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第12話 挨拶だけ

週末に出かける。

この前のイレギュラーは“出掛けたら負け”みたいな、変な圧に免じて家には居たが、今日はそんなの振り切った。

とはいえ、旅人モードでもないので珍しく“普通の外出”だ。

そういや、なんか街宣車が現場近くを回ってたな。

駅前広場に足を向けると、人だかりを越えて人のごった煮。

物販やフードコート、子供スペースまである。

何処かの旅行キャンペーンらしいが、“旅人”ではあるが“観光客”にはなれない俺には、「情報」以上の価値のない場所だ。

何かのサンプルを反射的に受け取った。

するとエサに群がる魚のように次々と我も我もと押し付けられる。

相手には悪いが、中身も見ずにクズ箱のエサなのだが、受け取るボランティア感覚でこなしてゆく。

といっても、暫くすると“他の必要な人に申し訳ない”と変な罪悪感と、何より人ゴミに胸も我慢もキャパオーバーになりイベント内容も詳しく足を踏み入れずそそくさと退散。

少し落ち着きを取り戻したくて歩いていると、所謂“総鎮守”と呼ばれる街なかの神社へたどり着く。

さすがに初詣でも七五三でもないこの時期は人も多くなく、かといって閑散もしてないクールダウンにはもってこいの場所だ。

特に願い事はないが、挨拶が大事なのは人も神様も同じと二礼二拍手一礼の作法通りの参拝をした。

願い事なくても来てもいいはずだ。

ただ、最近の胸騒ぎが厄とは思わないが、何かの際には“挨拶もしない”やつよりは御目溢しもあるだろう、なんて打算くらいは見逃してくれるだろう。

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