なんて事も、場数踏んで少なくはなったが日常茶飯事だ。
でも“こっちの方がスムーズにいく”とか“次はこれが必要になるからココに移動”というように“視える”気がする。
現場に嫌われたら仕事にあり就けないこの業界、この“野生の勘”はありがたい限りなのだが、何か自分の実力以外の“何か”を感じる。
『やっぱ、血は争えないんかな?』




